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アジアネット、ネットを利用したキャリアアップを指南するセミナーを開催

1999年06月29日 00時00分更新

文● 大木美穂

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アジアネット(株)は26日、デジタルハリウッド横浜校にて、“「インターネットキャリアアップセミナー」 ~NET就職・独立を成功させる最新スキル~”と題したセミナーを開催した。

同社は、日本で初めてインターネット・リクルーティングを手がけた企業。インターネットビジネスが注目される中、会場にはこれからネットビジネスに挑戦しようと考える社会人や同校生徒を中心に、約100人が詰めかけた。

会場に集まった参加者には、学生など若い人が多かった
会場に集まった参加者には、学生など若い人が多かった



セミナーは、第1部が“日米インターネット事業”、第2部が“インターネットでキャリアアップする方法”という2部構成で開催された。

10年後の大統領選挙はネット投票に?

第1部では、アジアネット(株)代表取締役の西マイケル氏が講演を行なった。内容は、米国での調査結果や事例をもとに、インターネットがいかに日常生活に密着しているかを紹介するというもの。

アジアネット(株)の西マイケル代表取締役 アジアネット(株)の西マイケル代表取締役



西氏によると、米国のインターネットユーザー数は8500万人。ウェブサイトの72%はアメリカにあり、Electronic Commerce(EC)は今年1兆円市場になると見られているという。

最近のユーザー調査では、回答者の99%がさまざまなリサーチにインターネットを利用していることがわかった。また、“どのくらい支払えば1年間インターネットを使わないで我慢できるか”という質問では、1000万円という回答が得られたとのこと。そして55%の回答者が、10年後の米大統領選挙はオンラインで行なわれると信じているという。

市場動向については、オークションサイトで知られる米ebay社が、設立後3年で、かつての最大手企業を買収するまでに急成長した事例を紹介した。また、電子メールのアドレスを無料で取得できるサービスについても言及し、これらのサービス手法が“ヴィルス・マーケティング”と呼ばれていることを披露した。

月に300万円を稼ぎ出す個人運営サイト

引き続いて講演を行なったのは、インターネットASCII編集長の根岸智幸氏。根岸氏は、日本国内におけるネットビジネスの成功事例を紹介した。

インターネットASCIIの根岸智幸編集長
インターネットASCIIの根岸智幸編集長



根岸氏によると、いまネットビジネスで成功している人たちは、ちょっと発想がよかったり、ちょっと手がけるのが早かったことに勝因があるという。また、ちょっとしたアイデアや工夫があれば、資本や手間がかからないのがネットビジネスであると語り、参加者に対しては、スグにでも情報発信を開始してビジネスチャンスを広げて欲しいと訴えた。

根岸氏が紹介した成功事例の1つは、懸賞やプレゼントの情報を集中的に紹介する“チャンスイット”。同サイトの運営者は現役のサラリーマンで、帰宅後に毎日5時間、サイトのメンテナンスを行なっているという。アクセス数は1日あたり18~19万件で、月あたり約300万円の広告収入があるとのことだ。ちなみに運営経費は通信費だけ。月あたり1000万円の収入を目指している、日本で数少ない成功者だ。

もう1つの成功事例は、メールマガジンの“まぐまぐ”。現在は約7000誌を扱っており、中には毎週10万部発行するものもあるとか。広告収入は月に数100万円になっているらしい。

オンラインショッピングについては、根岸氏によると銀行やデパートが運営するサイトは9割9分が失敗しているという。中にはカード系金融会社のように、すでに撤退を検討しているところもある。

その中で唯一といえる成功例は、“楽天市場”というベンチャー系サイト。同サイトの特徴は、積極的に個人の店や小さい店を招致していること。他のバーチャルモールは月に数10万円もの高額な出店料を要求するが、楽天市場は月に5万円と格段に安い。それでいてサービスが充実しているため、結果的によい店が集まっているという。根岸氏は具体例として、花の送付サービスを行なっている生花店が、送った花の写真を送り主にプレゼントして喜ばれているというケースを紹介した。

就職応募のメールは、最初の3行が勝負!

第2部は、識者を招いてのパネルディスカッション。パネリストには前述の根岸編集長に加え、アンダーセンコンサルティング人事部の林原すわみ氏が加わった。コーディネーターは、アジアネット(株)企画部長の勝部優子氏が務めた。

パネリストの根岸智幸氏と林原すわみ氏
パネリストの根岸智幸氏と林原すわみ氏



“インターネットでキャリアアップする方法”という即物的なタイトルを冠したパネルディスカッションでは、人材採用手段としてのインターネットをテーマに意見交換が行なわれた。

ここで交わされた意見では主なものは、以下の通り。

・米国ではインターネット・リクルーティングが当たり前になっている

・日本ではまだ初期段階だが、なかには電子メールで採用通知を送っているという例がある。このケースでは、採用通知を受けた本人が目を疑ったとか

・企業が実施する採用説明会のコストは実はかなり高くつくもので、インターネットによる告知手法は、コスト削減面からも受け入れられる方向にある

・アンダーセンコンサルティングでは、インターネットを通じての採用者数が昨年はゼロだったが、今年は全体の9.9%を占めた。今後も増加傾向にある

これらの意見交換を踏まえ、参加者に対しては、インターネットリクルーティングに応募する際の注意点が伝授された。それは“電子メールであっても、綺麗な日本語を使うこと”、“自分のやりたい仕事、スキルを簡潔に、わかりやすい文章で伝える”、“最初の3行にそれをまとめる”の3点だそうだ。

ネットを利用して理想の職を探す

セミナーの最後は、アジアネット(株)の勝部優子氏が、米国のインターネットリクルーティング事情を紹介する講演で締めくくった。

アジアネット(株)の勝部優子氏 アジアネット(株)の勝部優子氏



勝部氏によると、米国企業の約7割が、インターネットリクルーティングを活用しているという。例えば米シスコ・システムズ社では、求人応募の81%がインターネット経由によるもの。ネットを利用する理由としては、採用活動にかかるコストの低減、迅速化、ボーダーレスな採用が可能になること、が挙げられている。

日本の状況については、さまざまな求人情報サイトを例として紹介。アジアネット(株)ではメーリングリストで採用情報を通知しており、すでに8万人が登録しているという。

また勝部氏は、キャリア情報サイトを利用する際の注意点を挙げた。それは、採用が決定したら、あちこちに掲示した自分の応募情報を消すということ。中には消し忘れがトラブルに発展するケースさえあるとのことだ。ただし、サイトによっては一度個人情報を掲載すると自分では削除できないところもあるので、掲載前には掲載条件をよく確認しておくべきとも語った。

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