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JPCセミナー開催--ColorSync時代のカラーマネージメントとは?

1999年08月19日 00時00分更新

文● 編集部 寺林暖

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(株)アップルコンピュータ本社にて18日にJapan Publishing Consortium(JPC)の主催による“カラーマネージメントの最新動向とユーザー事例”というセミナーが開催された。アップルのカラーマネージメント技術“ColorSync”は2.6.1へとバージョンアップを重ね、DTPやWEB関連のアプリケーションでもColorSync対応製品が揃いつつある。今回のセミナーは実用段階に達したColorSyncをテーマにし、同技術を用いたカラーマネジメントの可能性や運用上の問題を探る内容となっている。

初めに、セミナーの司会進行を務めるJPC理事の杉山久仁彦氏が、カラーマネージメントおよびColorSyncの最新動向について触れた。「ColorSyncが発達しても、その範疇はディスプレーや確認用のプリンター止まり。最終出力の色調整までがサポートされていない中、印刷会社がColorSyncをどのように扱っていくかが問題になるだろう」と語った。

JPC理事の杉山久仁彦氏は(株)デザイン・ウイズ・ハートの代表を務めている
JPC理事の杉山久仁彦氏は(株)デザイン・ウイズ・ハートの代表を務めている



(株)アップルコンピュータ社マーケティング本部の渡辺泰氏は、ColorSyncの最新バージョンである2.6.1の機能を解説した。ColorSync2.6.1ではAppleScript機能が強化され、また、JPEGやGIFをサポートするなどインターネットとの親和性も向上している。渡辺氏は、“Sonata”と呼ばれるMacOSの次期バージョン(MacOS 9)にも触れ、「MacOS 9は、'99年秋以降に出荷の予定で、検索機能をより強化した“SherlockII”や、ログイン時に声紋を判断する“VoicePrint機能”など、50を超える新機能が搭載される」と述べた。

今秋登場予定のMacOS 9
今秋登場予定のMacOS 9


次に、(株)イメージアンドメジャーメント社の菅澤圭二氏から、同社のモニタキャリブレーション/プロファイル作成システム『OptiCal』を利用したカラーマネージメントとその導入事例が紹介された。同製品はColorSync2.0以降のICCプロファイルに対応し、高精度光学センサーとの組み合わせで、色特性が異なる各ディスプレーの表示色をキャリブレーションするシステム。OptiCalがインストールされたパソコン間ではICCプロファイルの受け渡しが可能なため、遠隔地のディスプレー同士で色合わせをすることもできるという。

イメージアンドメジャーメント社の菅澤圭二氏
イメージアンドメジャーメント社の菅澤圭二氏



(株)ユニゾンの吉田潤氏からは、『いろピタXTension』の製品説明が行なわれた。同製品は、Macintoshに標準でインストールされているColorSyncを、印刷用のCMYKデータに適応させるという、『QuarkXpress』専用のXTensionソフト。TIFデータ以外にEPSやJPEGにも対応し、確認用のプリンター、最終出力用のイメージセッターとそれぞれのプロファイルを、出力時にひとつひとつの画像に至るまで設定・適用することができる。

次に、(株)アプティの富川丈司氏がCMSの導入方法を紹介した。同氏は「もはやColorSyncを信用しなくてはカラーマッチングは始まらない」と語り、導入前のポイントとしてCSMの使用目的、自分のワークフローのどの部分が改善されるべきなのか再確認する必要性を挙げた。実際に導入した例として、(株)第一サンエーの横山淳氏が、色校正のコストダウンや色校正と印刷物の色合わせを行なう必要性から、CMSを導入した経験を語った。



全講演終了後には(株)恒陽社の石塚晃氏による進行のもと、カラーマネージメントの課題について参加者とのディスカッションが行なわれた。セミナーの司会を務めた杉山氏は、「印刷会社の印刷機は1台1台が出力時の癖を持ち、印刷物も常に空いている印刷機優先で回ってしまう。ColorSyncを導入する際には、印刷会社の出力環境を考慮した全体のワークフローのマネージメント能力も必要になるであろう」と問題点を指摘した。

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