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葛西臨海水族園、“ハイブリッド水族館”の実験開始--水族園にバーチャル説明員が登場?

1999年04月27日 00時00分更新

文● 編集部 綿貫晃

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東京都葛西臨海水族園は、9月からホームページと携帯端末を連携させた情報提供システム“ハイブリッド水族館”の実験を開始する。対象は、実験協力校の小中学生。この実験は情報処理振興事業協会の“教育の情報化推進事業”の一環として採用されたもので、システムは(株)三菱総合研究所と(株)IMDが開発し、情報・資料は葛西臨海水族園が提供する。



ハイブリッド水族館の実験風景
ハイブリッド水族館の実験風景



概要を説明する。まず来園前は予習として、葛西臨海水族園のウェブサーバーにアクセスし、見たい魚の種類やキーワードをホームページ上でチェックする。来園時は、水族園側で貸し出す携帯端末を持ちながら園内を観察するが、端末には、自分のいる水槽の位置に合わせてマルチメディアコンテンツ(目の前の水槽内の魚の説明)が表示される。

このコンテンツは、来園前にチェックした利用者の趣向に合わせた個別のもので、特に操作をすることなく自動的に表示される。水族園の説明員が一人ひとりに説明するように、端末がバーチャル説明員として個人に合わせた適切な説明や順路の誘導を行なうものである。

観覧を終えた後は、予習時と同じく葛西臨海水族園のウェブサーバーにアクセスすると、ホームページ上に自分が見学した順序で情報が表示され、効率的に復習できる。この3段階の学習サイクルが、総合的な学習につながると期待されている。

このシステムを“ハイブリッド水族館”と呼んでいる。ホームページという仮想空間での学習と、実体験にもとづく理解・認知とを融合させたハイブリッドシステムというわけだ。

もう一度見に来るきっかけに

「今までの魚の説明は、小さなラベルでしか紹介できていなかった。本当は一人ひとりに説明したかったのだが限界がある」と水族園の高橋企画係長は述べる。このシステムを使うことにより、情報を個別に教えることができるため、利用者が興味を持てるチャンスが増える。また、動画でないと説明しづらい泳ぎ方の違いなど、紙や声だけでは表現できなかった説明も可能となり、従来の説明以上の効果も期待できる。

関係者は、「一度このシステムで水族園の楽しみを知ってもらいたい。そして、もう一度自分の目だけで見に来るきっかけとなって欲しい」と、このシステムが、学習の次のステップへのきっかけ作りであることを強調した。

30種類近くが泳ぐ水槽。上部にラベルが貼ってあるが、ラベルだけで魚を判断するのは難しい
30種類近くが泳ぐ水槽。上部にラベルが貼ってあるが、ラベルだけで魚を判断するのは難しい



“インタラクティブなプッシュ型”

システムを説明する。携帯端末には、タッチパネル搭載のノートパソコンを用いる。テキスト、静止画、音声、動画情報をこれで提供する。各水槽から赤外線を発信させ、位置情報を端末が受信して、位置を検出する。位置とマシンの情報が、端末から無線LANを経由してサーバーに送られ、サーバーから適切なコンテンツが無線LANを経由して端末に返信される。

無線LANのデータ転送速度は最高2Mbps。タイムラグなしに情報が切り替わるという。コンテンツを単に受け取るだけでなく、インタラクティブに操作できる。この特徴をとらえて、このシステムをインタラクティブなプッシュ型と説明している。復習用のホームページは、個人の行動履歴(経路)、興味項目、コンテンツの3要素をもとにXMLを利用してダイナミックなHTMLとして生成される。

サメの前にくれば、サメに関するコンテンツが送られてくる
サメの前にくれば、サメに関するコンテンツが送られてくる



まだ、実験段階ではあるが、本格稼動すれば水族園の楽しみ方がさらに増えるはずである。今まで気が付きもしなかった新たな発見が出てくるのは間違いない。当面は実験協力校の小中学生を対象としているが、一般の人にモニターしてもらうことも検討している。体験できる日が待ち遠しい。

三菱総合研究所では、このシステムを他の水族館や美術館、博物館などの教育関連施設だけでなく、展示会場や百貨店などにも適応できるように開発していく予定

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