アップルコンピュータのスティーブ・ジョブズ暫定CEOが、日本で開催されるMACWORLDの基調講演に初めて登場した。その講演の模様を、前後編の2回に分けて掲載する。
FireWireで接続したデジタルビデオを使ったデモ、ジョブズ氏の講演ではこのように自分の姿を映し出す事が多い |
●iMacは日米双方で、もっとも売れたパソコンになった
続いて、2つ目のテーマとしてiMacが紹介された。ジョブズ氏は、iMacが8月15日の出荷から12月31日までの間に80万台売れたという数字を挙げ、アメリカと日本では、もっとも多くの台数を売ったパソコンになったということを観衆に報告した。また、購入者の46パーセントが初めてパソコンを買った人であること、82パーセントがインターネットに接続してみたこと、そのうち66パーセントがiMacを購入した初日にインターネットを楽しんだことなどを、具体的な数字を挙げて紹介した。また、よく使うサーチエンジンのアンケート結果で、『Sherlok』がNetscapeと並んで4位タイ、8パーセントのユーザーに指示されていることを明らかにした。
話題の5色のiMacについても触れ、初代iMacを発売したとき、ユーザーからもっとも多かった質問が「筐体を好きな色に変えられるのか?」だったことを披露した。
●新作のMac対応アプリは、約57パーセントが日本語版
3つ目のテーマを語る前に、ジョブズ氏は「“1559”という数字は何を意味しているでしょうか?」と観客に質問。その答えは、iMac発売後に1559種類のアプリケーションが発売されたというもので、そのうち901種類が日本語版のソフトであることを紹介し、この状態をジョブズ氏は「多くのデベロッパーがMacに戻ってきた」と歓迎。もっとも大事なパートナーとしてマイクロソフトの名を挙げ、同社のベン・ワルドマンMacintoshビジネスユニット担当ジェネラルマネージャーを紹介した。ワルドマン氏は1月のMACWORLD Expoにも登場し、Macユーザーにはおなじみの存在。流暢な日本語で挨拶をして観客を沸かせたあと、『Internet Explorer 4.5』の紹介とデモを行なった。あいにくデモは不調で再起動を余儀なくされるというハメだったが、夏ごろ発売予定の『IE 5.0日本語版』に振り仮名(ルビ)機能が搭載されることを公表すると、観客からは驚きの声があがっていた。
再びステージに登場したジョブズ氏は、ゲームがマックにとって大事なアプリケーションであることを強調し、Open GLに完全準拠した3Dゲーム『Quake Arena』のデモを行なった。これは1月のMACWORLD Expoに続き、世界でも2回目のお披露目とのことだ。
ここで、ステージ上のスクリーンにプレイステーションが映し出されると、観客から大きなどよめきがおこった。米Connectixのプレイステーション・エミュレーターこと『Virtual Game Station』が、ソニーのお膝元である日本で紹介されたからだ。しかも日本でも同ソフトが夏か初秋に発売されるという衝撃的な発表が行なわれたのだから、ゲーム好きにとってはたまらないデモであったに違いないだろう。
まさか日本では発表しないと思われていた『Virtual Game Station』、ソニー関係者もいたのだろうか? |
●圧巻だった、50台のiMacによるデモ
最後4つ目のテーマは、期待されていたコンシューマー向けノートブックの世界初公開、ではなく、Mac
OSについてだった。ジョブズ氏は、4月に12万8000円で発売される『Mac OS X Server』を紹介。あわせてオンラインストアーのApple Storeが、本日日本でも開始されたことが発表された。
ここでやっと、壇上に置かれたG3 MacとiMacがデモに駆り出されるときがきた。このiMacはHDDを取り外されたディスクレスの状態になっており、OS X ServerをインストールしたG3 Macのクライアントになっているという仕組み。ジョブズ氏はディスクレスのiMacを立ち上げ、自分のデスクトップをサーバーから読みこみ、Quick Timeムービーをダウンロードして再生するというデモを行なった。
スクリーンに映っているiMacのデスクトップは、サーバーのG3 Macから読みこんだものだ |
さらに、ジョブズ氏の指示でステージ後ろの幕が外されると、なんとそこには49台のiMacが並んでおり、1台のG3
Macから計50台のクライアントに向けて3種類のムービーを配信するというデモにトライした。
デモは不調だったが、50台のiMacそれぞれにムービーが映し出される様は圧巻だった |
残念ながらトラブルが発生したためデモ自体は不発に終わったが、50台のiMacに一斉に電源が入った時点で、観客はすっかり魅了されていたようだった。このデモを最後に、基調講演は12時35分に終了した。
期待された新ラインナップの発表はなく、肩透かしを食らった感もある基調講演ではあったが、日本の一般ユーザーにアップル復活を力強くアピールしたという点で、今回の基調講演は成功に終わったと言うことができるだろう。