このページの本文へ

“デジタルクリエイターカレッジWAO!”が社会人を対象に第2回インターネットビジネス起業セミナーを開催

1998年10月06日 00時00分更新

文● 報道局 伊藤咲子

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 コンピューター専門学校“デジタルクリエイターカレッジWAO!”は25日、都内で第2回インターネットビジネスセミナー開催した。これは、10月末に本コース開講を控え、その受講希望者に基礎知識を理解してもらうため2回にわたって開催した特別無料セミナー。主な対象はインターネットビジネスを展開しようとする社会人。講師は、マイクロソフト(株)基盤戦略室リサーチマネージャーの森祐治氏。

 9日25日に行なわれた第1回のセミナーでは、ホームページ製作代行の米Razorfish社や、日本の検索エンジン“Yahoo!”を例に、物品の販売よりも、仲介的サービスを提供するインターネットビジネスが成功している現状を、森氏が説明した。

 今回の参加者は、メーカー、商社、マスコミなどさまざまな業界のビジネスマンが7割を占めた。起業をとりまく環境の問題、サイトの経営に関する問題を、アメリカの事例をとりあげ、用意されたワークシートを受講者が作成する形で進行した。

講義は19時開始。背広姿も見える。
講義は19時開始。背広姿も見える。



インターネットビジネスの起業をとりまく日米の環境の違い

 同氏はまず、日本とアメリカのインターネットビジネス起業をとりまく環境の違いを説明した。

 同氏は、'95年アメリカでデジタルコンテンツの企画・開発および権利取得の専門会社を起業。デラウェア州で法人申請を行った。というのも、「デラウェア州は、アメリカで最もビジネスに関する法律が整備された州の一つ。'90年代はじめのインターネットビジネス創世記には、州も弁護士も膨大なビジネスパターンの応用と新たな蓄積でのりこえてきた。」ためであるという。資本金はわずか100ドル(約1万3500円)であったが、許認可が下りたとのこと。

 しかし、インターネット上でのビジネスや、コンテンツ制作、コンサルティングなどに対して社会的に理解されておらず<、銀行などから資金の援助が受けずらい日本の現状を述べ、各種助成制度を利用し、戦略的に組めるパートナーを開発することが重要と、続けた。また、ある程度同業者などが増えてきたら、事業者団体を積極的に形成し、市場全体の知名度アップを図らねばならない、とした。

アメリカにおける新聞サイトの運営失敗

 次に、アメリカの新聞サイトを例に、サイトの経営の難しさを説明した。アメリカの新聞サイトは、過去に2回の有料化の動きがあり、どちらも失敗しているという。

 1度目は、'94年、USA TODAY紙が3カ月の試用期間の後、月40ドル前後(約5000円。通常の新聞契約は月25ドルで約3100円。)でサイトを有料化したが、会員数10万人のうち購読料を支払ったのはわずか1000人前後。そのため、同紙をはじめ各紙とも有料化の路線を変更した。
 2度目は、'96年、インターネット人口の増加に伴い、ニューヨーク・タイムズなど各紙は、再びサイトを有料化。しかし、今度はCNNやMSBCなどニュース専門放送局の無料サイトに客足が流れてしまった。さらに、新聞サイトは購読者も集められず、バナー広告収入も激減するというダブルショックにみまわれた。

「消費者は目に見えない“情報”に対してお金を払うことに抵抗があること、ニュースが見たかったのであり、新聞にロイヤルティを感じていたわけではなかったこと、契約や料金の支払いが面倒だったこと、この3点が失敗の原因」と、新聞サイトの運営の失敗について分析した。

講師の森祐治氏
講師の森祐治氏



インターネットで起業するには

 前出の例のように、有名企業といってもサイトの運営は楽ではないこと踏まえ、「基本は商品の単純な販売など既存のビジネスとは競争しないようなモデルを作ること。収入をひとつのものに依存しない形式を作ることが重要」と付け加えた。

 最後に、「消費者とのコミュニケーションにおいては、電話のほうが有利な場合もある。Web上ではアクセスが成立したとたんにコミュニケーションが成立したように思われるぶん、より丁寧に行なわなければならない。現実世界での実物のビジネスと基本は同じなのだ」と締めくくった。

 講義終了後は、早速森氏に起業のアドバイスを求める受講者も。本コースの開講は10月末を予定しているが、WAO!によれば詳しい内容はまだ未定とのこと。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン