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産官学民連携に大きく踏み出す--神戸マルチメディア・インターネット協議会から

1999年07月22日 00時00分更新

文● 正月孝広

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会場となった神戸ポートピアランドにあるホテルゴーフル
会場となった神戸ポートピアランドにあるホテルゴーフル



大震災から100日目にできた協議会、さらに踏み出せ

“神戸マルチメディア・インターネット協議会”は、7月19日、神戸ポートアイランドにあるホテルゴーフルで、'99年度(平成11年度)総会ならびに講演会を開催した。

会場はびっしり
会場はびっしり



港町として、古くから世界各国との交流の盛んな神戸では、“神戸国際マルチメディア文化都市(KIMEC)構想”を掲げている。この構想の名称が示すように、デジタル世界においても早くから活発な交流を始めていた。そんな中で神戸は、'95年1月17日に発生した阪神・淡路大震災により、壊滅的な打撃を受ける。その100日目を機に震災復興のコンソーシアムとして設立されたのが、“神戸マルチメディア・インターネット協議会(KMIC)”である。協議会では、復興情報の配信、地域支援活動、インターネットの啓蒙などを中心に、多様な活動を繰り広げてきている。今年が設立5年目の契機にあたる。

神戸大学大学院自然科学研究科教授、田中克己氏
神戸大学大学院自然科学研究科教授、田中克己氏


総会は、KMICの会長である、神戸大学大学院自然科学研究科教授、田中克己氏の挨拶で始まった。その中で田中氏は、設立から5年目を迎え、いままでの、インターネットの普及活動やボランティア的な活動から、1歩前に出る必要を感じると語った。そのために、現在のようなインターネットに関する技術的セミナーを充実させたり、地域貢献を継続したりもしながら、官民学単独では実現できにくい事業に力を入れていきたいと強調した。KIMECの2000年プロジェクトや、行政から出される各プロジェクトの支援などである。


田中克己教授の講演に聞き入る聴講者

ウェブとデータベースと課金との関係

その後、講演会を開いた。演目は“マクロメディアの考えるインターネットビジネスとテクノロジー”、“デジタルビジネス、ニッポンのチャンス!”、“インターネットのビジネスと放送メディア”の3つである。

神戸大学教授、田中克己氏(左)と神戸マルチメディア・インターネット協議会事務局、松本笑美子氏
神戸大学教授、田中克己氏(左)と神戸マルチメディア・インターネット協議会事務局、松本笑美子氏



最初に“マクロメディアの考えるインターネットビジネスとテクノロジー”と題し、マクロメディア(株)取締役プロダクトマーケティングディレクター、坂口城治氏が講演した。ここ数年の同社の事業方向転換の話から、最新のウェブテクノロジーの話題まで幅広く展開した。

マクロメディア(株)取締役プロダクトマーケティングディレクター、坂口城治氏。向かって右の肩越しに立ち姿で見える人物は、京都大学の美濃教授かもしれない
マクロメディア(株)取締役プロダクトマーケティングディレクター、坂口城治氏。向かって右の肩越しに立ち姿で見える人物は、京都大学の美濃教授かもしれない



その中で、すべてのウェブはデータベースと密接な関係があるとし、データベース管理能力の必要性を強調したところは興味深いものであった。後半では、Flashテクノロジーによるウェブの表現の可能性や、間もなく公開されるshockwave.comのデモンストレーションを挙行した。特にこのshockwave.comは、非常に透明度の高い課金制度を採用するコンテンツデータベースサイトとして、世界中から注目されているビジネスモデルである。

1人の放送局、1500人の放送局

KandaNewsNwtworkビデオジャーナリスト、神田敏晶氏
KandaNewsNwtworkビデオジャーナリスト、神田敏晶氏



続いて“デジタルビジネス、ニッポンのチャンス!”と題して、ビデオジャーナリスト、KandaNewsNwtworkの神田敏晶氏が講演した。神田氏の講演スタイルは、世界を飛び回り、撮影編集した映像を上映しながら話すというもので、とても新鮮である。

神田敏晶氏のおなじみの笑顔
神田敏晶氏のおなじみの笑顔



米国にも事務所を開設している神田氏は、自分の目で見てきたこととして、シリコンバレーにおける合従連衡について、実感を交えて評した。シリコンバレーで日々行われている買収などは、シリコンバレー株式会社の中の人事異動と例えることができ、日本のようなじめじめした暗さは感じられないという。そのため、会社の最終目標を、大手企業による買収とするベンチャーは少なくないのである。社会基盤に頼るのではなく、アイデアを自分の力でビジネスプランとして書き上げ、プレゼンしていくパワーが、これからの日本には必要だと述べた。

世界で一番小さな放送局、KNN神田敏晶氏(左)と年商3000億円の上場会社、フジテレビの久保木準一氏
世界で一番小さな放送局、KNN神田敏晶氏(左)と年商3000億円の上場会社、フジテレビの久保木準一氏



最後に“インターネットのビジネスと放送メディア”と題して、フジテレビジョンの技術本部技術局技術開発室企画開発部、久保木準一氏が講演した。来年にも始まるデジタル衛星放送の規格面で問題や、地上波を含めたデジタル化への移行スケジュール、インターネットとの関わりなど、テクニカルな話題を中心に話を進めた。

フジテレビジョン技術本部技術局技術開発室企画開発部、久保木準一氏
フジテレビジョン技術本部技術局技術開発室企画開発部、久保木準一氏



視聴者側が、規格の話ばかり先行しているように感じているかもしれない現状に配慮して、次のように説明した。放送という事業の社会的使命や責任において、子供から老人まで簡単に見ることができ、かつ、端末をリーズナブルな価格にする必要がある。そのためには、どうしても詳細に規格を決めないといけないという。そういう意味では、自由度の大きいパソコンとは、システム要件が大きく異なると語った。パソコンの場合、拡張カードやソフトウェアのバージョンアップなどで、後から対処できるからである。

懇親会で挨拶する田中克己教授
懇親会で挨拶する田中克己教授



神戸を中心に活動する“神戸マルチメディア・インターネット協議会”。今後、官民学というフレームにとらわれない、自由で動きの速い活動に期待したい。

田中克己教授はマルチメディアデータベースの研究における第一人者
田中克己教授はマルチメディアデータベースの研究における第一人者

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