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アップルの新サーバーOS『Mac OS X Server』の価格は12万8000円

1999年01月14日 00時00分更新

文● 千葉英寿

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 アップルコンピュータ(株)が、14日、新しい『iMac』および新しい『Power Macintosh G3』などとともに、業界スタンダードと筆者(千葉)が評価するサーバーOS『Mac OS X Server』を発表する記者発表会を開いた。昨年のiMac発売の際には、カウントダウン生中継付きの発表会という派手な演出で目を引いた。今回は、それと打って変わって、大変地味だが中身の濃い発表会となった。

 デモンストレーションを受け持ったのは、同社プロダクト・マーケティング部長の沢昭彦氏。本稿では、発表会と順序を変えて、『Mac OS X Server』、『Power Macintosh G3』、『iMac』の順に紹介する。

インターネットビジネスを念頭に置いた『Mac OS X Server』

 今回の発表会で最も注目すべきなのが、サーバーOS『Mac OS X Server』だろう。昨年のASCII 24のインタビューにも掲載されているように、米国ではインターネットサーバーOSのスタンダードとなっている同製品が、いよいよ国内で販売開始される。希望小売価格は12万8000円で、販売時期は4月から6月までの間だ。

 筆者(千葉)の目で強力だと太鼓判の押せる、このサーバーOSの販売は3社が実行する。これまでも同社と協力関係にあったキヤノン販売(株)、(株)大塚商会、(株)Tooである。そもそもキヤノン販売は、WebObjectsを開発した旧・米NexT社との関係から『WebObjects』販売について、すでに実績を積んでいる。また、大塚商会の持つ全国的な訪問販売網、出版、印刷分野に強いTooという布陣でエンタープライズ部門がさらに強化されることになる。

 『Mac OS X Server』では、UNIXの堅牢な基盤技術を持ち、Mach カーネル、BSD、Apache、Javaなどの実績あるオープンスタンダードを広く採用している。ネットワークアプリケーションの開発環境『WebObjects 4』、世界のウェブサイトで数多く利用されている『Apache』を搭載する。また、『NetBoot』と『AppleShareファイルサービス』によりMacintoshクライアントをサポートしている。このため、Mac OSベースのシステムからの移行がスムーズになった。

ネットワークの”これから”を予感させるNetBoot

 いよいよMacintoshでも稼働することとなった『WebObjects 4』は、大規模で速い処理を必要とするインターネット/イントラネットアプリケーションの開発運用環境として、すでに米国でポジションを確立している。

 デモでは、日産自動車(株)が運営するウェブサイトでの『WebObjects』の活用事例を紹介した。このサイトでは、さまざまな車種のさまざな色や形状、パーツなどをユーザーの好み通りに組み合わせ、完成した姿を見せる。バーチャルショールームといえるものだ。膨大な組み合わせを『WebObjects』を使うことで効率的に見せることに成功している。

 サーバー上にあるシステムフォルダーを使ってネットワーク上のMacintoshを起動できる機能である『NetBoot』のデモは、これからのネットワーク作業の基準になる予感を感じさせるものとなった。

 デモでは、ネットワークに繋げられた『iMac』を再起動し、Nキーを押すことでサーバーにアクセスした。そして、ID、パスワードを打ち込むことで、サーバー上にあるシステムにログインする。このときあらわれるデスクトップは、過去に作ったユーザーごとの環境をセーブしたものである。ネットワーク上のどのMacintoshからでも、自分のアプリケーションや書類、デスクトップ設定が、安全に呼び出せることを示した。

プロ向きのメディアオーサリングマシンへとさらに進化

 新しい『PowerMacintosh G3シリーズ』は、これまでとは、姿形もスペックも大きく進化したものだった。上部、隅の取っ手を、デザイン面だけを考慮して、こうした形状にしたのではないという。拡張やセッティング変更などの多いプロフェッショナルの現場で扱いやすし、また、強度を向上させるものである。

 MPUには、『PowerPC G3プロセッサー』の400MHz版をはじめ、350MHz版、300MHz版が採用されている。また、システムバスは、これまでの66MHzから100MHzに向上した。

 さらに、グラフィック処理のパフォーマンスにも格段の向上が図られている。これまで同様、グラフィックやパブリッシングといったプロフェッショナルユーザーがメインターゲットと想定されることから、速度を重視したと考えられる。2D/3Dのグラフィックアクセラレーションチップには、業界最速といわれるATI社の『ATI Rage 128』を搭載している。

 インターフェースには、『FireWire(IEEE1394)』がはじめてアップル製品に搭載された。『FireWire』は、アップルが開発したもので、400Mbpsの速度を誇る。高速分野の事実上の業界標準と目されている。『FireWire』の採用は、年々作業容量が大きくなるクリエイターにとって、なによりの朗報といえるだろう。さらに、中速分野の業界標準であるUSBを2ポート搭載している。沢氏は「事実上、拡張性には制限がなくなったといっていいでしょう」と語った。

 以上のように新しい『PowerMacintosh G3』は、プロフェッショナルがさまざまなメディアオーサリングを行う上で、必要なものがすべて揃ったマシンに生まれ変わったと筆者(千葉)は明言したい。

iMac市場はさらに拡大

 『iMac』では、5色の新しいラインナップが確立し、スペックも向上した。販売累計台数は80万台を突破した。アップルコンピュータの原田社長は「(『iMac』が)8月以来、連続19週にわたり最も売れたパソコンとして『BCN』誌などで発表されています」と語る。さらに、『iMac』のUSB対応の周辺機器が、ワールドワイドで100製品以上、日本国内でも76製品が販売されていること、新しいアプリケーションがワールドワイドで1355製品、日本でも150製品が発表・リリースされていることに言及した。『iMac』の市場がさらに拡大していることを強調した。

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