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日本HPが2000年上期をめどに企業分割--コンピュータ事業と計測機器部門を軸に分割

1999年03月10日 00時00分更新

文● 報道局 佐藤和彦

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 日本ヒューレット・パッカード(株)は、米ヒューレット・パッカード社が2日(現地時間)に発表した企業分割の方針に沿って、同社も2000年上期をめどに企業分割を行なう、と発表した。本日行なわれた記者会見では、日本HPの寺澤正雄社長が、まず米HPの企業分割について説明を行なった。

日本HPの寺澤正雄社長 日本HPの寺澤正雄社長



●米HP社の企業分割について

 米HP社は2日(現地時間)、2000年上期をめどとして実施する企業分割を発表した。これによると同社は、コンピューターやプリンターなどを扱うコンピュータ&イメージング系会社と、計測器や医用電子機器などを扱うメジャメント(measurement)系会社の2社に分割することを予定している。

 コンピュータ&イメージング系会社は、ヒューレット・パッカードの社名を引き継ぐが、次のCEOは未定となっており、Lewis E. Platt(ルイス・プラット)米HP社社長兼CEOなど3人が、その人選を進めている。一方、メジャメント系会社は、新社名については現在検討中だが、次期CEOは米HP副社長のEdward W. Barnholt(エドワード・バーンホルト)の就任が内定している。分割時に、米HP社の株式を保有している株主は、そのまま2社の株主になるという。

 米HP社の'98年の売上は470億(約5兆6400億円)ドルで従業員は12万3000人だが、これを新しく作る2社にそのままあてはめると、コンピュータ&イメージング系会社が売上高390億ドル(約4兆7000億円)で従業員が7万8000人、メジャメント系会社が売上高80億ドル(約9600億円)で従業員数が4万5000人となる。売上の規模で大きな差があるが、法人向けの事業が多いメジャメント系会社の方が利益率が高いため、利益面での差はそれほど大きくないという。今回の企業分割に際してリストラは行なわない方針という。また、新たに誕生する2社はまったくの独立した会社として、それぞれが独自に企業戦略をたてて、経営を行なっていくという。

 寺澤社長は、米HPが企業分割に踏み切った理由について、「アメリカの他の企業に比べると、米HPは経営トップのリーダーシップよりも、組織内のコンセンサスを重視する傾向にある。もともと米HPは、1938年にメジャメント系の事業を行なう会社として設立され、その企業風土が根強く残ってきた。コンピューター業界で生き残るためには、こうした企業風土と決別する必要があり、事業分野の異なる2社に分割することになった」と述べた。また、コンピュータ&イメージング系会社が社名を引き継ぐことについては、寺澤社長は、「コンシューマー向けの商品が多く、いまさらHPのロゴをかえるのはデメリットが多いため。メジャメント系の事業は法人が多いため、社名を変えても営業面であまり影響はないと判断した」と説明している。

●日本HPの企業分割

 続いて、日本HPの企業分割について説明を行なった。日本HPも米HPと同様に、2000年上期をめどに、コンピューターやプリンターなどを扱うコンピュータ&イメージング系会社と、計測器や医用電子機器などを扱うメジャメント系会社の2社に分割する方針という。しかし、「日本には企業を分割するための法律がないため、いったん新会社を設立し、そこにメジャメント系事業の営業権や資産を譲渡するかたちになる」(寺澤社長)という。日本HPに対しては、米HP社のほか横河電機(株)も出資しているが、今回の分割は日本HPが中心となって進めていく方針という。

 また、従来の社名は、コンピュータ&イメージング系会社が引き継ぐ。「メジャメント系会社の社名も米国で決められた社名に従う方針だが、日本語にした場合に、あまりにも変な社名になる場合は、違う社名をつける可能性もある」(寺澤社長)としている。

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