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【Company Survey】Amazon.comが買収したJunglyとPlanet All

1998年09月16日 00時00分更新

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Amazon.comによる大型同時買収

 1998年8月7日、Amazon.comが標記2
社を、総額2億8千万ドルの株式交換で買収することを発表した。創業依頼3年間膨大な赤字を続けているAmazonも、インターネットハイプ(=ブーム)に助けられてか高い株価を続けており、それを有効活用しようとのねらいがあったのかもしれない。しかし、さまざまなユニークなサービスで売上急成長を続け、インターネットコマースにおける最初で最大の注目株である同社が、この2社をいかなる戦略で買収したのか、非常に興味があるところだ。つまりこの2社それぞれ単独の事業やサービスとしてではなく、Amazonグループとして今後いかに発展していくかに注目したい。

アクセスを稼ぐ両社サービス

 Jungly、Planet All両社に共通する特徴は、膨大なアクセスにつながる、すなわちポータルとなりうる潜在性を持っていることである("ポータル"は同じ筆者の別掲記事『ビジネス成功の扉はポータル戦略だ』を参照)。

 Junglyは、XMLを活用したバーチャルデータベース(VDB)技術やロボットを活用し、他社の各サイトのさまざまなデータベースを統合して検索、表示するサービスサイトである。つまり、たとえば消費者がカーキ色のチノパンを欲しいと思ったとき、何十社、何百社のサイトを、消費者に代わって瞬時に検索し表示してくれるのである。アパレルに限らず同じようなサイトが乱立しつつある中で、このサイト一つですべての情報が検索できるわけで、あらゆるサイトへのゲートウェーとなるポータルとしての条件を備えているといえよう。

 一方、Planet Allは、アドレスブック、スケジュール、リマインダー(結婚記念日など当日にリマインダーメールを配信する)など個人情報管理サービスを、WEBベースで提供するサイトである。目玉は、すべてのメンバー情報を統合的に管理し、本人が情報(たとえば自分自身のメールアドレス)をアップデートすれば、それを書き込んでいる他の全員のアドレスブックが自動的にアップデートされるという、社名どおり「地球は一つ」のサービスである。WEB上の個人情報管理サービスは今後、ワイヤレス携帯端末の普及に伴い、広く普及する可能性を秘めている。

背景にあるポータル戦略

 昨今、ポータルを獲得することが、インターネットにおける成功の鍵、というよりもポータルを取らなければ大きな発展はありえないという認識が広まりつつある。そして、今回のAmazonの買収はこの流れを決定付けたということができよう。今後、さらにポータルへ参入しようとする企業が増えるはずである。

 これまでポータルを獲得した企業は、AOL、ヤフーなど検索エンジン各社、マイクロソフト、ネットスケープといった、どちらかといえば自社のサービスから自然発生的にそこに至った企業が多かった。しかし、Amazonの場合は、戦略的にそれを狙ったはじめてのケースである。今後、ポータル戦争はどう展開するか、Amazonはポータルの老舗に対抗できるか、そして他の多くの企業に対して新たなアイデアでポータル競争に参入する範となるか。将来を占う上で非常に興味深いテーマである。


末松 千尋(すえまつ・ちひろ)氏プロフィール

(株)アドバンスト・コンサルティング・ネットワーク     代表取締役   
979年東京工業大学卒業。1984年スタンフォード大学経営工学科修了。マッキンゼーを経て現職。
http://www.acnconsulting.com
suematsu@acnconsulting.com

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