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Macromedia Japan User Conference 1999が開幕--Shockwave.comの概略が明らかに

1999年06月17日 00時00分更新

文● 千葉英寿

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マクロメディア(株)の主催による“Macromedia Japan User Conference 1999”が16日、東京国際フォーラムで開幕した。開催初日には、米国マクロメディア社のワールドワイドフィールドオペレーション上級副社長Brian Allum氏、同社プロダクトマネージメント担当副社長のDiane Rogers氏らを迎え基調講演が行なわれた。

基調講演では、同日発表となった“Macromedia Flash 4”や昨月発表されたコンシューマー向けエンターテインメントの会社“Shockwave .com”に関する話題をはじめ、これらの製品デモンストレーションをまじえた盛りだくさんの内容となった。

まずはじめにマクロメディア(株)の代表取締役社長・手嶋雅夫氏が登壇し、開会に先駆けて所感を述べた。手嶋氏は「インターネットも普通のビジネスも同じです。これまでのビジネスプランをインターネットビジネスに活かすにはどうしたらいいのか。このユーザーコンファレンスで一緒に考えましょう」と語った。

堅苦しくなりがちな基調講演もジョークを交えたスピーチでこなしたマクロメディアの手嶋雅夫社長
堅苦しくなりがちな基調講演もジョークを交えたスピーチでこなしたマクロメディアの手嶋雅夫社長



続いて、米国マクロメディア社のワールドワイドフィールドオペレーション上級副社長Brian Allum氏が登壇した。冒頭、Allum氏は「Dreamweaver、Fireworks、Flashが成功を納めてきました。すでに40万人以上のユーザーがこのテクノロジーを使うようになっています。これはウェブの爆発的な成長を表わしていると思います。ウェブの分野の会社で、これだけの成功を収めている会社はそれほどいないと思います」と同社のウェブビジネスにシフトした戦略が順調に推移していることを強調した。

また、ShockwaveとFlashをAmerica Online、Microsoft、Appleが採用し、Flashについては、Netscape、RealNetworks、webTVが採用していることを紹介した。「マクロメディアはこれまではデベロッパーのための会社とされてきましたが、これからはエンタープライズとコンシューマーにも目を向けてきています」と語った。

ここでAllum氏はそのコンシューマーへ向けた新事業である“shockwave.com”を紹介した。マクロメディアは、ウェブコンテンツのショーケースである“shockrave”を運営しているが、この機能とサービスを拡張したのが、shockwave.comといえる。shockwave.comは、ゲームやアニメーション、ムービーといったさまざまなエンターテインメントのコンテンツをインターネットを介して提供する新会社で、CEOにはDisney Intaractiveの副社長だったStephen Fields氏を起用している。

shockwave.comには2つのコントロールデバイスが用意されている。ひとつは、無償で提供される“shockwave remote”だ。こちらは5つまでのコンテンツを保存することができる。shockwave remoteのデモでは、映画などで人気上昇中のコメディー“オースティン・パワーズ”のキャラクターを使用したものが紹介された。
 
さらにより機能を拡張し、“shockwave remote”以上のエンターテインメント体験を得ることができるというのが“SHOCKMACHINE”だ。こちらは19ドル95セントで提供される有償のデバイスだ。コンテンツを提供するべく、すでに数多くのパートナー企業が名を連ねており、デモにおいてもそうした企業の提供するさまざまなコンテンツを見ることができた。デモでは、Comedy Central社の人気アニメ“TOONS”、リアルタイムで3Dレンダリングしてプレーできるプールゲーム“Real Pool”などが紹介された。

shockwave.comは、夏からのサービス開始に向けて着々と準備は進んでいるようだ。ただし、日本でのサービス開始は、今年の秋になると見られている。Allum氏は「shockwave.comを通じて、コンシューマーとの接点を持っていきます」と語った。

shockwave remoteのコントロール画面。インターフェースをカスタマイズできる shockwave remoteのコントロール画面。インターフェースをカスタマイズできる



人気アニメの『TOONS』もSHOCKMASHINEで見ることができる。この他、アタリのゲームやスターウォーズのムービーなど、さまざまなコンテンツをSHOCKMASHINEで見ることができる
人気アニメの『TOONS』もSHOCKMASHINEで見ることができる。この他、アタリのゲームやスターウォーズのムービーなど、さまざまなコンテンツをSHOCKMASHINEで見ることができる



3Dレンダリングをリアルタイムを行ないながらゲームする『Real Pool』。一発目を打った瞬間、会場からどよめきが起った
3Dレンダリングをリアルタイムを行ないながらゲームする『Real Pool』。一発目を打った瞬間、会場からどよめきが起った



DirectorやFlashなどの主力製品の動向

引き続き、同社のプロダクトマネージメント担当副社長のDiane Rogers氏が登壇し、同社製品の動向について説明した。特にウェブパブリッシングの分野では、Dreamweaverを中心にプロダクトの整理とインターフェースの統一が進められているとし、関連ベンダーとの協調も進んでいると語った。

Shockwaveについては、「700万人のShockwaveユーザの実に92パーセントがShockwaveコンテンツを見に行っており、探しにいっています」と語り、Shockwaveコンテンツの重要性を強調した。また、『SHOCKWAVE INTERNET STUDIO』として3月にリニューアルされた『Director 7』のマイナーバージョンアップ版である“Director 7.0.2”が米国でリリースされ、日本においても7月にリリースされることを明らかにした。Director 7.0.2では、AppleのQuickTime 4 StreamingやFlash 4、MP3、Direct Soundなどがサポートされており、マイナーバージョンアップとは思えない重要なトピックが含まれていると言える。

さらにRogers氏は、『Flash』について、「Flashは、ベクターグラフィクスのメディアとしては、アニメーションGIFの99パーセントに続いて、77パーセントがFlashが利用されており、Javaの62パーセントを大きく上回っています」と語った。Flashはブラウザーだけではなく、SetTop Boxやハンドヘルドデバイスなどさまざまなプラットフォームで利用されていると語り、手元にあるPalm IIIに搭載されたFlash Playerをデモして見せた。また、Free Player SourceとしてFlash Playerを自由にカスタマイズすることができることやQuickTime 4、SEGA、@Home、webTV、RealNetworksといったテクノロジーがFlashをサポートしていることもあわせて紹介した。

最後にマクロメディア(株)よりいくつかのアナウンスとデモが行なわれた。
同社のプロダクトマーケティングマネージャーである坂口城治氏は、「日本においては、ウェブオーサリングのマーケットをプロフェッショナル、プロシューマー、コンシューマーの3つの分野で捉えています。プロフェッショナルは、Director、Generatorといったきちんとお金を稼いでいただける製品が中心。プロシューマーは、Dreamweaverを中心にFireworks、Flash、FreeHandといった仕事と趣味の両方に使っていただいている製品を中心にと、それぞれを捉えています。コンシューマーについては、shockwave.comが中心ということになります」と語った。

さらに、同社マーケティングマネージャーの阿部成行氏を迎え、新製品についてデモを交え説明を行なった。『Macromedia Flash 4日本語版』については、MP3Streaming Audioへの対応、QuickTime 4のFlashトラックへの書き出しといったウェブ標準メディアをサポートしていることを紹介した。また、単なるアニメ作成、インタフェース作成のツールからECのインターフェース作成までも可能としてきていることを強調した。同製品は、7月30日より店頭販売が開始される。

『Director 7.0.2日本語版』については、MP3 Streaming Audio、Flash 4日本語版、QuickTime 4といった最新のメディアフォーマットへのサポートが進んでいることを重ねて強調した。また、今回のバージョンアップでは、沢山のバグが修正されたことも明らかにした。

さらにテスト的にFlash 4ユーザー向けに“SAF e-mail”のサービスを開始することをアナウンスした。同サービスは、ウェブメールの機能を使ったもので、登録ユーザーに対し、userID@macromedia.ne.jpのアドレスを発行する。このアドレスを使ってアクセスしてもらい、マクロメディアからは、製品の情報やチップスを提供し、掲示板などを使ってユーザー同士でコミュニケーションを図ってもらおうというのが主旨だ。

古川氏と手嶋氏がお相手するディナーへのご招待!?――大いに盛り上がったウェルカムパーティー

基調講演の終了後に、“Sneak Preview & Welcome Party”が行なわれた。冒頭に米国マクロメディアより来日しているスタッフより、現在、開発中の製品のスニーク・プレビューが行なわれた。このパーティーに参加しているのは、数多くのマクロメディア・ユーザーの中でも特にコアなユーザーであり、ここでウケるかウケないかは、その機能の今後を左右することとなる。こうしたユーザーの声に耳を傾ける姿勢はマクロメディアは特に顕著で他のベンダーも大いに見習っていただきたいものだ。

引き続き、手嶋氏が多くのスポンサーや友人に支えられてコンファレンスが開催されていると語り、スポンサーの1社であるアップルコンピュータ(株)代表取締役社長の原田永幸氏を紹介した。原田氏は、壇上のスクリーンに映し出されているWindowsの画面が「見慣れないものだ」とジョークを飛ばし、乾杯の音頭をとった。

その後、ウェルカムパーティー恒例のプレゼントのジャンケン合戦が行なわれた。まず最初にアップルコンピュータからは『iMac』が提供された。さらにマイクロソフト(株)の代表取締役会長の古川享氏が登壇し、『web TV』などを提供した。古川氏は「web TVなどがこれからはどんどん家庭に入っていきます。そのときは、Flashのコンテンツがますます活用されます」と語った。肝心のマクロメディアからは、来年、米国で行なわれる“Macromedia User Conference”への招待がプレゼントされた。

この他、ワコムやリクルートフロムエーなどからのプレゼントがすべてさばけると、手嶋氏が会場にきていたアドビシステムズ(株)の石井幹氏を見つけプレゼント提供を促した。石井氏は「もうなんでもいいですよ」と語り、当選者の希望通り、AdobeAfterEffectsの提供が約束された。実は、この数日前に手嶋氏と石井氏が赤坂で密談(?)をしているのが目撃されていた、という情報が入っているのだが(笑)。

さらに手嶋氏が原田氏に「PowerBook G3を出して」の声を掛けると、会場の熱気は最高潮を迎えた。壮絶なジャンケン合戦の末、手に入れた当選者が、来場者から羨望のまなざしで見つめられたのは言うまでもない。最後に“古川氏と手嶋氏がお相手するディナーへのご招待”がプレゼントされたのは、悪ノリと言わざるを得ないだろう。

「私もクリエイターのはしくれ」と語ったアップルコンピュータの原田永幸社長。自宅にハードディスクレコーディングができるスタジオを持っているそうだ 「私もクリエイターのはしくれ」と語ったアップルコンピュータの原田永幸社長。自宅にハードディスクレコーディングができるスタジオを持っているそうだ



終始ご機嫌で、ジャンケン合戦にも本気で参加していたマイクロソフトの古川享会長。PowerBook G3の時にも果敢にチャレンジしていた 終始ご機嫌で、ジャンケン合戦にも本気で参加していたマイクロソフトの古川享会長。PowerBook G3の時にも果敢にチャレンジしていた

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