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文化庁、著作権管理団体の複数化に向けた法改正スケジュール明言

1999年08月05日 00時00分更新

文● 編集部 中野潔

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文化庁著作権課の吉田大輔課長は、4日、都内で講演し、著作権管理団体の複数化に向けた法律改正のスケジュールに言及した。著作権管理団体の登録制などを盛り込んだ仲介業務法の改正案を、今年中をめどにまとめ、次期の通常国会に提出する。

諮問機関である著作権審議会は、7月5日、審議会の中間まとめを発表した。(1)仲介業務法で定める集中管理業務への新規参入を認めるため、原則として登録制にする、(2)使用料の決定に市場原理を導入するため、料金表を原則として届出制にする、(3)使用料に関する紛争を、簡易に、迅速に解決するため、使用料審判所の設立のような紛争処理システムを形成する--の3点が柱である。

現在、JASRAC(日本音楽著作権協会)が典型だが、特定ジャンルの著作物については、著作権管理団体が許可制になっており、事実上、1つか2つに制限されている。また、料金が認可性になっている。これを、それぞれ登録制、届出制にして、新規参入を図り、市場原理を導入する。

この中間まとめを、関連団体などに送付して、9月上旬をめどに、意見を集める。法律改正案を年内にまとめ、次期の通常国会に提出する予定である。

なお、吉田氏は、既に今国会で可決、成立した著作権法の改正についても触れた。今回の改正の主眼は、(1)技術的保護手段の回避(俗にいう“プロテクトはずし”)に対する規制措置、(2)電子的権利管理情報の改変などに対する規制--の2点である。

(1)では、コピープロテクトをはずす装置やはずすプログラムを、公衆に販売、譲渡、配布すること、それを目的として製造、輸入、所持すること、公衆に使わせること、同プログラムを公衆に送信したり、ウェブサイトにアップすること、コピープロテクトを業務とすることを禁じた。違反すると、1年以下の懲役か100万円以下の罰金が課せられる。従来の著作権侵害の場合、親告罪であり、被害者の告訴があってはじめて検挙できた。今回のプロテクトはずしでは、非親告罪となった。告訴なしでも、検察の判断で検挙できる。

また、従来の著作権法では、私的使用であるかぎり著作物の複製を無許諾でしてよいことになっている。しかし今回、たとえ私的使用であっても、プロテクトはずしをして複製した場合は、著作権侵害とみなすことになった。

(2)は、電子的媒体において、著作物などとともに、記録あるいは送信される著作権管理情報を、勝手に除去したり改変したりしてはならないというものである。著作権管理情報とは、著作者や著作権者を特定するための情報、著作物の利用許諾の条件などに関する情報のうち、著作物などの利用状況の把握、利用の許諾にかかわる事務処理などのために用いるものである。

そして、これらの管理情報を、故意に除去したり改変したり、虚偽の情報を故意に付加したり、そうした改変がなされた著作物の複製を、改変がなされたことを知りながら頒布したり送信したりすることは、著作権侵害とみなすこととした。違反すると、親告罪ではあるが、1年以下の懲役か100万円以下の罰金が課せられる。

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