(株)日立製作所は、“MULTOS”カードと非接触型ICカードの機能を備えたハイブリッドICカードを発表した。同社の、各種ICカードの発行および、ICカードシステム構築と保守運営を行なうサービスである“日立ICカードシステムソリューションズ”のメニューに、このハイブリッドカードを7日から追加する。
ハイブリッドカードの見本 |
MULTOS(Multi-Application Operating System)は、英モンデックス社が提唱するICカード用OSで、1枚のICカードに複数のアプリケーションを搭載できるようにするもの。今回発表されたハイブリッドカードは、1枚のプラスチックカードのなかに、MULTOS
ICチップに加え、オランダのフィリップス社の非接触方式“MIFARE”のICチップとアンテナを内蔵する。チップに搭載されているMULTOS
OSのバージョンは、バージョン3。12月にはバージョン4に対応する予定。
ハイブリッドカードの価格は、表面にロゴなどプリントをしない状態で、1万枚の受注を受けた場合1枚2000円前後から。このハイブリッドカードの製造は、日立同様、MULTOS
普及のためのコンソーシアム“MAOSCO”の立ち上げに関わった大日本印刷(株)が行なう。
日立ICカードシステムソリューションズ
今回発表されたハイブリッドカード用に設けられた“日立ICカードシステムソリューションズ”のサービスメニューと、代表的な搭載アプリケーションは以下のとおり。ICカードシステム全体の設計、MULTOS用のデータベース構築、システムの保守運営、ICカードの発行などを提供する。・決済ソリューション:クレジットカード、電子マネーシステムなど。金融業が主な対象。
・キャンパスカードソリューション:食堂売店、入退管理、証明書発行システムなど。大学などの教育機関が主な対象。
・会員カードソリューション:クレジットカード、ポイントカードシステムなど。百貨店の顧客カードなどを想定。
・社員カードソリューション:情報セキュリティー、入退管理、食堂売店システムなど。一般企業が対象。
パソコン接続が可能なハイブリッドカード用『据置リーダライタ』のモデル |
ハイブリッドカード用の入退室管理システムの模型 |
今後は、介護保険、アミューズメント、物流といった分野のメニューも拡充する予定。また、同社のセキュリティー製品やサービス“secureplaza”と組み合わせてシステムを構築することも可能となっている。
情報システム事業本部長の山本晃司常務 |
日立は、これまで東日本電信電話(株)、西日本電信電話(株)、マイカルカード(株)などにICカードを納入した実績がある。今回発表されたハイブリッドカードとサービスは国内販売をターゲットとしたもので、5年間でハードウェアやサービスの販売も含め、1800億円を目指すという。