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ネットワーク技術者養成校“int”の國井利泰氏が“Taylor L.Booth Award”を受賞

1999年06月15日 00時00分更新

文● 編集部 原武士

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(株)ネットワーク技術研究所は、東京・青山にて、同社の運営するネットワーク技術者養成学校“int(Institute of Network Technology)”の名誉校長で、理学博士、東京大学名誉教授、法政大学教授、会津大学の初代学長である國井利泰氏の'98年度“Taylor L.Booth Award”受賞に関する記者会見を開催した。

Taylor L.Booth Awardとは、コンピューター科学・工学教育の分野のコンピュータ学会“IEEE computer society”から、その年に最もコンピューター教育に貢献した人物1名に贈られる賞。國井氏は日本人では初の受賞者となる。

Linuxのユーザーが爆発的に増える

國井氏は、受賞に対するコメントとして“オープンシステムによる人材および産業育成について”という題目でスピーチした。

「賞をとれたのは私が原因ではない」と謙遜する國井氏
「賞をとれたのは私が原因ではない」と謙遜する國井氏



國井氏「コンピューター教育に携わる教育者は世界に多数いる。賞の存在は知っていたが、まさか日本人が選ばれるとは考えてもいなかった。3月1日に受賞通知が届いて驚いた。授賞式自体は11月にアメリカで開催される」

「私の教育はオープンシステムを利用したもの、誰にでもできることだ。しかし、始めた当初はまったく前例がなく理解してもらうのに苦労した」

「システムは、オープンだということが基本である。現在、パソコンで利用できるUNIXは基本的にオープンシステムだ。Linuxは、今以上にヒューマンインターフェースが洗練されれば爆発的にユーザーが増えるだろう。intに私が賛同したのは、オープンシステムを推進できる技術者が日本には少ないという理由から。また、産学連携は意外に連携がとれてない、社会は意外に進歩が遅いと感じたからだ」

「教育の力なしには社会は発展しないと思う。今回受賞できたのは、私が原因ではない。教育を受けた技術者たちが社会に貢献してくれたからだと思う」

続けて、ネットワーク技術研究所の吉田健治代表取締役社長がintについてコメントした。

吉田氏「日本では専属のシステム管理者がいずに、副業として管理している人が多い」
吉田氏「日本では専属のシステム管理者がいずに、副業として管理している人が多い」



吉田氏「私は'94年にデジタルハリウッドを創立した。デジタルハリウッドは日本のマルチメディア産業の担い手を作るのが目的だった。intはバブル崩壊後、不況に苦しむ企業に活性を与える目的で設立した。地方の企業でも、ネットワークを利用することで、地域に関係なく活力を持てると考えたから。しかし、フタをあけてみると地方の企業ではネットワークが整備されておらず、結局都心のネットワークに強い企業が地方に進出してネットワークを推進した」

「情報処理の資格を取るための専門学校は多くある、だが、ネットワーク技術者を養成するための専門学校はまったくない。2、3日程度の、メーカー製品を使いこなすためにメーカーが主催するセミナーがあるだけだ。特に、日本の場合は、基幹ネットワークを構築するような、高度な技術者が圧倒的に不足している」

「現状におけるネットワーク管理者の仕事は、ファイルやプリンターの共有など、基本的な地道な作業から始まる。これらをしっかり処理できるような人材を数多く育成していきたい」

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