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松下電器が新しいデジタルプログレッシブ技術を搭載したテレビ『T(タウ)シリーズ』を発表

1999年07月30日 00時00分更新

文● 浅野純一

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松下電器産業(株)は29日、同社の家庭用テレビ『T(タウ)シリーズ』の新製品を発表した。最近の家庭用テレビは、デジタル画像処理技術による映像の高精細化が進んでおり、DSPやSDRAMを内蔵するデジタル家電的な存在になりつつあること、また来年末に始まるデジタルBS放送との絡み、パソコンやインターネットとの関係など、テレビ自体の存在・動向が非常に注目を浴びていることもあって、発表会場には多くの関係者が詰めかけた。

発表されたのは10機種。現行機種とあわせ20機種が揃う。ラインナップで先行するソニーの『WEGA』を意識したもの。シェアトップメーカーの発表会とあって会場には大勢の関係者が詰めかけた
発表されたのは10機種。現行機種とあわせ20機種が揃う。ラインナップで先行するソニーの『WEGA』を意識したもの。シェアトップメーカーの発表会とあって会場には大勢の関係者が詰めかけた



今回発表されたのは、プログレッシブワイド、プログレッシブ、ワイドなど計10機種。注目は上位機種にあたるプログレッシブ対応モデルが搭載する“ギガクオリティプログレッシブ”と呼ばれる高画質技術。現行のNTSCフォーマットではインターレース方式が採用されているのはご存じのとおり。タテ方向に525本ある走査線を偶数と奇数にわけてグループ化。その1枚を1フィールドとして、偶数フィールドと奇数フィールドを交互に毎秒60フィールド表示することで絵を構成している。ただし、人間の残像現象を利用したこの方式ではチラつきが発生するため、パソコンではプログレッシブ(ノンインターレース)が主流になっており、将来のデジタル放送でもプログレッシブ放送が規格化されているところ。現行のテレビではクオリティを上げるために525本すべての走査線を使ったフィールド=フレームを擬似的に作り出すプログレッシブ機能が、ハイエンドテレビの重要な機能になっている。

会場では走査線1080本インターレースの1080i、現行機種の480本疑似プログレッシブの480P、現行放送の480iの各フォーマットでの対比も行なわれた
会場では走査線1080本インターレースの1080i、現行機種の480本疑似プログレッシブの480P、現行放送の480iの各フォーマットでの対比も行なわれた



ギガクオリティプログレッシブでは、

1. 新しいアルゴリズムを採用した疑似プログレッシブ機能で2倍(262.5->525本)
2. サンプリング周波数を従来の2倍にすることで水平方向の解像度を2倍(910->1820本)
3. サンプリング時のビット数を従来の8bitから10bitにすることで階調表現を4倍(256->1024階調:bit数が1つあがると2倍になる)

つまり2×2×4で16倍の高密度化が可能になったとしている。同社では、これにより525×1820×1024を掛け合わせて、現行のNTSCフォーマットと比べて10ギガポイントの高密度と表現している。

1080iなどの比較は会場内に擬似的なMPEG-2ストリームを流す機材を持ち込み、擬似的な放送局想定して行なわれた
1080iなどの比較は会場内に擬似的なMPEG-2ストリームを流す機材を持ち込み、擬似的な放送局想定して行なわれた



また旧機種にもあった、映画放送を自動的に判断して映画視聴に最適なプログレッシブ変換(2->3プルダウンの逆)を行なうデジタルシネマリアリティ機能、電波の乱れによるゴースト現象をデジタル処理によりおさえるデジタルゴーストリダクション機能も、機能を強化したバージョンが搭載されている。

サウンド面では従来どおり5つのストレートホーンスピーカを内蔵。今回新たに、再生中のサウンドを内蔵マイクで拾って出力特性をフィードバックし、リアルタイムで出力を補正するAFB(Acoustic Feed Back)回路を搭載した。

将来への対応として、BSデジタル放送や地上波デジタル放送のチューナやDVDプレーヤをダイレクトに接続できる“D3端子”を装備。ちなみにD端子はデジタル機器同士をダイレクトに接続する統一規格で、信号フォーマットとアスペクト比を検出してソースに最適な表示切り換えを自動的に行なうことができるものだ。

中央上のD-Subに似たのがデジタル機器対応のD3端子。もちろん従来のコンポジット端子やS端子、コンポーネント端子も装備する
中央上のD-Subに似たのがデジタル機器対応のD3端子。もちろん従来のコンポジット端子やS端子、コンポーネント端子も装備する



このほか、ADAMSのデータを使ったEPG(電子番組表)機能やリモコンの使い勝手も強化された。OSD(On Screen Display)の表示やメニューも分かりやすくなっている。また一部の部材に環境に配慮した素材を使ったり、待機電力の削減など環境対策にも配慮しているという。

スピーカからの音の出口を前面からは完全に見えなくし新らしいデザインが新製品の外観上のポイント。上位機種にはシルバーとシャンペンゴールドのカラーバリエーションも用意されている
スピーカからの音の出口を前面からは完全に見えなくし新らしいデザインが新製品の外観上のポイント。上位機種にはシルバーとシャンペンゴールドのカラーバリエーションも用意されている



右が旧モデル。正面のデザインが非常にスッキリしている(画面表示が汚いのは、デジカメと撮影者の責です。あしからず)。
右が旧モデル。正面のデザインが非常にスッキリしている(画面表示が汚いのは、デジカメと撮影者の責です。あしからず)。



標準価格はプログレッシブワイドの36型が34万円、32型が27万円、28型が20万円、4:3のスタンダードタイプの33型が28万5000円、29型が18万5000円などとなっている。なお、今回の10機種と合わせ、タウシリーズは全20機種を揃えることになる。

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