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Windows CE 3.0は2000年第1四半期にリリースへ~“Microsoft Windows CE Developer's Conference”レポート

1999年06月22日 00時00分更新

文● 編集部 佐々木千之

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22日と23日の両日、千葉・幕張メッセ国際会議場においてマイクロソフト(株)が主催する、“Microsoft Windows CE Developers Conference”が開催された。これは、Windows CEプラットフォームの開発者向けの技術セミナー。米国でも今月6~9日にコロラド州デンバーで開かれたばかりで、Windows CEの最新情報も披露された。

米マイクロソフト社のWindows CE Platforms Productivity Appliance Division, General Managerのフランクリン・ファイト(Franklin Fite,Jr.)氏
米マイクロソフト社のWindows CE Platforms Productivity Appliance Division, General Managerのフランクリン・ファイト(Franklin Fite,Jr.)氏



今回のセミナーの主題となったWindows CE 2.12/Windows CE 3.0は、現在Handheld PCやPalm-size PCで使われているWindows CE 2.11(カーネル)の次のバージョンであるが、これらのバージョンでは、制御用機器やセットトップボックス、POS端末などのいわゆる“組み込み”市場をターゲットとした拡張がなされている。

米マイクロソフト社のWindows CE Platforms Productivity Appliance Division, Groupe Product Managerのトニー・バーバガロ(Tony Barbagallo)氏
米マイクロソフト社のWindows CE Platforms Productivity Appliance Division, Groupe Product Managerのトニー・バーバガロ(Tony Barbagallo)氏



Windows CE 2.12

Windows CE 2.12は、組み込み市場に向けて、現在の2.11で、ベンダーからの要望に応える形で8月にリリースされるもので、来年初頭にリリース予定という3.0までのつなぎを勤めることになる。

このバージョンでは、パソコンとの連携ソフトとして『ActiveSync 3.0』が提供される。これは、現在の『Windows CE Service』の新バージョンにあたり、パソコンへのインストールが数10秒程度の時間ですみ、再起動も必要ないなど、従来よりもずっと簡単にインストールできるものとなった。

2.12では、新しく“Common Executable Format”と呼ぶ、中間コードがサポートされる。従来はプログラムを作成する際に、CPUファミリーごとに、それぞれコンパイルして専用の実行ファイルを作成する必要があった。これに対し、2.12では、Common Excecutable Formatという形式にコンパイルすることで、CPUの違いを気にすることなく1つのプログラムを作成すればよい。それぞれのCPU向けに最適化コンパイルを行なったプログラムと比較して、Common Executable Formatファイルでは、サイズが1.2倍、実行速度は80パーセントになるという。このCommon Executable Formatによって、各ソフトウェアベンダーのプログラム作成の手間を軽減することができるとしている。

Windows CE 2.11では、システムを製造するベンダーが、Windows CEのOSの必要な機能だけを組み合わせて、システムサイズを抑えたシステムを作ることのできる『Platform Builder』というプログラムが提供されている。今回Windows CE 2.12のリリースにあわせてPlatform Builder 2.12もリリースされるが、従来のPlatform Builderでは提供されていなかった、Windows 98(95) Like Sell、Pocket Inbox、HTMLベースヘルプ、Pocket Word、Pocket Internet Explorerが新たに加えられ、組み込むことが可能になった。DirectXもサポートされる。

なお、Internet Explorerに関しては、2.12ではフレーム、テーブル、Cascading Style Sheet、ECMA Script(JSCRIPT/JavaScript)、DynamicHTMLをサポートするIE4相当のブラウザーが用意されるという。ただし、このブラウザーはHandheld PCやPalm-size PCで利用するにはプログラムサイズが大きいこともあり、採用するベンダーはないだろうという。

デモンストレーションコーナーに展示してあったインテル社のStrongARM1100を使ったリファレンスシステム
デモンストレーションコーナーに展示してあったインテル社のStrongARM1100を使ったリファレンスシステム



 同じく日立製作所のSH4のリファレンスシステム
同じく日立製作所のSH4のリファレンスシステム



東芝の“WebPhone”端末のリファレンスシステム
東芝の“WebPhone”端末のリファレンスシステム



Windows CE 3.0

コードネーム“Cedar”と呼ばれるWindows CE 3.0については、リアルタイム性能の強化が明らかにされた。プログラムの入力に対する遅延を減らすため、入れ子構造の割り込みをサポートするほか、スケジューリングの自由度をあげるため、スレッドのスケジューリングを1ミリ秒単位とし、スレッドの優先順位も256段階に強化する。今回のConferenceは組み込み市場向けということもあり、Handheld PCやPalm-size PC向けの機能やアプリケーションなどについては、明らかにされなかった。リリースは2000年の第1四半期が予定されている。

Conference自体では、Handheld PC/Palm-size PCに関する話題はほとんどないが、ハードウェアベンダーによると、Windows CE 2.12がHandheld PCやPalm-size PCに採用されることはなく、3.0までは現状の2.11のままとなるようだ。ただし、2.12で提供されるActiveSync 3.0については、パソコン側のアプリケーションであり、現状のWindows CE Serviceのアップデートという形で、単独のリリースもありそうだ。

 コンパックコンピュータは米国で先ごろ発表された『AERO 8000』の日本語仕様製品を参考出品していた。1ヵ月以内には発表の予定という
コンパックコンピュータは米国で先ごろ発表された『AERO 8000』の日本語仕様製品を参考出品していた。1ヵ月以内には発表の予定という

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