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投げ銭で知の交流を--“投げ銭システムをすべてのホームページへ”決起集会開催

1999年06月08日 00時00分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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大道芸人の帽子に観客がチャリンとコインをいれるイメージ

“投げ銭(なげせん)システムをすべてのホームページへ"決起集会が投げ銭システムの推進準備委員会によって6日、都内シニアワーク東京を会場に開催された。この推進準備委員会は、松本功氏が暫定委員長を務め、同氏が代表取締役社長を務める(有)ひつじ書房が中心となって運営をしている。

決起集会には、松本氏のほか、投げ銭システムの実験を行なっている(有)いなかどっとコムの石井研二氏、システムに賛同するパブリッシャーとして、メールマガジン“日刊デジタルクリエーターズ”の柴田忠男編集長、メールニュース配信などを手がけるアクセス向上委員会の橋本大也代表も駆けつけた。

 左から、ひつじ書房代表取締役社長の松本功氏、日刊デジタルクリエーターズ柴田忠男編集長、アクセス向上委員会代表の橋本氏大也氏、いなかどっとコムの石井研二氏
左から、ひつじ書房代表取締役社長の松本功氏、日刊デジタルクリエーターズ柴田忠男編集長、アクセス向上委員会代表の橋本氏大也氏、いなかどっとコムの石井研二氏



松本氏は、「企業などが行なう大規模な流通に対応したオンライン決済は存在する。これに対し個人やSOHOが主催するようなニッチな情報にふさわしい、辻で芸を披露する大道芸人の帽子に観客がチャリンと“投げ銭"をいれるイメージの少額の決済方法があるのでは」と考え、システムの実験を挙行するという。

会場におかれたオブジェ
会場におかれたオブジェ


ニッチな創作活動を支えるビジネスモデルを待望

こうした動きは、オンライン出版業界より賛同を得て始めている。柴田忠男氏は、「これまで3度オンラインマガジンを立ち上げ2度失敗している。これには創作活動を支えるビジネスモデル、集金のシステムが確立できなったことが原因である」と振り返った。

また、橋本大也氏は、個人が作る指向性が強いコンテンツは、広告モデルに乗りにくいと強調。さらに、自身の路上での弾き語りの経験から、「投げ銭と同じことがインターネットでもできれば、個人のライターがインターネットで生計を立てていけるシステムが理想だと思う。また、そうした“投げ銭”や“おほめのことば”をいただくことが、発信側にとって一番の励ましになる」と語った。


投げ銭システムで“知のコミュニケーション”を

会場の参加者からは、日本人にこうした“チップ”的な習慣はなじまないのではという質問が寄せられた。これに対し松本氏は、「この投げ銭システムというのはもともと、“いいこと”の対価として小銭を支払うという意味同様、対価とは異なる“心意気”を示す手段でもある。お金の使い方の幅を広げれば楽しくなるのでは」と、投げ銭システムの可能性を示唆した。

また、「我々の勧める投げ銭システムは、小額決済の手段としてだけではなく、お金を払うことである種“知のコミュニケーション”が発生する手段でもある」と分析する。あえて決済手段という枠にはまらず、“七色の使い方”を探っていきたいという。


投げ銭システムの実験を開始

現在、投げ銭システムは、“投げ銭フリーマーケット”という実験ページをスタートしているテスト用のページ内において、実際に“20円”の投げ銭用ボタンが用意されている。現段階では、サン電子(株)の“SPIS-NET”のみを決済方法として採用しているが、ほかの決済システムの採用についても今後検討するという。

このページを運営する石井氏は、「“課金ボタン”のほかに“拍手ボタン”を考えています。ホームページ主催者側にとって1番嬉しいのは、“いいですよ!”というメールが直接送られてくることです」とコミュニケーションの重要さについて語った。

今後は、第2段階の実験として、デジタルコンテンツで発表済みのテキストを投げ銭システムテストページで紹介して行く予定。

こうしたいわゆる投げ銭のシステムが、オンライン決済システムの開発メーカーではなく、コンテンツ提供側から声が上がったのは初めてのケースである。投げ銭をする側の匿名性を保持するシステムの採用など課題は山積しているものの、今回会場には決済システムの開発メーカーやマスコミ、オンラインで活動する個人ライターなど50名が集まり、初めの1歩としてはまずますだったようだ。

 投げ銭フリーマーケットより
投げ銭フリーマーケットより



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