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【Key Word Survey】仕事のデジタル化をすすめよう

1998年09月10日 00時00分更新

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ドキュメントのデジタル化

 多くの企業では、職種に関わらずパソコンを仕事に使うことが増えてきた。ことに書類を作成するという作業においては、パソコンのワープロソフトを使うことが前提になっている。その意味では、今、会社の文書は急速にデジタル化されているが、デジタル化によるメリットを意識して作成したり、再利用したりしているかどうかとなると、ほとんどの人は意識外にあるのではないだろうか。

 文書をデジタル化することの、ビジネスへの大きなメリットのひとつは、複製が容易で、配布にコストをかけなくて済むことにある。たとえば、十の部門に数十ページの報告書を配布したいと考えた時に、アナログの世界ならば、コピー機で十部コピーを取り、それぞれの部門に渡さなければならない。コピー枚数は、数百ページになるだろうから、時間も紙もかかる。事業所が分かれていたら、送付のコストだって必要だ。

 一方、デジタル化したファイルならば、メールで送付すればほんの数分で終わってしまう。イントラネットに登録しておき、登録したことだけを連絡すれば、なお時間は短縮できる。ドキュメントをデジタル化してサーバーに蓄積し、管理することで、必要に応じて素早く取り出すことが可能になる。紙のファイルが書庫いっぱいあれば、必要な書類を探しだすのは一苦労だが、デジタルファイルなら、ファイル名、作成者、作成や更新の日付などから、素早く検索できる。ドキュメントをデジタル化することで、管理し、再利用することが格段に便利になるのだ。

 こうしてドキュメントをデジタル化し、仕事に積極的に活用する企業も出てきている。先日、ドキュメントのデジタル化に取り組む企業を事例として取材する機会があった。カラーのプレゼンテーション資料をデジタル化し、お客様一件一件に合わせた提案書を作成して売り上げを伸ばしているメーカーや、カラーのパンフレットや仕様表をデジタル化することでコストを削減し、品質向上につなげた販売会社もある。競争力をつけるために、ドキュメントをデジタル化した例だ。ドキュメントをデジタル化することによって、結果的に仕事のノウハウを共有でき、パワーアップするのだ。

情報を上手に共有するためのシステムが必要

 先の例では、企業のデジタル化推進の中心となった人に取材したが、ほとんどの人が「デジタル化による効果やその意味を、社内の人の理解してもらうのが、最初の苦労だった」と述べている。デジタル化をすることで、これまでの仕事のやり方を変えなければならなくなる。新しいことにチャレンジすることに積極的でない人からは、反発もあるだろう。

 また、これまでのシステム部門による社内システムの構築とは異なる視点で、ネットワークし、情報を蓄積する必要が出てくるので、費用的な面でも説得力あるプランを作らねばならない大変さもあるという。今後はこうした苦労を減らすために、企業のデジタルドキュメント作成や管理のシステムを助けてくれるようなパッケージも登場してくるのではないだろうか。

 仕事を効率的に進めるためのというより、攻めるための情報を共有するためのデジタルドキュメントのシステムを期待したい。

●ドキュメント以外の情報のデジタル化

 また、現在は文書中心のデジタル化だが、さらに一歩進めば、動画や音声も含めたマルチメディアのドキュメント(コンテンツと言うべきか)を、社内で共有することも視野に入ってくるだろう。教育分野などで効果が高いとしながらも、設備面で負担が多すぎたビデオオンデマントのような使い方も、音声ファイルや動画をイントラネットで共有すれば実現する。

 要はデジタルドキュメントを利用する発想と、利用側のリテラシーが求められるのだろう。

高橋慈子(たかはし しげこ)氏プロフィール

1988年テクニカルコミュニケーションの専門会社として株式会社ハーティネスを設立。同代表取締役。関心あるテーマは、コミュニケーションの技術とストラテジー。1988年テクニカルコミュニケーションの専門会社として株式会社ハーティネスを設立。同代表取締役。関心あるテーマは、コミュニケーションの技術とストラテジー。



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