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「“247サービス”が生き残りの鍵」--第5回マルチメディアフォーラム/エレクトロニクスショー'98から

1998年10月12日 00時00分更新

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 “第5回マルチメディアフォーラム”が、大阪のエレクトロニクスショー'98会場で7日から9日の3日間に渡って開催された(ショー全体は6日から10日まで)。1日目はハードウェア技術、2日目はネットワークテクノロジー、3日目はソフトウェアコンテンツ産業という日替わりテーマのもと、基調講演を含む全部で10のセッションが開かれた。2日目最後のセッション6のタイトルは、“広がるインターネット・ビジネスの将来展望”。インプレスグループ代表の塚本慶一郎氏がモデレーターを務め、さまざまなジャンルのパネリストらとビジネスの実経験に基づいた意見を交換した。

塚本氏と村田氏(向かって右)
塚本氏と村田氏(向かって右)



企業購読が500社におよぶインプレスのメール

 まず、(株)インプレス販売から、有料メールニュースの配信をはじめとした電子出版が紹介された。チーフマネージャーの村田哲史氏は、「発行するメールニュースの読者層はビジネスマンが80%以上で、企業購読が全国で500社にもなる」と現状を述べた。「今後、学校を含む法人需要の拡大を進めると同時に、インターネット世論調査のような新しいコンテンツの提供や、時事通信社との提携など、企業に魅力あるコンテンツ作りを行っていきたい」と語る。

かつての同僚の西和彦氏や古川享氏と貫禄で競う塚本氏(向かって左)と村田氏
かつての同僚の西和彦氏や古川享氏と貫禄で競う塚本氏(向かって左)と村田氏



 魅力づくりという面では、最も難しい展開を迫られているであろうプロバイダー事業については、松下電器産業(株)インターネット事業推進部(Hi-ho))の吉田純氏が発言した。「全国型プロバイダー事業を成功させるキーワードは、(1)目玉作り、(2)コンテンツの提供、(3)ユーザーの声、(4)告知--の4つである。当社では具体的な戦略として、モバイル系への対応や、目玉でもあるストリーミング技術を使ったインターネット放送局を目指していく。また、ポータルサイト化のためには生活情報も不可欠になるだろう」

Hi-hoの吉田氏
Hi-hoの吉田氏



楽天市場の社長は“247サービス”の重要性を強調

 インターネットビジネスという点では、エレクトロニックコマース(EC)市場が最も注目を集めているといってよいだろう。この市場からは、オンラインショップ『楽天市場』を運営する(株)エム・ディー・エムの三木谷浩史社長がコメント。「NTTなどのキャリアーや外国勢の参入によって、EC市場はますます厳しくなっていくだろう。モール化や、247サービス(24時間7日間を意味する米国の造語)への対応が生き残りの道となり、ECスキルが必要不可欠になる」と語った。

向かって左から竹中氏、三木谷氏、吉田氏
向かって左から竹中氏、三木谷氏、吉田氏



 吉本興業(株)の竹中功プロデューサーは、アナログ人間を自称しつつも、コンテンツの2次利用と、メディア特性に合わせた展開の可能性を示唆している。「インターネットの技術はまだ流通面だけのもので、商材までには発展していない。そういう意味では、デジタルかアナログかを問わず、展開していけるだけのコンテンツを作っていくことが大切。最後は人が作っていくものが、一番強力なコンテンツになっていくのだろう」

向かって左から竹中氏、三木谷氏。片や吉本、片や楽天で笑顔が気持ちよい
向かって左から竹中氏、三木谷氏。片や吉本、片や楽天で笑顔が気持ちよい



 こうした意見以外にも、具体的な数字や事例がどんどん飛び出し、90分という時間ではとてもまとまりきらない中身の濃いセッションとなった。最後のまとめとして塚本氏は「インターネットビジネスはまだ早い者勝ち」とコメントしていた。しかし、それだけでも勝ち抜けない難しさを感じさせられたセッションでもあった。

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