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水中探検レストランで世界中のCG魚に会える

1999年08月31日 00時00分更新

文● 野田 ゆうき

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7月、岐阜県にオープンしたばかりの世界淡水魚園(愛称『オアシスパーク』では、世界初のVR水族館レストランが話題を集めている。夏休み、家族連れでにぎわう“水中探検レストラン”ではCG魚たちが、残暑を忘れさせてくれた。

マルチプロジェクターには見たこともない魚たちが映し出されて…… マルチプロジェクターには見たこともない魚たちが映し出されて……



河川環境園へは車で

オアシスパークは、愛知、岐阜の県境を流れる木曽川の中州、岐阜県羽島郡川島町にある。ここは、建設省による“ハイウェイオアシス事業”に位置づけられていることからも分かるように、東海北陸自動車道の川島PAに隣接していて、高速道路を降りることなく入園ができる。オアシスパークを含むこの辺り一帯は、『河川環境楽園』と名付けられ、建設省、岐阜県、日本道路公団、そして民間企業等によってレクリエーション施設の開発が計画的に進められている。完成すれば約55haの環境共生型テーマパークになる予定だ。

国営の木曽三川公園三派川地区センターのシンボル『138ツインアーチ』が東海北陸自動車道の向こうに見える 国営の木曽三川公園三派川地区センターのシンボル『138ツインアーチ』が東海北陸自動車道の向こうに見える



“オアシスパーク”って?

オアシスパークは、(株)セガ・エンタープライゼス(以下“セガ”)をはじめ、民間6社と地元自治体による第三セクター方式の株式会社田副康夫社長、資本金 3億7600万円で、オアシスパーク内の娯楽施設等の運営を行なう。

オアシスパークには、後で詳しく紹介する『水中探検レストラン』の他にゲームセンターの『セガワールド』、地元の特産物を販売する『ギフベスト』、それにファーストフードショップやコンビニエンスショップといった商業施設が緑と水に囲まれて建っている。
隣接している『木曽川水園』や『自然発見館』を含めてみると、自然と触れ合いながら家族で遊んで、学んべるように配慮されている。

建物のデザインも周りの自然と調和するように配慮されている
建物のデザインも周りの自然と調和するように配慮されている



CG魚と時を過ごす

オアシスパークの目玉の施設が、水中探検レストラン『フィッシュ“オン”チップス』だ。

カフェテリア方式により、食べ物や飲み物をトレーに載せ、メインフロアーに入ると、そこはもう南米やアジアの水の中。縦3m、横12mの巨大な“窓”(200インチのプロジェクターが3面!)には、世界各地の湖底や川底に生息している淡水魚たちが泳ぎ回っている。

“窓”に映し出されている水中映像は、仮想空間にリアルタイムに描かれる3Dグラフィックス。魚たちもすべてCGによって創り出されたもの。確かに本物の水族館で味わう水中の透明感には及ばないが、それはここでは問題ではない。ここに来ている人は皆、仮想の世界だからこそできることを十分に楽しんでいるのだ。テーブルには1台ずつモニターが備え付けられている。このモニターはタッチパネルにもなっていて、大型スクリーンに映し出される魚について簡単に調べることができる。

心地よい音楽と水の音が流れ、抑えられた照明の中で魚たちの遊泳が映し出される。食事にはアラカルトやアルコール類も用意されていて精神が解放されるのを感じる人も多いだろう。座席は2階にあるカウンター席と1階席を合わせて120席ほどある。どの人もまるで時間を忘れてしまったかのように、仮想の時空の中でゆっくりと遊んでいた。

座席はすべてスクリーンに向いている。2階にもカウンター席がある
座席はすべてスクリーンに向いている。2階にもカウンター席がある



親子でいっしょにタッチパネルを操作しながら、魚について話し、自然について学ぶことができる
親子でいっしょにタッチパネルを操作しながら、魚について話し、自然について学ぶことができる



VRだからできる“こんなこと” ドリキャスとの連動も。

仮想水族館ならではの“仕掛け”もある。貸し切り時などに特別に催されるのがCG魚たちとの双方向コミュニケーションショーだ。

これは人がメイン画像に向かって近づいたり、呼びかけたりすることで、魚の動きを制御するもの。これを使えば魚に餌づけをしたり、芸をさせることができる。

セガではオアシスパークとドリームキャストとを連動させる計画を持っている。それは、岐阜県内の小学生にドリームキャストを使って自分だけの魚を作ってもらい、それをドリームキャストの通信機能を使ってオアシスパークに送ってもらう。その際、一人ひとりにIDが発行される。子供たちはオアシスパークに来たときIDを入力することで、自分の育てた魚と対面できる仕組みになっている。

オアシスパークのためにセガが開発したシステムの中心は、3Dエンジン“NAOMIボード”だ。水中レストランの映像は、このグラフィックスエンジンを積んだPCをプロジェクターごとに配置し、それらをマルチリンクさせている。セガはこの先、NAOMIボードの技術をアーケード型ゲーム機やドリームキャストに応用していく予定だ。

トイレの鏡の前に立つと、人面魚が現われた
トイレの鏡の前に立つと、人面魚が現われた



続々と建設される施設に期待

都市型娯楽施設“ジョイポリス”の運営で知られるセガが、自然豊かな川島町に進出したのには岐阜県からの強い働きかけがあったからだが、すぐ近くにあるVRテクノジャパン(*1)に現時点では参加する意向はないようだ。しかし、セガが“ハイテク県”を目指す岐阜県に足がかりを作ったのは確かなようだ。

この先、敷地内に水族館や遊園施設が次々に建設されることになっている。しばらくは行くたびに新しい発見ができそうだ。入場料無料という手軽さもあって入場者数は順調に伸びている。水中探検レストランに長蛇の列ができる前に一度いらしてみてはいかがだろう。

・VRテクノジャパン
 http://www.vrtc.co.jp/home.html
(*1)岐阜県が各務原市に建設しているVR関連産業の集積を目指した施設。入場無料。開園時間9:30~24:00(ただし、施設によって多少異なる)、無休

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