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米ネットパーセプションズ、日本法人の設立を発表--日本企業3社との合弁で

1999年07月23日 00時00分更新

文● 編集部 鹿毛正之

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米ネットパーセプションズは、日本企業3社との合弁で、同社の日本法人となるネットパーセプションズ・ジャパン(株)(以下、NPJ)を設立することを発表した。各企業の出資比率は、同社が45%、トランス・コスモス(株)が40%、NTTソフトウェア(株)が10%、(株)東洋情報システムが5%となっている。日本法人の開設は8月で、社長には日本側から出す予定。

NPJでは、各製品のローカライズ、技術サポート、コンサルティングの業務を行なう。製品の販売は合弁パートナー3社を中心に行ない、NPJ自体は販売活動をしない。

実際の製品については、米国で販売中の『Net Percetions for E-commerce』を、9月にも日本語化して発売する予定。また、コールセンター向けの『Net Percetions for Call Centers』と、広告業界向けの『同 Ad Targeting』を来年の3月を目処に発売する。

おもなターゲットは、10万人程度のユーザーが集まっている商用サイト。将来的には2~300人規模のサイトにも同社製品の導入を促していくという。導入費用については、10万人規模のサイトでは、製品のみが1200万円程度。サポート面まで含めると、その倍程度の金額になるとしている。

顧客1人1人ごとに異なったマーケティングを提供

米ネットパーセプションズは、ワン・トゥ・ワン・マーケティングの分野を対象に、顧客ごとに個別のマーケティングを行なう“リアルタイム・リコメンデーション・エンジン”というテクノロジーを開発している。これは、顧客が持つ嗜好や購買履歴を分析し、特定の顧客グループにセグメント分けすることで、顧客が潜在的に求めている商品を売りこむというもの。

同社ではこのテクノロジーをベースに、非対面取引市場向けの製品を開発・販売している。米国では110社以上のクライアントを持ち、おもなクライアントとしてはアマゾン・ドット・コムやCDNow、チケットマスターなど、オンラインビジネスに特化した企業の名前が挙げられている。また、電話を利用した通信販売業者向けに、コールセンター用の製品も販売している。

“電子的な口コミ”を利用した提案型販売を推進

米ネットパーセプションズのスティーブン・J・スナイダー(Steven J. Snyder)社長兼CEOは、「'92年に国際大学の公文教授が米国で行なった講演が、会社設立のきっかけ」というエピソードを語り、「その講演を聴いたジョン・リードル博士が開発した“協調フィルタリング技術”というテクノロジーが、製品のベースとなっている」と説明した。

米ネットパーセプションズのSteven J. Snyder社長兼CEO
米ネットパーセプションズのSteven J. Snyder社長兼CEO



スナイダー氏によると、協調フィルタリング技術とは、同じような嗜好や購買履歴を持った消費者をセグメント分けすることによって、“電子的な口コミ”効果を得るものだという。セグメント分けされた“Neighborhood(隣人たち)”の情報を分析することで、各消費者に対して“Recommend(お奨め)”の提案が可能になり、提案型販売が実現できるとしている。

同社の『Net Percetions for E-commerce』では、各消費者からのリアクションに対し、平均で0.25秒という素早さで、お奨めの商品を提示することができるという。また、消費者が何度も同じショッピングサイトを訪れることで継続効果が生まれ、いわゆる“忠誠度”が高まっていくことになる。同ソフトを導入したサイトでは、平均で4割の売上増加を見せているという。

同社のクライアントで音楽CD販売サイトの米CDNowでは、“CDNow Album Advisor”というサービスを提供し、各消費者にお奨めのCDを提案している。このサービスは1日に3万件の利用があり、利用者数は増えつづけているとのことだ。

日本のEC規模は、2003年に3兆円を突破

トランス・コスモス(株)の小野裕之事業企画開発本部部長は、通産省が発表した統計を元に、日米のEC事情についての解説を行なった。

トランス・コスモス(株)の小野裕之氏
トランス・コスモス(株)の小野裕之氏



小野氏によると、商品のお奨めを行なうにあたっては、3つの段階があるという。

1つ目の“チェックボックス方式”では、消費者がサイト上の簡単なアンケートに答えることによって、商品の絞込みを行なう。2つ目の“ルールベース方式”は、企業のマーケティング担当者が決めたお奨めの基準に従い、個別のマーケティングを行なうというもの。日本ではこの段階にある企業が多いという。そして3番目が“協調フィルタリング”であり、この分野を開拓するためにNPJのソフトを売り込んでいくとしている。

日本における電子商取引(EC)の規模は、'99年で1900億円、2000年には4300億円となっており、2003年には3兆円を突破するという予測がされている。EC先進国の米国と比較した場合、'99年では30倍近い規模の開きがあるが、それが2003年には7倍程度までに狭まり、段々と追い付いていくという。

小野氏は、市場規模が1兆円を超す2002年までにはEC市場における趨勢が固まってくるので、それまでの2~3年の間に、市場で勝ち残れるように体制を整える必要があると指摘した。

トランス・コスモス(株)の船津康次氏
トランス・コスモス(株)の船津康次氏



米ネットパーセプションズとの合弁について、トランス・コスモス(株)の船津康次専務取締役は、昨年の秋ごろから話を進めてきたと語った。同社では米国市場でのリサーチと投資を行なっており、米ネットパーセプションズに対しては400万ドル(約4億8000万円)ほどを投資しているという。

また船津氏は、合弁会社の設立にあたっては、EC市場で勝ち残るためのパートナーと組むことが重要であるとし、NTTソフトウェアと東洋情報システムの出資を仰いだという。

NTTソフトウェア(株)の細谷僚一氏
NTTソフトウェア(株)の細谷僚一氏



NTTソフトウェア(株)の細谷僚一常務取締役は、米ネットパーセプションズが開発した『Recommendation Engine』を同社のデジタルコンテンツ配信技術に導入し、お奨め機能を追加した製品を開発していると語った。同社のインフォパックと呼ばれるソフトにRecommendation Engineを採用し、同社が運営するサイバーモール等で実験を続けながら、市場に投入していくという。

(株)東洋情報システムの船津康次氏
(株)東洋情報システムの船津康次氏



(株)東洋情報システムでサイバービジネス事業部の部長を務める上西義行取締役は、日本ではまだECが本格的に立ちあがっていないと指摘。そのため同社では、ECの活性化に取り組んでいるという。

上西氏は、日本のECサイトには3つの段階があるとしている。1つ目は、ただサイトを立ち上げただけで、積極的なマーケティングを行なっていない段階。多くのサイトが、未だこの段階にあるという。2つ目は、自社のサイトにトラフィックを集めようとプロモーションを行なっている段階で、これからはこの段階にステップアップするサイトが増えるだろうと見ている。

そして3つ目は、ウェブ上の店舗のほうが実際の小売店よりも便利だとアピールする段階になるという。そのうえで、NPJの製品は、3つ目の段階にステップアップするために欠かせないものになると強調した。

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