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太平洋をまたぐ地球拳--“Motion Web KANSAI'99”から

1999年08月04日 00時00分更新

文● 野々下裕子 

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ニューヨークと大阪との間で携帯電話でビデオ中継

7月30、31日の2日間、大阪、梅田スカイビルのステラホール会場で開かれた“Motion Web KANSAI'99”のレポートをお送りする。今回は初日に行なわれた基調講演2つについて紹介する。



米ニューヨークの神田氏の模様を電話回線を介して中継
米ニューヨークの神田氏の模様を電話回線を介して中継



基調講演の2では、米ニューヨークと大阪会場とを『CUseeMe』で結んでの、リアルタイムセッションが行なわれた。ニューヨークには、世界で一番小さな放送局“KandaNewsNetwork”のビデオジャーナリスト、神田敏晶氏が滞在している。当初はサンノゼからの中継が予定されていたが、神田氏の都合で急きょ、ニューヨークに変更となった。



大阪会場の模様をビデオカメラで送る。ニューヨークでも同じように見えているのだろうか。デジタルでのニューリョクの不思議さに、はんしん半疑の受講者も
大阪会場の模様をビデオカメラで送る。ニューヨークでも同じように見えているのだろうか。デジタルでのニューリョクの不思議さに、はんしん半疑の受講者も



そのため、中継は、国際電話と携帯電話など、さまざまな回線を駆使して行なわれることに。最初は回線の状況が不安定で、音声が届かなかったり、映像が途切れたりしたが、講演の後半に入ってからはなんとかセッションができる程度に安定。神田氏からは深夜のニューヨーク、シリコンアレーの状況がリアルタイムで報告された。多少の不安定さは残るものの、インターネットを使えば、容易に海外から中継できることに、驚いた参加者もいたようだ。

ニューヨークと大阪とで地球拳
ニューヨークと大阪とで地球拳



また、講演中には、神田氏が用意した来場者へのプレゼント、オースティンパワーズ4点セットをめぐって、イベント会場とニューヨークとを結んでのジャンケン大会も催された。最後は神田氏からの「地球はどんどん狭くなっている。今や英語ができるできないなんて関係ない。もっとみんな世界に飛び出すべきだ」とのメッセージとともに、ライブセッションは終了した。

“在宅ライブ”

初日最後の基調講演では、“Motion Web KANSAI'99”実行委員長の奥井宏太郎氏を司会役に、筋肉少女帯のギタリスト、本城聡章氏と、週刊アスキーの福岡俊弘編集長の3人による、トークセッションが開かれた。話題の中心はストリーミングについて。



向かって一番右が週刊アスキーの福岡俊弘編集長。その左が本城聡章氏。一番左の背中が、司会役の奥井宏太郎氏
向かって一番右が週刊アスキーの福岡俊弘編集長。その左が本城聡章氏。一番左の背中が、司会役の奥井宏太郎氏



まず、現在のストリーミングに対する関心はどのようなものか、という奥井氏の質問に対し、福岡編集長は、「先ごろ新聞をにぎわせた東芝事件は、インターネットよりもストリーミングで音声データが公開されたことがインパクトをもたらした」と回答。

「先ごろ新聞をにぎわせた東芝事件は、インターネットよりもストリーミングで音声データが公開されたことがインパクトをもたらした」とオレンジのシャツの福岡氏
「先ごろ新聞をにぎわせた東芝事件は、インターネットよりもストリーミングで音声データが公開されたことがインパクトをもたらした」とオレンジのシャツの福岡氏



本城氏も、「5、6年前からサイトを自分で作っているが、当初はプラグインの問題が大きかった。それがプラグインなしでも簡単に映像が流せるソフトが登場し、ストリーミングに対する垣根がぐんと低くなった」と語った。奥井氏はストリーミングの魅力はそのインパクトにあるとし、今後は、技術の発展やインフラのコスト減によって、大きな市場になるだろうとコメントした。

「プラグインなしでも簡単に映像が流せるソフトが登場し、ストリーミングに対する垣根がぐんと低くなった」と本城氏
「プラグインなしでも簡単に映像が流せるソフトが登場し、ストリーミングに対する垣根がぐんと低くなった」と本城氏



講演は後半に入るにつれてテンポが上がり、ユニークなコメントが次々飛び出した。たとえば、本城氏は、ストリーミングの映像はプロの映像と180度違って、何もかも1人でできてしまうところに楽しさがあると語った。「ストリーミング技術を使えば家から1歩も出ずにコンサートが見られる。それに対してアーティストも1歩も外に出ずにライブをするのが夢」とのコメントに、会場は爆笑の渦につつまれた。

確かにストリーミングは、個人にとっての強力なツールである。KNNの神田氏のような人がもっと増えれば、ビジネスの可能性も広がっていくだろう。しかし、その一方で、世界中の人たちと音楽や映像を一緒に作ることも可能だというのも忘れてほしくない、と奥井氏は語る。

「世界中の人たちと音楽や映像を一緒に作ることも可能」と司会役の奥井氏
「世界中の人たちと音楽や映像を一緒に作ることも可能」と司会役の奥井氏



本城氏は、電子メールが普及したことによって、コンサートの直後からファンの感想を聞くことができるようになり、ファンとの距離が短くなったと言い、コミュニケーションツールとしてのインターネットの大切さを強調した。奥井氏も同様に、これからのストリーミング技術から、新しいコミュニケーションの方法が生まれれば、と講演をまとめた。

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