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岐阜IAMASで音楽処理関連システム“MSP”のサマースクールを開催

1999年07月08日 00時00分更新

文● Yuko Nexus6

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岐阜県大垣市の国際情報科学芸術アカデミー(ISMAS)で、8月25日から、音楽処理関連システムのMSPに関するサマースクールが実施される。MSPの解説を含めて、Yuko Nexus6が報告する。

現在もっとも注目されている電子音楽の制作環境“MSP”

一般の方には馴染みが薄いかもしれないが、電子音楽や音響合成に関する制作、研究、教育現場では必須と考えられているものに音楽信号処理関連システム、MSPがある。フランス国立の音響研究所“イルカム”で開発され、米国Opcode社によって商品化された音楽プログラミング環境“MAX”。MSPは、このMAXと組み合わせることによって、コンピューターだけであらゆる音をリアルタイムに作り出すことができる強力なデジタルシグナルプロセッシング用のプラグインなのである。

音楽制作の現場でMIDI楽器やHDレコーダーが注目を集めたのも束の間、最近ではCPUパワーの増大とともにコンピューターによる音源制作や音響処理が実現し、レコーディングやライブパフォーマンス、インスタレーションなどに幅広
く応用されている。そこで現在もっとも注目されている制作環境が“MSP”というわけだ。

現に、名古屋港で開催されているメディアアートの展覧会“メディアセレクト”では17作品中、筆者が確認しただけでも音を扱った4作品でMAX/MSPが使用されていた。音楽だけでなくメディアアートの世界でもMSPはスタンダードになりつつある。

MSPの実例。1つひとつの部品(object)を線で繋いでいく直感的に分かりやすいプログラミングのスタイルを備えている
MSPの実例。1つひとつの部品(object)を線で繋いでいく直感的に分かりやすいプログラミングのスタイルを備えている



天才プログラマー、ジッカレリ氏がこのために初来日

今回、岐阜県大垣市の国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)で開催される“MSPサマースクール”は、MSP開発者であるディビッド・ジッカレリ氏ら充実の講師陣を招聘し、8月25日(水)~29日(日)の5日間、各日とも午前9時から午後7時までみっちりワークショップが行なわれる。

DTM愛好者、電子音楽家の間に熱烈なファンも多い天才プログラマー、ジッカレリ氏がこのために初来日するのが大きな目玉である。またIAMAS側の講師として参加する三輪、赤松の両氏は今年春に神戸ジーベックホールで50台のiMacを使用したMSPベースのインスタレーション“incubator”を成功させた立役者だ。

MAX/MSPの開発者ディビッド・ジッカレリ氏が講師として初来日。氏が制作した創造的な音楽・音響制作プログラムを愛用してきた者にとっては、彼の来日そのものが1つの“事件”だ MAX/MSPの開発者ディビッド・ジッカレリ氏が講師として初来日。氏が制作した創造的な音楽・音響制作プログラムを愛用してきた者にとっては、彼の来日そのものが1つの“事件”だ



MSP実例パッチの開発者レスリー・スタック氏(ミルズ大学)もこのために再来日。昨年は神奈川芸術祭のためにダンサーがMax/MSPを操作する作品を発表した MSP実例パッチの開発者レスリー・スタック氏(ミルズ大学)もこのために再来日。昨年は神奈川芸術祭のためにダンサーがMax/MSPを操作する作品を発表した



日本人講師陣も充実。仏イルカム所属の後藤英氏はMSPによるリアル・タイム音響合成作品で知られる 日本人講師陣も充実。仏イルカム所属の後藤英氏はMSPによるリアル・タイム音響合成作品で知られる



作曲家、IAMAS教授の三輪眞弘氏。「音楽的にも選りすぐりの講師が腰を据えて行なうこのサマースクールは知る人ぞ知る大イベントだと考えている。そしてそんなことより何より、楽しそう!」 作曲家、IAMAS教授の三輪眞弘氏。「音楽的にも選りすぐりの講師が腰を据えて行なうこのサマースクールは知る人ぞ知る大イベントだと考えている。そしてそんなことより何より、楽しそう!」



IAMAS助教授の赤松正行氏。著作『マジカルMAXツアー』は、日本語で書かれたMAXの解説書として最良かつ唯一のものとして知られる IAMAS助教授の赤松正行氏。著作『マジカルMAXツアー』は、日本語で書かれたMAXの解説書として最良かつ唯一のものとして知られる



初心者と経験者の2コースに分かれ、各自のコンピューターを操作しながら、MSPの基礎から応用までを体験的に習得する形式で、受講料2万円。各コース定員は25名(合計50名)だが現時点ですでに半数が予約で埋まっているのこと。申込方法や詳細情報はhttp://mspss.iamas.ac.jp/に掲載されている。交通案内や宿泊施設情報、それにFAQのページも大変充実している。

またイブニングセッションでは、作品紹介や意見交換などを通じて、MSP活用の個別の具体的な内容を掘り下げていく予定。実例のプレゼンテーションや論文なども募集している。単なる技術講習会ではなく、MSPを使った新しい表現を模索し、ユーザー、アーティスト間の交流を深める機会としても注目される。


次代のメディアを担う若者が学ぶIAMAS。受講者は期間中、大垣市内に滞在することになるが、IAMASの充実した設備と独自の校風を体験するいい機会になるだろう。サマースクールではないが、IAMASに2年通った第1期卒業生、小倉一平氏はIAMASのすばらしさを強調している

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