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ツールのベンダーから、プラットフォームのベンダーへ――米Allaire社社長兼CEO、David J.Orfao氏

1999年07月06日 00時00分更新

文● 編集部 山本誠志

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(株)シリウスは6月22日、アプリケーションサーバー『ColdFusion 4.0J』の販売を開始した。ColdFusionは、ウェブサーバーとバックエンドのデータソースを連携するための、“サーバーの接着剤”とも言うべき役割を担う製品である。ColdFusionでは、アプリケーションを構築するために“CFML(ColdFusion Markup Language)”と呼ばれる独自の開発言語を用いることが特徴。CFMLはHTMLに似たタグベースのプログラム開発言語であり、一般的なスクリプト言語に比べ、少ないコード量で高い機能を実現できるという。

ColdFusionの開発元である米Allaire社は、ウェブ関連ツールを柱として、近年急速に成長してきた。現在、ColdFusionに携わる開発者は、全世界で32万人に上る。今回は、そのAllireの社長兼CEO、David Orfao氏にお話をうかがった。

『ColdFusion』の開発元である米Allaire社の社長兼CEO、David J.Orfao氏(右)
『ColdFusion』の開発元である米Allaire社の社長兼CEO、David J.Orfao氏(右)



開発環境と運用管理――ウェブアプリケーションの2つの柱

Allaireは、今年の1月に株式を公開した。それによって、5000万ドル(約60億円)に資金を手に入れたと言われている。同社はその後、米Bright Tiger Technologies社と米Live Software社を買収し、従来の位置づけであった“ウェブツールのベンダー”から“ウェブプラットフォームのベンダー”へと脱皮を図る。では、同社が提供するウェブプラットフォームとはどういうものなのだろうか?

「IDCの調査によると、アプリケーション開発用プラットフォームとして、ウェブとJavaが急速に伸びていくと予想しています。Allaireは、開発プラットフォームとして、すでにウェブとJavaの両方をサポートしています。ここで言う“ウェブ”とは、HTMLやASP(Active Server Pages)、そしてColdFusion用の開発言語“CFML”などを含むものです。もう一方のJavaについては、Java開発・実行環境を提供する製品『JRUN』によってカバーしていきます」

JRUNはもともとLive Softwareが提供していたJavaプラットフォーム製品である。Allaireは今年、Live Softwareを買収することで、JRUNを自社の製品としてラインナップに加えた。これによって同社は、Javaを含めたウェブの環境をすべて提供できるようになった。

「ユーザーにとって、アプリケーションの開発が完了したからと言って、それですべて終わるわけではありません。アプリケーションの運用と管理は、ユーザーにとって重要な問題です。特にウェブアプリケーションの場合は、スケーラビリティーの確保が重要です。今日、世界中で1億人がウェブを利用していると言われていますが、これは5年以内に4億人にまで成長するという見方もあります。Allaireは、今年買収したBright Tigerのテクノロジーによって、スケーラビリティーを提供しています。Bright Tigerのロードバランシングやフェイルオーバー、クラスター化などの機能を提供することで、スケーラビリティーを確保できるのです」

今回発表の『ColdFusion 4.0 Enterprise(日本語版)』および米国で昨年11月に発表された『ColdFusion 4.0 Enterprise(英語版)』には、すでにロードバランシングやクラスタ化などの機能が搭載されている。ウェブサイトのパフォーマンスを上げるために、多数のアクセスを複数のサーバーマシンが効率良く分担する仕組みを提供するもので、いずれもBright Tigerの技術を用いたものだ。英語版ColdFusion 4.0では、OEMライセンスの形でBright Tigerの技術を搭載した。米国でColdFusion 4.0をリリースした後、AllaireはBright Tigerを完全に買収したのである。

「Allaireでは、Bright Tigerの技術を単独の製品として出すことも考えています。来年には発売する見込みです」

Allaireが提供するウェブアプリケーションプラットフォーム

Allaireは、ウェブプラットフォームを提供するために、4つのキーセグメントで製品を提供するという。彼らが言うキーセグメントとはすなわち、“開発環境”、“アプリケーションサーバー”、“ウェブマネージメント”、“パッケージシステム”の4つである。それでは彼らは、各セグメントにおいて具体的にどのような製品をラインナップしていくのだろうか。

「“開発環境”としては、今回発表した『ColdFusion Studio』のほか、従来からHTMLエディター『HOME SITE』を提供しています。“アプリケーションサーバー”としては、Allaireの主力製品である『ColdFusion Server』が挙げられます。先ほどお話しした『JRUN』も、アプリケーションサーバーに含みます。3番目の“ウェブマネージメント”は、Bright Tigerによって実現されるスケーラビリティーや可用性のことを指します。最後の“パッケージシステム”ですが、コンテンツ管理や電子商取引を提供し、開発者の生産効率を上げる製品を考えています。現在はまだラインナップしていませんが、パッケージシステムについてはコードネーム『Tempest』と呼んでいる製品を開発しており、これは7月21日に発表する予定です。来年には、日本語版も発表します」

年内にはLinuxへの対応も

最後に、Linuxへの対応について語っていただいた。

「Allaireは今年の第4四半期に、米国で『ColdFusion 4.5』をリリースします。バージョン4.5では、従来サポートしていたWindows NTとSolarisに加え、新たにLinuxをサポートします。スケジュールは未定ですが、ColdFusion 4.5の日本語版も予定しています。そして、Java開発環境のJRUNは、現時点ですでにLinuxをサポートしています。Linuxについて、他社との提携など具体的なビジネスの予定はありませんが、Red HatとCalderaについてサポートしていきますので、将来的にはバンドリングなどを考えています」

『ColdFusion Studio 4.0』(日本語版)の開発環境
『ColdFusion Studio 4.0』(日本語版)の開発環境

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