このページの本文へ

マネックス証券、個人向けのインターネット証券取引を開始、ソニーがバックアップ

1999年08月25日 00時00分更新

文● 編集部 桑本美鈴

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

マネックス証券(株)は、インターネット上での個人向けオンライントレーディングをはじめとする金融サービスを10月1日に開始すると発表した。

マネックス証券は、4月5日に設立した証券会社で、インターネットおよびコールバックセンターを利用し、個人向けの有価証券売買の取次業務や、投資顧問業務を行なう。ソニー(株)が大々的にバックアップをしているベンチャー企業で、資本金は11億6500万円。株主には、ソニーのほか、インターネットイニシアティブ(IIJ)、(株)リクルートなどが名を連ねている。役員は、代表取締役社長の松本大氏以下、非常勤の取締役として、有川正和氏(ソニー財務部統括部長)、鈴木幸一氏(インターネットイニシアティブ代表取締役社長)、堀籠俊生氏(ソニー上席常務)と、いずれも出資会社から派遣されている。

取扱株式は、東京証券取引所(1部・2部)上場株式、大阪証券取引所(1部・2部)上場株式、店頭登録株式、および名古屋証券取所上場株式の一部銘柄(名証単独上場全銘柄と、名証を主要取引所とする銘柄)。また、取扱投資信託は、MRFやMMF、株式投資信託、公社債投資信託、インターネット成長未公開企業ファンドなど、同社が選択した11カテゴリー/21銘柄の商品となっている。投資信託評価会社のアイフィス(株)が、各商品の分析を行なっているという。

ユーザーは、マネックス証券のホームページからオンライントレーディングを行なえる。ウェブ画面でIDとパスワードを入力すると、メンバー用のトップページにアクセスでき、入金確認の案内など、それぞれのユーザーに合った画面を表示する。この画面表示にはワン・トゥ・ワンマーケティングの手法が使われているという。オンラインでの株式注文方法は、注文したい銘柄を選択し、数量や価格、市場を入力することで、買付注文できるという仕組み。

ウェブ画面では、ユーザーの所有する商品銘柄の状況を一覧表示するほか、市場概況に関するニュースや、株価情報、基準価額情報、ユーザーの保有資産内訳、15ヵ月前までの取引履歴や実損益明細、資産配分情報を提供する。

また、年齢や金融資産、年収など9項目の質問に回答すると、適切な投資方法や商品をアドバイスしてくれる機能も用意されている。そのほか、オンライントレーディングにおける知識を得られる講座“FP教室”もウェブ上で実施される。さらに、相場情報や企業ニュースなどを提供する電子メール配信サービスの“マネックスメール”も開始する。

取引については、オンライントレーディングのほか、コールセンター“マネックスダイヤル”による電話での取引も可能。口座開設申し込みは24時間受け付けており、株式取引と投資信託取引は平日9時から17時、資料請求は平日9時から22時までとなっている。

同社は、DDIポケット電話グループと提携し、情報配信サービス用コンテンツに、証券投資情報“まねっくすボンボン”を毎日数回提供する。また、専用の携帯文字電話端末『ポケットマネックス』も用意し、マネックス証券で口座を開設したユーザー先着5000名に無料でプレゼントするという。

さらに同社は富士銀行とも提携し、10月1日から“富士サイバーバンクマネックスバージョン”サービスを開始する。このサービスは、富士・マネックスキャッシュカードを発行し、富士サイバーバンクや富士テレホンバンキングからマネックス口座への振込を可能とするもの。2000年1月からは、オンライントレード決済のサービスを開始し、実際の買付金額を、富士銀行の預金口座から手数料なしで引き落としできるようにする予定だ。

マネックス証券では、2000年3月までの目標口座獲得数を5万口座としている。

マネックス証券代表取締役社長の松本氏 マネックス証券代表取締役社長の松本氏



松本氏は、「今後インターネットが新しいインフラになると予想される。そこでわれわれは、インターネットを利用した金融インフラを構築する。個人顧客を主役としたビジネスモデルを展開し、個人のニーズを事業に反映していく。また、個人金融資産の直接金融型商品への誘導も行なっていきたい。あくまでも中立、独立の立場を守り、健全な経営を行なう」と挨拶した。

続いてソニー代表取締役社長の出井伸之氏が「このマネックス証券を、ソニーとして全面的にバックアップする。松本さんのような新しい世代に期待している。現在日本ではインターネットが急速に普及している。一方で個人で資産運用を考える人々が増えてきており、インターネットによる個人向け金融サービスという方向性は正しいと思う」

「いかに個人にとって魅力的なビジネスをネット上でやっていくかが重要。今後、どのように新しいビジネスモデルを作っていくか興味を持っている。これまで、何でも自分でやってきたソニーが、ベンチャーをバックアップするということで、ソニーにとっても新しいチャレンジとなる。ソニーをプラットフォームとして、ベンチャーが伸びてもらえればうれしい」と語った。

ソニー代表取締役社長の出井氏 ソニー代表取締役社長の出井氏



他のオンライントレーディングサービスとの差別化について、松本氏は、「われわれは、ネットワーク時代を強く意識した会社であり、証券会社がオンラインでのサービスを始めるというよりは、インターネット会社が金融サービスを行なうという意識を持っている。個人のニーズに対応するため、独立中立を守るところも他と異なる重要な要素だろう」としている。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン