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【お知らせ】音楽、映像、グラフィックスを融合したVJの世界にダイブ!

1999年06月22日 00時00分更新

文● 平野晶子

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昨今のCGブームで、映像制作が個人にとっても身近なものとなってきた現在、その最先端を行くVJ(Visual Jocky)たちは、何を考え、どこを目指そうとしているのか――bitDepth99~enchantedVJ:TOKIO ver2.0(主催:(株)アスキー、月刊アスキー、協力:(株)まんだらけD9STUDIO)が、去る19日(土)、新宿ロフトプラス・ワンで行なわれた。



当日は雨にも関わらず満席状態。19時半からの“1st Session”にはCG専門学校の草分けである、デジタルハリウッドの杉山知之校長、クレイアニメーション作品で知られる伊藤有壱氏、TBSのスポットなどを手がけたCGアーティスト兼ミュージシャンの326(みつる)氏をゲストに迎え、月刊アスキー編集長の遠藤氏、まんだらけの猪蔵氏の司会でCGやアニメーションについて語り合った。

映像も音楽もすべてできるぶん、個人の負担も大きい

まず、伊藤氏の作品『プチプチアニメ』をビデオ上映。青虫のキャラクター“ニョッキ”の造形に際しては、光沢のある粘土の質感を表現するため、あらゆる素材で実験を重ねたという。粘土細工を作り上げるのは「和菓子職人みたい」(伊藤氏)な経験だったとか。氏が持参した粘土細工のニョッキ3体が、じゃんけんを勝ち抜いた来場者にプレゼントされた。

その後、NHKで2回放映されただけで打ち切りになったという幻の作品『Beanuts』も上映。しかし、伊藤氏が最も力を入れたのは実は音の演出だという。「CGアニメーションは、企画も演出も製作もすべて1人でやれるが、その分1人のやる仕事が増えてしまうからたいへん。1日にどんなに頑張っても5秒しか作れない」と、個人作家の苦労のほどがしのばれる発言もあった。

伊藤氏が来場者に粘土細工をプレゼント
伊藤氏が来場者に粘土細工をプレゼント



デジタルとアナログの境目がない新世代に期待

続いて、ミュージシャンとしても活動している326氏にマイクが渡った。ミュージシャンとしても活動中の氏はミュージック・ビデオや、TBSのイメージ・スポットのアニメーション、CGに自作の詩を添えたイラスト作品などを紹介。「コンピューターも画材のひとつ」とこともなげに言い切る326氏に、杉山氏が「ついにデジタルとアナログの境目がない世代が登場してきている」と、CG新時代の到来に期待を寄せた。

ロボットやフィギュア、レゴなどが好きという326氏は、実は3Dが不得手。「そういうのが得意な人と組んで、飾っておくより触って楽しめる新しいおもちゃを作りたい」と言うと、隣席の伊藤氏から「やろう!」とすぐに力強い答え。今後の展開が楽しみだ。

また、最近台湾旅行に出かけてきたという月刊アスキーの遠藤編集長から、現地で入手したという326氏のイラストのイミテーションをあしらったTシャツが本人に手渡された。すでに海外で偽物が作られる程の知名度があるということに、本人は純粋に喜び、伊藤氏は羨望の眼差し。

2人で3Dをやろう!と盛り上がる326氏(中央)と伊藤氏(右)
2人で3Dをやろう!と盛り上がる326氏(中央)と伊藤氏(右)



デジタルクリエーターに追い風が吹く時代がやってくる

この後、デジタルハリウッドの学生の作品なども上映され、あっという間に1時間が過ぎた。総括として杉山氏が「5~7分程度の作品を、個人や数人のユニットで作っていっても十分食べていける時代になりつつある。テレビ放送だけでなく、インターネットも課金問題が近々クリアされるだろう。仮に1回100円としても1万人のファンがいれば十分ペイする」と、個人の表現活動が今後ますます盛んになるとの見通しを述べた。

伊藤氏は「あるものはすべて取り入れていきたい。技術は俺についてこい!という気持ちで、現在の技術を見極めた上で、自分が何をやりたいかを第1に活動していきたい」、326氏は「とにかく楽しいものを作っていきたい」と、それぞれ結んだ。

“2nd Session”は、ガラリと趣向を変えて、クラブなどで活躍する現役VJたちの本音トークバトル。自身VJである猪蔵氏の司会で、Nendo、フリフリカンパニー、デビルロボッツといった若手が、CGという枠を離れ、"モーショングラフィッカー"の視点から“映像で表現すること”について、日ごろ感じていることをぶつけ合った。かなりのオフレコ発言も多かったが、「技術は二の次。大切なのはセンスとアイデア」という点ではほぼ全員が一致。“1st Session”とはひと味違った空気に包まれていた。

なお、このライブの模様はインタネットでもリアルタイムに放映された。

2nd Sessionの模様。このころには皆さん酩酊状態に
2nd Sessionの模様。このころには皆さん酩酊状態に

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