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さくら銀行と富士通、インターネットや電話だけを利用するオンライン専用の銀行を設立

1999年07月26日 00時00分更新

文● 編集部 綿貫晃

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(株)さくら銀行と富士通(株)は26日、インターネットや電話だけを利用するオンライン専用の銀行“インターネット/オンライン専業銀行”(以下新ネット銀行)を共同出資して設立することで合意したと発表した。新ネット銀行の名称は未定となっている。新ネット銀行は店舗を本店しか持たず、インターネットや電話だけを営業チャネルとするのが特徴。当初は、富士通が11月に開始するプロバイダー“@nifty”の会員に向けてサービスが提供される。銀行の設立とサービスの開始は2000年度の上期を目指すという。

握手を交わすさくら銀行の頭取である岡田明重氏(左)と、富士通の社長である秋草直之氏
握手を交わすさくら銀行の頭取である岡田明重氏(左)と、富士通の社長である秋草直之氏



この合意によって、さくら銀行は新ネット銀行の経営と、個人向けの金融サービスを提供する。富士通はシステムやネットワーク技術、@niftyでの新ネット銀行に関連した決済サービスの提供を行なう。これにより新ネット銀行では、@niftyのショッピングモール内で、同一銀行内の振り込みと同様の感覚で決済することが可能となり、クレジットカードや銀行振り込みなどほかの決済手段より安い手数料で決済をすることが可能になるという。

新ネット銀行で取り扱う商品は、オンライン決済向けの預金、定期預金、為替、小口ローンなど。インターネットや電話だけを利用することによってコスト削減を図り、その分を利率などの面でユーザーに還元していく予定だという。これらの商品はネットワークを利用できないユーザーに対しても、電話やファクスでサービスを行なう予定があるという。

資本金は200億円程度で、出資比率はさくら銀行が90パーセント、富士通が10パーセントを予定している。経営陣はさくら銀行から派遣し、従業員は当初20名程度になる予定だという。

両社は、新ネット銀行設立の合意に至った背景として、3つの項目を挙げている。まず、来年にはインターネット人口が2000万人を超えると予想されており、今がネットワーク社会に向けて新ネット銀行を設立するタイミングであること。また、インターネットを利用している50パーセント以上の人が今後ネットワークバンキングを利用したいと考えており、ユーザーのニーズに合わせて新ネット銀行を設立することが社会の使命であること。そして、今後ネットワークを利用した金融サービスが増加していくと見込まれ、競争力のある金融サービスを提供するには、新しいネットワーク向けのサービス体制を早くから整備する必要があること。

さくら銀行の岡田明重氏
さくら銀行の岡田明重氏



さくら銀行の頭取である岡田明重氏はコストについて、「弊社では個人向けのサービスを強化しているが、銀行での個人向けサービスは小額のものが多く、現金のデリバリーに多くのコストがかかりすぎていた。インターネットや電話だけを利用することによってこのコストを下げ、採算性のあるビジネスにするのが新ネット銀行である。1000億円の預金があれば、採算の合うビジネスとなる」と述べた。

また、富士通との提携については、「このビジネスを成功させるには大量の会員を持つプロバイダーとの戦略的提携が必要であると考えた。そこで、日本最大のプロバイダーとなる@niftyを運営する富士通をパートナーに選んだ。当初は、@niftyの会員数となる350万人の3分の1にあたる100万人の口座開設を目指す。また、今後ほかのプロバイダーから話があれば、提携することも考えている」と語った。

富士通の秋草直之氏
富士通の秋草直之氏



富士通の代表取締役社長である秋草直之氏は、「@niftyは5年後に会員数1000万人を目指しており、これは1000万人の仮想社会ができることを意味している。この新しい社会に対して新ネット銀行の新しい金融サービスを行なうことにより、ショッピングモールの活性化だけでなく、さまざまな部分に好影響を与えていくだろう。我々が新ネット銀行によって新しい価値観を作り、新しい世界を作っていく」と意気込みを見せた。

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