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第2回関東ウェブマスターオフ

1999年03月30日 00時00分更新

文● 田原佳代子

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 27日、関東ウェブマスターオフ運営委員会主催による“第2回関東ウェブマスターオフ”が(株)リクルートで開催された。“関東ウェブマスターオフ”は、'97年8月に関西でスタートした“関西ウェブマスターオフ”の関東版である。ネットワーカーの自主運営による大規模なオフラインミーティング。全国のインターネット上で人気のあるホームページのウェブマスターや、ネットワークを活用して興味深い活動や事業を展開している人たちを、毎回、ゲストに迎えている。

 今回の講演会は、2つのパネルディスカッションで構成した。テーマは、第1部が“インターネットによる広告メディア”、第2部が“インターネットを通じた販売ノウハウ”である。250名ほどの参加者で会場はほぼ満席となった。総合進行の高木豊氏が「同じインターネットで活動される仲間ということで、企業、組織の垣根を超えた交流が図れればいいと思います」と挨拶し、講演会が開始された。

総合進行の高木豊氏 総合進行の高木豊氏



成果保証型広告に賛否両論

 第1部では、インターネット上の広告にかかわるさまざまな問題について意見を交わした。ネット広告のサービス内容の差異化への取り組み、クリック保証型などの広告手法、現状の問題点といった内容である。会場からはクッキーへの対応や、ネット広告の進化の行方、ビジネスモデル、知的ライセンスなどについて質問が出された。

 パネリストが、(株)イー・エージェンシー代表取締役の門田威一郎氏、バリュークリックジャパン(株)社長のジョナサン・ヘンドリックセン氏、(株)リクルートの電子メディア事業部の吉田敬氏、そして司会が(株)メールニュース社長の才式祐久氏である。

パネルディスカッションの様子
パネルディスカッションの様子



 広告主の費用対効果や効果測定への要求が高まる中で、これらのニーズにどう対応しているかについて、総合情報サイト『ISIZE(イサイズ)』担当の吉田氏は次のように述べた。

「(バナー広告を通して)どれだけ販売できるかまで成果保証してしまうのは、広告会社としてどうかと思う。資料請求ページまで(誘導するのが)何件というなら、企業が計画を立てる上で考えやすい数値である。このことから、クリック保証を導入した」

本の表紙(トップページのこと)は顔の部分、広告は載せませんと吉田氏 本の表紙(トップページのこと)は顔の部分、広告は載せませんと吉田氏



 ネット広告の仲介者でありメディアの発信者でもある門田氏は、両方のスタンスに立ちながら「成功報酬型の広告形態も今後有り得るかな」という。

「クリック保証型の発展系のような形で、成功報酬型の広告企画について、試験的に始めている。販売代行になってしまっているかもしれません」と続けた。

 また、広告主の意識も徐々にではあるが変化してきているようだ。クリック保証型広告を日本に持ち込んだジョナサン・ヘンドリックセン氏は、次のように述べる。「1つの契約を結ぶまでにはかなりの労力が必要。中小企業ではバナーとバナナの違いが分からない人もいる(笑)。最近になって(ネット広告の認知度が高まり)、楽にはなっているが」――。

遊びやビジネスだけでなくインターネット全体の文化を培っていきたいとジョナサン・ヘンドリックセン氏 遊びやビジネスだけでなくインターネット全体の文化を培っていきたいとジョナサン・ヘンドリックセン氏



 無料広告を一切やらない同社の“広告枠を埋めないといけないというプレッシャー”はかなり大きい。そうした背水の陣の中での取り組みが、'99年度売り上げ7億円(見込)という躍進を可能にしているのだろう。

 また、門田氏は「(広告主の中にも)かなり高度なところで考えている人が出てきていると実感している」という。これまで広告の効果がクリックレートで語られていた時代から、“いかにどの程度、認知されたか、浸透したか”を重視する方向へと、クライアント側が進化してきている。

 同氏は、メールでもクリック保証型ができ、新たな選択肢が加わったことも合わせて、「比較的、売りやすい時代にまた入りつつあるのかな」と感じている。

新しい情報が集まっている店舗だけを集める

 続いて、第2部では、“楽天市場”、“Smash”、“ISIZE”といった人気の仮想商店街、総合情報サイトの担当者が集まり、インターネットを通じた販売のノウハウを披露した。

 パネリストが(株)エム・ディー・エム社長の三木谷浩史氏、ソニーコミュニケーションネットワーク(株)の二見志津雄氏、(株)リクルートのイサイズカーライフ担当である伊藤誠氏と同じくイサイズじゃマール編集長である信國乾一郎氏、そして司会がメーリングリスト“LIFE”主宰の粟飯原理咲氏である。

粟飯原氏は生活者の視点からECを考える女性のメーリングリスト“LIFE”を主宰 粟飯原氏は生活者の視点からECを考える女性のメーリングリスト“LIFE”を主宰



 仮想商店街“楽天市場”を運営する三木谷氏は、'97年5月のサービス開始から2年弱で、400店舗以上が出店するモールに育て上げた。売り上げでも月額30万円から2億円へと桁違いの成長を果たしている。三木谷氏は同社の取り組みについて次のように述べた。

「我々は、コンテンツというか、1つひとつの店舗が生きていることが重要だなと思っています。商品の更新、情報の更新が非常に速い、つまり、新しい情報が集まっている店舗だけを集めていこうということです。商品に対するポートフォリオはとっていないんですが、1つひとつの店舗のバイタリティーということに関しては、本当に力を注いできました」――。

参加者のパワーを取り込む循環を作れば成功

 リクルートの信國氏は、成長していくサイトの定義を次のように語った。

「今、インターネットで伸びているサイトというのは、参加してくれる人のパワーを巻き込んでいる、うまく循環のなかに取り込むことに成功しているところなんですね。そもそもヤフーという検索エンジンがヤフーのコミュニティーにではなく、ヤフーにホームページを登録する人、そのホームページを通してコミュニティを作りたいと思っている人に機能を提供しているわけです。“So-net”も“楽天市場”も多分それに成功しているのでしょう。そういう循環を作ることに成功すれば、ネットワークのパワーとして爆発するんだろうなと思います」

笑いあり質問ありと会場は大いに盛り上がった
笑いあり質問ありと会場は大いに盛り上がった



 会の運営がボランティアベースというだけあって、講演会終了後、椅子の片付けから、懇親パーティーの準備まで、参加者が進んで手伝っていた。和気あいあいとした雰囲気の中で懇親パーティーが行なわれた。

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