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銀閣寺バーチャルショップ新規オープン---京の商店街とデジタル

1998年12月24日 00時00分更新

文● 報道局 伊藤咲子

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 京都で、古都の文化資産をデジタルネットワーク上のビジネスに結び付けようという動きが活発化してきた。銀閣寺・白川周辺の商店街、西新道錦会商店街、京都デジタルアーカイブに、21世紀流京都ビジネスの胎動を探った。

哲学の道からインフォメーションハイウェーへ

 京都市左京区銀閣寺・北白川周辺の商店が、“銀閣寺バーチャルショップ”と名づけたバーチャルモールを開設した。現在、レストラン、京都中央信用金庫(北白川支店)、税理士事務所、石材店など地元の商店13店のホームページとリンクしている

 現在、北白川の歴史や白川女の歴史など、地域の文化的情報も掲載している。会長の吉沢俊二氏に伺ったところ、「次回更新の際は、銀閣寺と南禅寺を結ぶ“哲学の道”のバーチャル写真展を開設します」とのこと。単なるバーチャルに終始せず、地域の文化的トピックスも盛り込もうと意欲的だ。 



 白川は中世より花の名所とされ、たびたび和歌に登場する。今回のバーチャルショップの開設をはじめ、京都には個人や地域コミュニティーが主体となった、古都のかおりを前面に押し出したバーチャルビジネスの試みが多い。

 京都産業情報センター内小売商業情報センターは、京都の有名商店街と、バーチャルモールを企画し、“京都の有名商店街”というホームページを立ち上げている。25商店街が登録されており、現在では各ページの運営、更新は各商店街がそれぞれ行なっている。


デジタル化した文化資産をビジネスに

 最近京都で、古都の文化資産を、デジタルの世界に載せてビジネスに結びつける動きが盛んになってきている。観光や商業振興に生かしたり、あるいはデジタルコンテンツ制作としてビジネスにすることを探ったりといった具合だ。

 後者の例では、先日開催された、“デジタルアーカイブ・ビッグバン京都‘98”があげられる。主催は、今年8月に京都府などが中心となり設立した“デジタルアーカイブ推進機構”。イベントには、全日程を通じ、6800人の来場があった。

 同機構は、国宝級の美術品のみならず、京都の古い商店や町工房、一般家屋に残る文化遺産や町並みそのもののデジタルデータベースの作成も手掛けている。開発中のアーカイブシステム『THE MIYAKO』には、京都市民によるそうした身近な文化資産の書きこみも予定している。必ずしも儲けることが第一ではないが、少なくとも慈善事業という思いはない。

'92年スタート、“錦”の電子マネー

 
 “エプロンカード”という電子マネーが、京都市内の西新道錦会商店街で使用されている。導入は'92年と早く、また、商店街が独自に取り組んだものとして注目を浴びている。主催は同商店街で、加盟店からは5パーセントの手数料をとっている。商店街発表では、カード処理回数は1 日1000 から1500件という。

 電子マネーの入金は店先にある端末でも可能で、入金限度額は99万円、入金した時点で利用額の4%が還元されるシステムをとる。京都市内の電子マネーというと、観光地域の“デビットカード”が有名だが、“西新道”では地元住民をターゲットに同商店街の75店舗で使用でき、現在プリペイド入金で年間約3 億円の事業になっている。

 また、現在はパソコンとパッケージ化されたファクスモデルシステムを使い、同報送信でチラシを配る“ファクスネット”を開始。家庭からのファクシミリで商品の注文を受け、商品配達も行なっている。また、利用者の側から“チラシ”を取りに行くファクス情報ボックスも簡便なシステムで実験的に稼働させた。「利用方法の説明の不十分さに問題はあるが、消費者の反応も好評である」(「元気のある商店街100 」より、中小企業庁監修)とのこと。今後は、法律相談や空き部屋情報など生活密着の情報を増やしていく予定だ。

 京都は昔から、保守的な反面で進取の気象にも富むといわれている。京都では、企業や大学による大掛かりな文化・経済のデジタル化だけでなく、商店街を中心にした地域コミュニティーのデジタル技術導入も着実に拡大している。

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