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Mbpsオーダーの常時接続が数千円か--ソフトバンク、米マイクロソフトと東電が低料金の常時接続会社設立を発表

1999年08月11日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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ソフトバンク(株)と米マイクロソフト社、東京電力(株)の3社は11日、新通信会社を設立して低料金のインターネット常時接続サービスを開始する、と発表した。新会社はNTTの回線を使わず、無線端末と東京電力の光ファイバー網を使って新しいネット通信網を構築することで、高速な回線をNTTが計画中の定額常時接続サービス(1ヵ月1万円程度)よりも大幅に低い料金で提供する。サービス地域は当面、関東地区のみとなる。新会社は9月に設立され、10月に実験サービス開始、一般向けサービスは来年夏にもスタートする。

「新会社の接続料金は、NTTに比べて割安なのではなく、絶対値として完全に安くなる」と話す孫社長 「新会社の接続料金は、NTTに比べて割安なのではなく、絶対値として完全に安くなる」と話す孫社長



新会社の名称は未定で、9月中に東京都中央区内に設立する。資本金は60億円。3社が31パーセントずつ均等に出資するほか、ソフトバンク傘下のヤフー(株)が5パーセントを引き受け、残り2パーセントを他企業に求める方針で調整が進んでいる。

新会社の事業内容は、高速インターネット回線の常時接続を低料金で提供するサービスだ。現在の個人向けインターネット常時接続の速度は128kbpsに止まっているが、新会社では64kbps、128kbpsといった従来並のスピードではなく、MbpsからGbpsオーダーの高速接続となる。料金については明らかにされていないが、ソフトバンクの孫社長は「NTTと比べはるかに安くする」と言い切り、現在NTTが年内にも実施予定の常時接続サービスの料金を大幅に下回ることを示唆した。

サービスを実現する基幹インフラは、東京電力がもつ独自の光ファイバー網だ。すでに’70年代から、発電所などの制御のため敷設が進んでおり、東京電力が持つもう1つのインフラである電柱を介して関東全域をカバーする。利用者との接続には高速無線端末、メタル線、光ファイバー直結の3方式を予定。このうち高速無線端末の使用を個人向けと位置づけ、家庭のパソコンに接続して電柱にもうけられた無線用基地局端末と結ぶ。

また新会社の“スクールネット構想”も明らかにされた。これは関東地区の小学校から大学まで全学校にインターネットサービスを10年間無償で提供するもので、児童生徒と教職員にメールアドレスとホームページの開設スペースも提供するという。

新会社の誕生は電子商取引の拡大を狙うソフトバンク、世界的に通信インフラの確保を進める米マイクロソフト、多角化の柱を通信事業に求める東京電力の思惑が一致した結果だ。地域間通信におけるNTTの独占に対抗し、インターネット普及の鍵を握る台風の目ともなりそうだ。

記者会見では、ソフトバンクの孫正義社長が「インターネットの普及による政治や経済、社会に与える影響は計り知れない。何にもまして、安くて早いインターネットサービスをインフラとして提供することが将来の鍵となる」と述べ、単なる事業ではなく社会的インフラ整備の一環であることを強調した。また“スクールネット構想”については「学生には思う存分インターネットを使ってもらいたい。長い目で見ればいい投資になる」とした。

「電気事業者として公益性を育て、社会的役割を果たしたい」と語る荒木会長「電気事業者として公益性を育て、社会的役割を果たしたい」と語る荒木会長



また東京電力の荒木浩会長は「東京電力が持つインフラに付加価値をどうつけるか考えてきた。ハードはあるがソフトを持たないという弱点を、ソフトバンクとマイクロソフトとの提携で補った」と語った。

成毛社長は「米マイクロソフトには優秀な技術者がそろっている。新会社の通信技術に不足はない」と自信を見せた。成毛社長は「米マイクロソフトには優秀な技術者がそろっている。新会社の通信技術に不足はない」と自信を見せた。



マイクロソフト(株)の成毛真社長は、今回の新会社設立が米国マイクロソフトの出資である点を断わった上で、「マイクロソフトではインターネットを身近にするため、世界的にインフラ整備に取り組んでいる。新会社設立は日本におけるインターネットサービスの低額化、高速化について私たちなりに出した結論だ」とした。

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