(社)日本電子工業振興協会(JEIDA)は、平成11年度第1四半期('99年4月~'99年6月)における国内メーカーのパソコン出荷実績を発表した。それによると、今期のパソコン本体総出荷台数は218万3000台で前年同期比37%増を記録、Windows
98が出荷された平成10年度第3四半期から3四半期連続で2ケタ成長となった。これを受け、JEIDA
パーソナル業務委員会の松尾好洋委員長は「5月に発表した平成11年度の国内出荷予想である800万台という数字は確実になった」とパソコン市場の好況を強調した。
JEIDA パーソナル業務委員会委員長、松尾好洋氏 |
JEIDAは平成11年度第1四半期好調の要因として、コンシューマー市場では、電子メールを中心としたインターネット利用など、趣味の活用を目的としたパソコン購入者の増加を挙げた。特に若い女性層の購入が目立つとし、デザインを重視したパソコンの登場や、電子メールがコミュニケーションツールとして注目されていることが原因ではと分析する。一方ビジネス市場に関しては、パソコン税制の導入や、2000年対応によるパソコンの買い変え需要を挙げた。また、企業の設備投資は依然厳しい状況にあると前置きをした上で、景気回復の兆しや、情報化投資に対する意欲の高さもその理由として分析している。
デスクトップがノートパソコンの出荷台数実績を上回る
今回発表された出荷実績の詳細は、以下のとおり。・パソコン本体総出荷台数(国内出荷+輸出)
本体台数:218万3000台(前年同期比37%増)
金額:6559億円(前年同期比17%増)
・パソコン本体国内出荷台数
本体台数:203万2000台(前年同期比38%増)
金額:5147億円(前年同期比27%増)
・国内本体形状別出荷台数実績
ポータブル:97万7000台(前年同期比34%増)
デスクトップ:105万5000台(前年同期比42%増)
・本体出荷単価
ポータブル:22万4000円(前年同期比2%減)
サーバー・デスクトップ:19万9000円(前年同期比35%減)
*“ポータブル”は、ここではノートパソコンと同意。Windows CE機は含まず
国内本体形状別出荷台数実績において、デスクトップがノートパソコンを上回ったのは3年ぶり。JEIDAは、液晶ディスプレーの普及によりデスクトップが小型化し、省スペースという理由からノートパソコンを選択する必要がなくなったのではないかと分析している。また、本体出荷単価について、サーバー・デスクトップは前年同期比35%減となったが、前々期よりこの数字はほぼ横ばいで、ノートパソコン同様下げ止まりの基調にある。
以下、質疑応答の内容を一部掲載する。
--市場では10万円を割る低下のパソコンが登場し注目を集めているが、出荷実績の自主統計*にそうした企業が参加をする予定はないのか
「今のところ、そうした製品の売り上げは市場全体の数パーセントで、統計作業に影響がないものと認識している。パソコンの出荷実績に関する統計は、現行の統計参加企業でほぼカバーできている」
--パソコン市場の好調が伝えられているが、これは年度末まで継続するのか。例えば2000年問題の対応が終了した後など、購買が減退するのではないか
「需要の“先食い”がないとは、言いきれない。下期の需要の落ち込みをいかにカバーしていくかが課題となるだろう。下期は、パソコン税制などによる需要の喚起に期待する」
*パーソナルコンピューター出荷実績の自主統計に参加している企業は以下の通り。
アップルコンピュータ(株)、日本電気(株)、沖電気工業(株)、カシオ計算機(株)、キヤノン(株)、三洋電機(株)、シャープ(株)、セイコーエプソン(株)、ソニー(株)、(株)東芝、東芝パソコンシステム(株)、日本アイ・ビー・エム(株)、ゲートウェイ(株)、日本ヒューレットパッカード(株)、パッカードベルNECジャパン(株)、(株)日立製作所、(株)PFU、富士通(株)、松下電器産業(株)、三菱電機(株)