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ソフトバンク、今度はおもちゃをインターネットで販売――玩具メーカーと共同で合弁会社設立

1999年06月24日 00時00分更新

文● 編集部 白神貴司

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ソフトバンク(株)は24日、都内で記者会見を開催し、玩具メーカーなどと共同で、インターネットで玩具を販売する新会社を7月にも設立すると発表した。営業開始は11月を予定している。ソフトバンクは今月3日、(株)トーハン、セブン-イレブン・ジャパン(株)などと提携して、書籍の電子商取引を行なう合弁会社“イー・ショッピング・ブックス株式会社”の設立を発表したばかりだが、これで玩具の電子商取引にも挑戦することになる。

新会社について説明するソフトバンクの孫正義社長
新会社について説明するソフトバンクの孫正義社長



新会社の名称は“イー・ショッピング・トイズ株式会社”(略称:eS-Toys)で、代表者にはソフトバンクの宮内謙取締役が就任する。資本金は2億円で、ソフトバンクが52.5パーセント、玩具流通業の(株)ハピネットが17.5パーセント、玩具の商品券“おもちゃ券”を発行する(株)トイカードが10パーセントなどとなっている。

合弁に参加するのはソフトバンク、ハピネット、トイカードのほか、ヤフー(株)、(株)エポック社、(株)タカラ、(株)トミー、(株)バンダイの計8社。アクセス数トップを誇る検索サイトと、玩具業界ナンバーワンの流通業、玩具市場において4社で合計65パーセントのシェアを保有する大手メーカーが一堂に会する、大型連合だ。

左から、トミーの富山幹太郎社長、エポック社の前田道裕社長、タカラの佐藤博久社長、バンダイの高須社長、孫正義氏
左から、トミーの富山幹太郎社長、エポック社の前田道裕社長、タカラの佐藤博久社長、バンダイの高須社長、孫正義氏



eS-Toys事業内容はインターネットを利用した玩具の電子商取引で、ウェブサイト“eS-Toys”を運営し、24時間の注文に応じる。製品はスタート時でおよそ20万点にのぼるという。米国で同様のサービスを展開する“eToys”が約1万5000点というから、けた違いの多さとなる。

ユーザーはeS-Toysのウェブサイトから希望の商品を検索し、注文する。在庫があれば、発注後、2日程度で指定した住所に商品が届けられるという。eS-Toysでは価格を下げて市場シェアを獲得することは考えていないという。価格競争よりも品揃えの豊富さで勝負するとしている。

代金の支払いは、クレジットカードを利用した電子決済のほか、セブン-イレブン・ジャパンの約7800の店舗での支払いも可能となる。これには、玩具の主要ターゲット層であるクレジットカードを持たない未成年の購入を促す狙いがある。商品の配送はヤマト運輸(株)が担当する。

テレビゲームやソフトの取り扱いについては現在は未定だが、今後の検討課題としてあがっているいう。ゲーム機のハードメーカーが参加するかどうかについてはノーコメントとしている。

ソフトバンクの孫正義社長は、「玩具メーカー上位4社の社長が、このように一堂に会するのは初めてだと聞く。画期的なことだ。また、卸業者としてナンバーワンのハピネットの参加も力強い。日本の玩具市場はアメリカに次いで世界第二位の規模だ。それぞれの得意な分野を持ちよって、このビジネスを成功させたい」と語った。

トイカードの山科誠社長は、「トイカードの参加は、玩具市場全体がeS-Toysに賛同したと考えてもらっていい。孫氏のビジョンに強く感銘した。玩具業界の将来を切り開く新ビジネスだと確信している。たとえるなら、新しくて太いハイウェーを作るようなものだと思う」とコメントした。

なお、記者団からは今回の“強者連合”が、中小メーカーや末端小売店にとって脅威となるのでは、という質問が出された。これに対して出席者は、「脅威を与えるよりも、むしろ業界全体の活性化につながる」(山科氏)、「業界全体と調和をはかり、盛り上げたい」(孫氏)というコメントに終始した。また、売り上げの目標金額についても、「未定」(孫氏)だという。

孫氏、そしてソフトバンクのビジネスモデルとしては、米国などの先行企業と提携し、その日本版を立ち上げる、というパターンある。しかし先日の書籍、今回の玩具は、いずれもその方式とは異なり、国内企業の連合によるものだ。

孫氏によれば、同社が先日発表した、米国の証券取引市場ナスダックの日本版、ナスダック・ジャパンへのeS-Toys株の公開も視野に入れているという。同氏は電子商取引の市場が国内で本格的に立ちあがるのは今後1~2年と見ている。eS-Toysが軌道にのり、ナスダック・ジャパンでの株式公開につなげられれば、同氏がこれまで米国で成功を収めてきた先行投資→株式の公開というビジネスモデルが国内でも実現することになる。

【関連記事】書籍の電子商取引会社、イー・ショッピング・ブックス設立--コンビニで受取り可能
http://www.ascii.co.jp/ascii24/call.cgi?file
=issue/990603/mrkt01.html

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