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ポータルサイトのお値段は7500億円--ケーブルISP大手の@HOMEが米Exciteを買収

1999年01月20日 00時00分更新

文● 報道局 鹿毛正之

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 大手ポータルサイトの米ExciteとISPの米@HOME(アット・ホーム)社の両社は19日(現地時間)、@HOME社がExciteを買収することで合意に達したことを発表した。買収は株式交換の形で行なわれ、総額は67億ドル(約7570億円)。この金額は、'98年11月に米AOLが米ネットスケープ・コミュニケーションズを買収したときの42億ドルを大きく上回るものとなる。

 @HOME社はケーブルテレビの回線を利用した高速インターネットサービスを提供するISPで、約33万世帯の加入者を持つ。Exciteは2000万人以上の登録ユーザーを持つ検索・ポータルサイト。両社は、今回の買収はお互いの加入者に利益をもたらすものになるだろうとしている。

 買収の発表を受け、両社の株式は市場でも人気を呼んでいる。Exciteの場合、先週の終値が77ドル50セントだったのに対し、買収が発表された19日の終値は110ドルを付け、60%以上もの値上がりを見せた。@HOME社も、先週の102ドルから約13%上昇の115ドル37.5セントを付け好感を受けている。

 今回の買収劇は、ポータルサイトがインターネット産業の中でいかに注目されているかを、改めて印象付ける結果となった。

 すでにネットスケープ・コミュニケーションズが米AOLに買収されたほか、ウォルト・ディズニー社が筆頭株主となったインフォシークは、GO Networkという新しいポータルサイトを立ち上げたばかりだ。また、3大テレビネットワークの一角を占めるNBCは米CNet社と合弁でポータルサイトを立ち上げることを発表しており、さらにはマイクロソフトやアマゾン・ドット・コムが米Lycosを買収するという噂も流れている。

 1月13日にはポータルサイト最大手の米Yahoo!が'98年の決算を発表しているが、これによると同社の年間売上は2億327万ドル(約227億円)で、利益も5000万ドル弱(約56億円)に過ぎない。ところが、企業の価値を表わす指標である株価総額は319億ドル(約3兆6000億円)にも及び、これは実に137年分もの売上に相当する。このことからも、市場がポータルサイトによせる期待の大きさを窺い知ることができる。

 日本では、ポータルサイトを巡る動きには米国ほどの活発さは見えていないが、ポータルサイト運営各社には赤字覚悟でサービスの充実を図っているところも少なくない。これは、近い将来にポータルサイト争奪戦が起こることを見越した動きと言うことができるのではないだろうか。

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