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松下、サンディスク、東芝が次世代メモリーカード『SDメモリーカード』の共同開発を発表

1999年08月25日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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松下電器産業(株)、米サンディスク社、(株)東芝の3社は、次世代メモリーカード『SDメモリーカード』の共同開発で合意した、と発表した。SDメモリーカードは、サンディスク社が開発した『マルチメディアカード(MMC)』とサイズがほぼ同じで、スマートメディアやコンパクトフラッシュと比べて小型な上、大容量化も容易だという。また著作権保護機能を備え、インターネットを使った音楽配信にも本格的に対応する。将来のデジタル家電ネットワークにおける記録メディアの主力として、3社で普及に力を入れていく。サンプル出荷は2000年の第1四半期から開始され、対応製品の発売は2000年の上半期を予定している。

『SDメモリーカード』『SDメモリーカード』



SDメモリーカードは縦32×横24×厚さ2.1mm。MMCと比べ0.7mm厚いが、縦横の大きさは同じ。そのためSDメモリーカード用のスロットにMMCを挿入でき、互換性を持たせたという。容量は、2000年の出荷開始時には32MBと64MBを用意し、2001年には256MBの大容量化を実現するという。書き換えスピードは当初は毎秒2MBだが、2001年には毎秒10MBに高速化する予定。誤消去を防ぐためのプロテクトスイッチも備えている。

カードに組み込まれた著作権保護機能も大きなポイントだ。今年7月に米デジタル音楽著作権保護協議会(SDMI)が策定した規格に適合する保護機能を備えており、インターネットを経由した音楽配信にも対応できるという。製品名の“SD”は“Secure Digital”から付けられたとのこと。

サンプル出荷は2000年第1四半期、量産開始は同年第2四半期になる予定。当初の価格は、「スマートメディアなど既存のものと比べてやや高価になる」(東芝社長・西室泰三氏)としている。また携帯音楽プレーヤーなど対応機器は2000年上半期の発売を予定している。

SDメモリーカード共同開発に合意した3社のトップ。左から松下電器・森下社長、サンディスク社・ハラリ社長、東芝・西室社長
SDメモリーカード共同開発に合意した3社のトップ。左から松下電器・森下社長、サンディスク社・ハラリ社長、東芝・西室社長



共同開発では、松下と東芝がAV機器開発の技術を、またサンディスク社と東芝がメモリーカード開発・製造の実績を持ち寄る。デジタルAV機器など各種製品への応用展開を進め、業界での普及を目指す。また対応機器とメモリーカードを開発するメーカーへのライセンス供与を担当する組織も発足させる予定という。

「SDカードは情報の収納庫、携帯型音楽プレーヤーも開「SDカードは情報の収納庫、携帯型音楽プレーヤーも開


発していく」と語る森下氏

都内で開かれた記者会見で、松下電器産業社長の森下洋一氏は、「今後はデジタル化した放送や通信と、カードメディアとの融合が進むだろう。家庭用テレビに接続したセットトップボックスにSDカードを差し込み、配信された音楽を腕時計型端末で楽しむ、といったことも可能になる。SDカードをデジタル家電ネットワーク時代の世界標準にしたい」と意気込みを語った。また「個人認証など現在のICカード的な応用も考えている。認証技術のインフラ作りも含めて考えたい」と認証分野への参入も明らかにした。

「ありとあらゆるメーカーを受け入れたい、ソニーも受け入れたい」と話すハラリ氏 「ありとあらゆるメーカーを受け入れたい、ソニーも受け入れたい」と話すハラリ氏



サンディスク社社長兼CEOのエリ・ハラリ(Eli Harari)氏は、「これからはPCの時代が終わりを告げ、家電とインターネットが情報通信分野の原動力となるだろう。音楽やゲームを含むコンテンツのグローバル化を可能にするのがSDカードだ。普及のカギは価格だが、2005年までに10ドルまで下がれば消費者に受け入れられるだろう」とした上で、「サンディスクが開発したMMCに外見は似ているが、セキュリティー保護のレベルが違う。書き込み速度も速く、大容量化できる」とMMCとの違いを強調した。

「スマートメディアはずっと続けていく決心だ、もっとも薄いカードとして価値はある」という西室氏「スマートメディアはずっと続けていく決心だ、もっとも薄いカードとして価値はある」という西室氏



東芝社長の西室泰三氏は、「東芝が開発したスマートメディアは年間500万枚が出荷され、デジタルカメラでは50パーセントのマーケットを獲得している。しかしネットワークによるコンテンツ配信に向け、情報を保護するメディアが必要だ。SDカードはスマートメディアで応じきれないものに使い、お互いに補完しあうものとなる」として、スマートメディアの生産を続ける考えを示した。また「6、7年後、SDカードはカードメディア市場で50パーセントを優に超えるシェアを獲得するだろう」と普及に自信を見せていた。

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