ネットワーク出版研究委員会(JEPA)は23日、“コンテンツパラダイスとBook
Jacket”というテーマで、会員向けにセミナーを開催した。このセミナーは凸版印刷(株)が運営している、デジタルコンテンツ配信サイト“コンテンツパラダイス”とデジタルコンテンツを見る専用ビューアーソフト“Book
Jacket”の仕組みを紹介するもの。凸版印刷の情報・出版事業本部メディア販促部の斉山英文(さいやまひでふみ)課長と大竹善二郎氏がセミナーの講師を務めた。
なお、JEPA(Japan Electronic Publishing Association)は、出版社や印刷会社、コンピューターメーカー、ソフトウエア会社などが、電子出版の普及促進を目的として'86年に設立した団体。
 |
|---|
| 凸版印刷の情報・出版事業本部メディア販促部の斉山英文課長(左)と大竹善二郎氏 |
コンテンツパラダイスは、出版社の持っている書籍などコンテンツをインターネット上で配信する有料サイトで、凸版印刷が運営している。'97年から試験運営を行なっており、'99年4月に本格運営を開始している。主なサービスは、電子書籍のダウンロードサービスとコンテンツの掲載サービスの2つ。これらは、出版社の書籍や雑誌、写真などのコンテンツを凸版印刷が無料でデジタルデータに変換し、コンテンツパラダイスのホームページ上あるいは契約プロバイダーにて販売が行なわれる。そして、販売された収入の一部が出版社に戻されるという仕組み。なお、デジタルデータは、最終的にXMLデータとして保管されるという。
コンテンツパラダイスのサービス
コンテンツ掲載サービスは、ホームページ上で情報の閲覧などを行なうサービス。辞書検索サービスや雑誌閲覧サービスなどを行なっており、現在21のコンテンツが提供されている。電子書籍のダウンロードサービスは、有料のダウンロードによって情報を取得できるサービス。ホームページ上で見ることはできない。同社は、ある程度まとまった単位(章や本など)のデジタルコンテンツを電子書籍と位置付けている。ダウンロードされた電子書籍は、専用ビューアーソフトの『Book Jacket』によって見ることが可能。Book Jacket用のファイルには、画像やレイアウト情報も含まれている。そのほか、PDFファイルやテキストファイルの提供も行なわれているという。小説や写真集など、現在86の電子書籍が提供されている。
現在の課金方法は、ビットキャッシュ(株)のBitCash、(株)ユーカードのNET-U、サイバービジネス協議会のInternet Cashの課金システムを利用している。また、BIGLOBEやNIFTY SERVEの通信料とともに課金することも可能である。課金のパターンとしては、ダウンロード件数の課金や日額(時間単位)チケット課金、月額チケット課金の方法を取っている。
 |
|---|
| 『Book Jacket』のビューアー画面 |
『Book Jacket』
Book Jacketは、パソコンでデジタルコンテンツを表示するためのビューアーソフトで、'99年4月より同社のホームページにおいて無償提供を行なっている。コンテンツパラダイスでダウンロードした電子書籍を、このソフトを使って見ることができる。日本語組版表示機能により、画面に合わせた細かいレイアウトが行なえる。縦組、ルビ、添字、禁則、調整の機能などを利用することにより、日本語の文書をより印刷物に近いかたちで表現可能という。また、表示フォントの縁を滑らかにして文字をきれいに見せる、アンチエイリアシングも行なえる。
デジタルコンテンツのポータルサイトへ
コンテンツパラダイスの今後の展開としては、コンテンツの数を増やし、デジタルコンテンツのポータルサイト化を図るという。また、スーパーキャッシュ協議会のスーパーキャッシュなど、新しい課金方式にも対応し、販売方法の多重化も図っていくとしている。そのほか、出版物を中心とした物販の決済や、オンデマンド印刷も行なう予定だという。出版事業本部メディア販促部の斉山英文課長は、「コンテンツパラダイスへ預託することにより、出版社は煩雑な手続きなしに、デジタルコンテンツの流通サービスを行なうことができる。制作料金は当面の間無料とし、2000年度には1500の電子書籍と100の掲載型コンテンツを用意したい」と述べた。
