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NECが“3D WAVE Digital Innovation '99”を開催――世界最高性能を達成した3Dグラフィックアクセラレーター『TE4E』を初公開

1999年07月16日 00時00分更新

文● 編集部 佐々木千之

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日本電気(株)は16日、東京・品川のホテルで、同社のエンジニアリングワークステーション『Express5800』シリーズを中心としたプライベートショー“3D WAVE Digital Innovation '99”を開催した。会場では、同社が6月21日に発表したばかりの最新鋭3Dグラフィックアクセラレーター『TE4E』がExpress5800に搭載されて初めて公開され、大勢のエンジニアで賑わっていた。

NECの小林一彦取締役支配人
NECの小林一彦取締役支配人



NECの小林一彦取締役支配人は、“NECのExpress5800シリーズ事業戦略”と題した基調講演を行なった。その中で、「従来の3次元ワークステーション製品においては、UNIXワークステーションが主流だったが、最近インテルプロセッサーを搭載したWindows NTベースのワークステーションが急伸長している」と述べ、その理由として「圧倒的なコストパフォーマンス」を挙げた。具体例として、CDRS-04(グラフィックス描画の標準性能指標値)が131.1であるサン・マイクロシステムズ の『Ultra60 260』が549万5000円に対し、TE4Eを装備したNECの『Express5800/56Wb』は198万円(CDRS-04の値は250)であるとし、「高性能で低価格」とアピール。アプリケーションについても、「CADやCAMなどの3Dアプリケーションに関しても、UNIXで提供されてきた著名なソフトのほとんどがNT対応され、NTしかサポートしないものも出てきた」さらに、NECでは、ソフトウェアベンダーと協力して、アプリケーションの動作認定と特定のハードウェアに合わせた性能のチューンアップを実施しているという。こうしたチューンアップにより、「性能が200パーセントアップした例もある」と述べた。

また、6月21日に発表した3DグラフィックアクセラレーターTE4Eに触れ、SGIの『Cobalt』、IBM/Intergraphの『Wildcat4000』といった従来最高速といわれているものよりも、「1.5倍の性能を持つ」と、その高速性をアピールした。このTE4Eは、ゲームセンター用機器開発を手がける(株)リアルビジョンと共同開発した製品で、前モデルである『TE3A』では、R5000を6個使用していたジオメトリー処理を、ハードワイヤードにして1チップ化したジオメトリーエンジン『GA400』を搭載する。このGA400の演算性能は、7.3GFLOPSと「従来のスーパーコンピューターにも匹敵する性能」という。今後TE4Eを2枚使用して並行処理をさせる『TE4M』、来年には「TE4Eの4~5倍の性能を持つ製品」を投入することも明らかにした。

さらに小林氏はExpress5800の信頼性について述べた。ハードウェア面では出荷状態にセットアップしたExpress5800は、搬送時の高速道路の振動を再現したテストや、ゴム製のハンマーで筐体をたたいて接触不良を洗い出すタッピングテスト、ビニール袋をかぶせて40度以上の状態で16時間以上稼動させるテストなどを行ない、パスしたものだけを出荷しているという。また、一般にUNIXに比べて弱いとされるWindows NTの障害時のサポートについて、マイクロソフトとの協業により、「ユーザーからの障害報告に対し、既知の問題であれば72時間以内の回答、そうでない場合は14日以内にバグフィックス版を提供可能」であり、UNIXでのサポートに劣らないことをアピールした。このような対応は2年前から実現しているというが、このため、NECでは数10名の社員を米マイクロソフトのWindows NT開発現場に常駐させており、ここで対応されたバグフィックス版はその後サービスパックとして提供される仕組みとなっているという。このほかインテルと共同でソリューションセンターを開設しており、Express5800上で動作するアプリケーションの性能を最大限発揮できるようチューニングしているという。このようなチューニングを施すことで「平均5.4倍のパフォーマンス向上が図れる」と述べた。

会場では、講演のほかにいくつものトラックに分かれたセミナーや、各ソフトウェアベンダーのデモが行なわれていた。特にTE4Eについては、初めての公開とあって、そのスピードを見極めようとするエンジニアが人だかりとなっていた。

同じアプリケーションを動作させて、TE4E搭載Express5800と、ヒューレットパッカードの『KAYAK』、SGIの『NT Worksation』と速度の違いをアピール
同じアプリケーションを動作させて、TE4E搭載Express5800と、ヒューレットパッカードの『KAYAK』、SGIの『NT Worksation』と速度の違いをアピール



ソリッドワークス・ジャパン(株)『SolidWorks 99』
ソリッドワークス・ジャパン(株)『SolidWorks 99』



・ソリッドワークス・ジャパン
 http://www.solidworks.co.jp/

ダッソー・システムズ(株)『CATIA Version5』
ダッソー・システムズ(株)『CATIA Version5』



・ダッソー・システムズ
 http://www.dsweb.com/

日本エス ディー アール シー(株)『I-DEAS Master Series7』
日本エス ディー アール シー(株)『I-DEAS Master Series7』



・日本エス ディー アール シー
 http://www.sdrc.co.jp/

日本パラメトリック・テクノロジー(株)『Pro/ENGINEER 2000i』
日本パラメトリック・テクノロジー(株)『Pro/ENGINEER 2000i』



・日本パラメトリック・テクノロジー
 http://www.ptc.com/

ユニグラフィックス・ソリューションズ・ジャパン(株)『Unigraphics』(写真は伊藤忠テクノサイエンスブースのもの)
ユニグラフィックス・ソリューションズ・ジャパン(株)『Unigraphics』(写真は伊藤忠テクノサイエンスブースのもの)


・ユニグラフィックス・ソリューションズ・ジャパン
 http://www.ugsolutions.co.jp/

(株)ディ・ストーム『LightWave 3D Ver.5.6』
(株)ディ・ストーム『LightWave 3D Ver.5.6』



・ディ・ストーム
 http://www.dstorm.co.jp/

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