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マイクロソフト、Office 2000機能説明会を開催、音声認識機能を搭載したIME 2000を発表

1999年03月30日 00時00分更新

文● 報道局 佐々木千之、桑本美鈴

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 マイクロソフト(株)は、“Microsoft Office 2000 Reviewer's Workshop Stage 2”を開催した。企業向けの新機能を紹介したStage 1('98年12月10日開催)に続き、今回のStage 2では、音声認識機能を搭載した日本語入力システム『IME 2000』を始めとする日本語版特有の機能を中心に説明が行なわれた。

 日本語版特有の新機能に関して、同社常務取締役の阿多親市氏は、「ユーザビリティラボでの検証を始めとするユーザーからのフィードバックをもとに開発した。Officeに関しては特に日本市場を重要視しており、日本向け機能開発に対してかなりの投資を行なっている」としている。



変換精度を向上させたIME 2000

 IME 2000は、IME 98が「学習した単語を優先的に変換しがちだ」というユーザーの声を反映し、IME 98開発時に使用した量の約3倍となる大量データをもとにチューニングを繰り返し、変換精度と変換スピードを向上させたという。特に辞書データのチューニングに時間をかけており、変換時に前後文を参照して、最近学習した単語が周りの文章に適切であるかどうかを判断するなど、もとの選択候補と学習した単語とのバランスをとるべく改良されている。例えば、「今日は有給だ」の“有給”を“有休”に変更して学習させた後、「きょうはゆうきゅうきゅうかだ」という文章を入力すると、IME 98では「今日は有休休暇だ」と変換するのに対し、IME 2000では「今日は有給休暇だ」と変換される。

IME 2000のデモ一発目は“いれたてのおちゃ”、“ばすにてんじょうする”の変換。「ちゃんと、しかも難しい漢字のほうで変換します」
IME 2000のデモ一発目は“いれたてのおちゃ”、“ばすにてんじょうする”の変換。「ちゃんと、しかも難しい漢字のほうで変換します」



 また、カタカナ語英語辞書を追加。“なとー”と入力すると“NATO”と変換、“でじかめ”では変換リストに“Digital Camera”といった表記も表示される。そのほか、人名地名辞書に旧字体など難しい表記を追加、話し言葉辞書は「明日は雨かもしんない」などくだけた表現の変換にも対応するなど、各辞書の強化も図られている。

 さらに、“はかる(図る、計る)”、“らいと(light、right)”といった同音異義語などの変換候補を一覧する際に、単語の意味をコメント表示させることも可能。そのほか、“http://”等を自動で半角変換する英字モードの自動切換えや、辞書にない単語を含む文節、異なる文節区切りのある文節など要注意文節の緑下線表示といった機能が搭載されている。

 マウスでの変換、編集にも便宜が図られている。変換中の状態で、マウスクリックでの文字単位の編集が可能になったほか、文節をマウスで選択して変換候補を選択できる。マウスによる文節境界線の変更も可能。同社は「ユーザビリティラボでの検証の結果、マウスで文節の変更をしようとするユーザーが多いことがわかった」としている。

 IMEパッドは、手書きアプレットの入力漢字とキーボードで入力した文字を、ひとつの連続した未確定文字列として編集、変換できるようになった。サポートする文字も増え、読みのわからない難しい文字の検索などに利用できるという。

音声認識機能を搭載

 IME 2000の新アプレットである音声入力アプレットはSAPI(Speech API)に対応。日本電気(株)の『SmartVoice』や日本IBM(株)の『ViaVoice』などSAPI対応の音声認識ソフトがあれば、この音声入力アプレットを利用できる。デモンストレーションでは、SmartVoice Ver.1.0を使って、Word上での本日の朝刊記事の読み上げ入力や、Access上での氏名や会社名登録などが行なわれた。音声入力アプレットは、IMEによる文字入力が可能なアプリケーションなら利用可能。同社は「キーボードが音声になったと理解してほしい」としている。なお、SAPI対応音声認識ソフトのOffice 2000パッケージへの同梱などは行なわれず、現状通り、各社から個別に提供される。



音声入力デモは、担当者が実際に新聞記事を読み上げながら行なった。画面右側に表示されているのが音声入力アプレットツールバー。音声の再生も可能 音声入力デモは、担当者が実際に新聞記事を読み上げながら行なった。画面右側に表示されているのが音声入力アプレットツールバー。音声の再生も可能



Word 2000は文書校正機能を強化

 Word 2000では、従来のものでは警告が多くなりがちだった文章校正機能が特に強化された。同社は、Microsoft Encarta作成時に生じたエラーコーパス(誤りに関するデータベース)を研究検証した結果、文章の誤りのうち68パーセントが入力ミスであり、この入力ミスをカバーするべく機能開発を行なったという。「返ったきた」「どこへいkますか」といった入力ミスと思われる個所を赤の波線でチェック。また、「コンピュータ」と「コンピューター」といった表記の揺らぎは、少数のほうだけ緑の波線でチェック表示するなど、過剰になりがちな警告を少なく表示できるようにしているという。構成の指摘に納得がいかない場合などは、Officeアシスタントによる指摘の説明と例文の表示が可能。

 その他の主な新機能として、1ライン中で左寄せ、センタリング、右寄せが可能な“クリックアンドタイプ”(フリーカーソル機能)、囲み文字などの拡張書式メニューの追加、下線ツールボタンの改善、文字単位でのグリッド線の設定などが挙げられる。

各製品の新機能

 本日紹介された、その他の製品の主な新機能は以下の通り。

●Outlook
・Internetメールの改善
・文字化け対応
・複数アカウント対応
・自動仕訳ウィザード

●Excle
・ふりがな表示の強化
・グラフの表示単位(千、万、百万等)の設定

●Access
・データテーブルごとの文字設定
・ビューをみながらのフォーム変更
・テキストボックスの余白/行間設定
・サンプルアプリケーション(日本語版のみ搭載)『住所録サンプルデータベース』、『家計簿サンプルデータベース』

●PowerPoint
・PowerPointで作成された説明書“PowerPoint入門”をみながら使い方を勉強できる
・オートクリップアート(予測や調査といった言葉に合うクリップアートをOfficeアシスタントが提案してくれる)
・あらかじめ設定したスタイルオプションに合わせ、句読点チェックなどをOfficeアシスタントが自動で行なう

●PhotoDraw
・クリップオンライン(マイクロソフトのウェブサイトに接続し、各種クリップアートを選択/ダウンロードできる)

●Publisher
・クイックページウィザード(案内文やパンフレット等を作成可能)
・あらかじめ登録しておいた作成者情報を文書中に挿入できる
・差込印刷

SOHO、中小企業向けビジネスツールを追加

 また同社は、SOHO、中小企業向けのOfficeツールとして『Microsoftビジネスツール』を追加した。Microsoftビジネスツールは、『顧客データマネージャ 2000』と『Microsoft Business Planner』で構成される。

 顧客ビジネスマネージャ 2000は、既存の販売会計アプリケーションの顧客取引データや住所録データをインポートし、データを分析、結果をWord、Excel文書などにできるというもの。Outlookの連絡先データも取り込み可能。顧客宛てドキュメントのサンプルデータも用意されており、例えば連絡先データと顧客宛てドキュメントを利用して、顧客ごとのダイレクトメール送信などが行なえる。顧客ごとの取引履歴や応対内容といったアクション履歴も蓄積可能。

 Microsoft Business Plannerは、日本実業出版社の実用書『経理がわかる事典』、『税金がわかる事典』、『経営がわかる事典』、『労働法がわかる事典』を収録したもの。ビジネスに役立つホームページのリンク約500件や、Excel/Wordのテンプレート約200種類も収録している。

Microsoftビジネスツールのデモは、同社初の寸劇仕立て。中小企業“マイクロ物産”を舞台に企業ユーザーの要望とそれに適応する機能が紹介された
Microsoftビジネスツールのデモは、同社初の寸劇仕立て。中小企業“マイクロ物産”を舞台に企業ユーザーの要望とそれに適応する機能が紹介された



マニュアルの強化

 そのほか、Office 97のユーザーからの「マニュアルやヘルプがわかりづらい」という意見を反映し、Office 2000ではユーザーレベルごとのマニュアルを用意するという。全ユーザー対象の“セットアップガイド”、バージョンアップ/乗り換えユーザー対象“新機能ダイジェスト”、初心者ユーザー対象“ファーストステップガイド”、中級者以上対象“ヘルプ”がある。また、Officeアシスタントは自然言語処理に対応し、「かちっとした文章にしたい」といった話し言葉による問い合わせが可能になった。また、“Melissa”など新種マクロウイルスが話題になっているが、Office 2000では作成したマクロに対して開発者が署名を付けられる等、マクロウイルス対策も図られているという。

Office 2000製品ラインアップ



 


Standard


Professional


Premium


Developer


IME 2000










Word 2000










Excel 2000










Outlook 2000










PowerPoint 2000










Publisher 2000


×








Access 2000


×








顧客データマネージャ 2000


×








Microsoft Business Planner


×








Bookshelf Basic 2.0


×








FrontPage 2000


×


×






PhotoDraw 2000


×


×






Development Tools


×


×


×




発売は6月末以降

 説明会の最後、同社アプリケーション製品統括部統括部長の眞柄泰利氏が壇上に立ち、「音声認識やMicrosoftビジネスツールは、日本特有のもの。これまで中小企業向け機能は苦手としていたが、このビジネスツールを出発点としていきたい。今後当社は、企業ユーザーにはOffice 2000による“ウェブワークスタイル”を、そして個人ユーザーにはOffice 2000による“ウェブライフスタイル”をそれぞれ提案していく」と締めくくった。

 Office 2000のスケジュールは、米国では6月10日にパッケージ製品が出荷が開始され、日本での発売はその3週間から6週間後の6月末以降になるという。また、パッケージ製品発売後、しばらくして単体製品が出荷される。IME 2000の単体発売は決定しているが、他の製品については未定という。

 なお同社は、“Microsoft Office 2000 最終評価版 特別提供プログラム”の募集を31日に開始する。Office 2000 Premium日本語版の最終評価版を2000人に無償提供するもので、同社ウェブサイトで申し込み可能。申し込み受付期間は31日から4月13日まで。

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