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【SPEACH&INTERVIEW】“世界で一番小さな放送局を作った男”――ビデオジャーナリスト 神田敏晶

1999年06月25日 00時00分更新

文● 正月孝広

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世界中のイベント会場にこの人の姿ありという、文字通り世界を飛び回りインターネットを駆使し情報を発信する、ビデオジャーナリスト神田敏晶(KNN/KandaNewsNetwork)氏のセミナーが、6月24日デジタルハリウッド大阪校地下1Fのセミナールームで行なわれた。

今回会場となったデジタルハリウッド大阪校では、各業界の最新の話題を携えたゲストスピーカーを招いてのセミナーが頻繁に行なわれており、関西でも最先端を走り続けるデジタルプレースである。

デジタルハリウッド大阪校B1FにあるコミュニケーションスペースHUB。この右側がセミナールーム
デジタルハリウッド大阪校B1FにあるコミュニケーションスペースHUB。この右側がセミナールーム



人と人とが集まって同じ場所で同じ空気を吸うという価値観

「今日は精神論ですすめる(笑)」として始まった神田氏のセミナーは、途中レジュメとは大きく脱線しながらも、テンポよく進んだ。導入部分でデジタルとアナログの価値観は、今後アナログの方が重要になってくると語った。

技術の進歩により、遠隔地での映像を使ったコミュニケーションが可能になるが、その反面、人と人とが集まって同じ場所で同じ空気を吸うというコミニュティーの価値が大きくなる。神田氏自身もそのことを自分の目で確かめるために、世界各地を飛び回っているという。

セミナー中の神田敏晶氏
セミナー中の神田敏晶氏



次に「好きな事をして飯を食う方法!」として経験を語った。好きな事をする利点としては、時間の調整が自由にできることや、素早く行動が起こせる反面、自分で自分の仕事を開拓する努力や、常に目標に向かって走る続ける強い意志が必要とのこと。アメリカに事務所を開設した神田氏は、止まらない男として既に有名になり、仲間に“シャーク”というニックネームを頂いている。
また“日本の中だけで考えない”の中でクリエーターへのメッセージとして、アメリカと日本のインターネットマーケットの現状を紹介。アメリカにおいては日々新しい技術が生まれていて、マーケットも20倍の格差がある。日本語という概念に捕らわれることなく、翻訳ソフトを駆使してでも、外国のページとそのソースと見ることをすすめた。

セミナールームにて。話に聞き入る多数の参加者
セミナールームにて。話に聞き入る多数の参加者



マスメディアからの配信ではない新鮮・斬新・多視点な映像

後半は今まで海外で撮影してきたビデオが上映された。このセミナーで語られたことの実証として説得力の大きいものであった。日本国内で映像を見る機会というと、いわゆるマスメディアからの配信が大多数を占める。しかし、それに慣れきっている心でみると、神田氏の映像は、新鮮でもあり、斬新でもあり、多視点での思考を考えざるを得ない。
 
一例を挙げると、国内のメディアで流されたフランスワールドカップの映像と、神田氏がスタジアムでの客席から撮った映像。どちらもワールドカップという真実なのだが、1人の目線での映像は今までにない力となって伝わってきた。

神田氏のセミナーはこのビデオ上映で幕を閉じるのだが、インタビューを行なったので、いくつか気になる話題をお届けしたい。

――世界中でインターネットにアクセスされていますが、どのような環境でされているのですか?
 
「基本的にPowerBookです。カードの相性が大事なのですが、DOS系ではなぜか相性のいいのがなくてPowerBookを使っています。プロバイダーは数年前はいろいろ使っていましたが、最近は世界中どこでもAOLを利用しています」

――英語というツールとしての“ことば”は今後必要と感じますか?
 
「これはもう痛切に必要と感じています。アメリカという国だけ見るのではなく、世界各地という視点で見ても“英語”は必要です」

――既存のマスメディアとKNNの情報の信頼性については?
 
「マスメディアのフィルターを通してしか世の中を知らない場合、今後インターネット放送がブレイクした時に、ブランドロイヤリティーとしてどこに価値を求めるかですね。KNNは特等席での映像ではないかもしれないが、その話題を取り巻くいろいろな方向を伝えることができます」

――今後数年において回線が増強された場合のKNNのビジョンは?

「僕はテクノロジーオリエンテッドではないので、あまり気にしていないが、今より悪くなることはまずありえない。いままでの活動を継続していれば、自ずと見えてくると思う。分かっているのは自分の仕事を愛することはとても大事だし、自分のやりたいことをやりたいと、きちんとアピールし説得することも大切だということです」

――今年今後の身近な活動の予定は?

「いろいろ仕込んでいますよ(笑)。“世紀末”に向けた企画をいくつか進行しています。10月にはまたアメリカに渡り活動してきます」

インタビュー中の神田敏晶氏 インタビュー中の神田敏晶氏


なお、同校の姉妹校の横浜校では、6月26日にインターネットアスキーの根岸編集長を迎えて、7月10日にMACPOWERの石坂編集長を迎えて、セミナーを開催する。

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