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【Key Word Survey】ウェブキャスティングでさらに広がるインターネットの可能性

1998年09月01日 00時00分更新

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本格的な実用期を迎えつつあるウェブキャスティング

 ウェブキャスティングとは、プッシュ技術やストリーミング技術を用いた、マルチメディア配信のことを指す。プッシュもストリーミングもここ数年の間に登場してきた成長途上の技術であるが、品質の向上や回線インフラの整備などに伴って、特に米国においてさまざまな分野に適用されるケースが増えてきた。

 例えば、インターネットの世界では、従来のメディアと異なりチャンネル数に制限がなく、低コストでワールドワイドに情報配信が可能なため、新たなコミュニケーション手段としての期待が高まっている。



 具体的に例をあげるとテレビ局の場合、世界中から集められた映像素材のうち、実際に放映されるのは、限られた時間枠の中で許されるごく一部にとどまっている。たとえクリントン大統領が1時間の演説をしても、世界中のほとんどの人が目にするのはそのうちわずか十数秒の「編集された」結果である。

 確かにほとんどの人にとっては大統領の1時間の演説は不要かもしれないが、特定の人間にとっては価値があるケースもあり得るわけで、そんな一部のニーズにも細かく答えることが出来るのがオンデマンド型のウェブキャスティングなのである。しかも、テレビと違いインターネットの場合、トラッキングが可能なため、本当に欲しい人に正しい情報をワンートゥーワンで届けることすら可能なわけだ。

 また、ウェブキャスティングをイントラネットに導入したケースでは、社員への情報伝達や社員教育に活用している事例がある。この場合、従来のVTRテープの配布をオンデマンドやストリーミング配信に切り替えたことで、大幅なコスト削減効果を生むとともに、社員の活性化にもつながった。

 日本でも昨年あたりから、イベントの生中継にとどまらず、企業がリクルーティングに活用するケースが出てくるなど、ビジネス市場への広がりが徐々に出てきているところである。こういったウェブキャスティングの活用が広がっていくのも、従来のメディアでは実現が困難であった双方向性の付与やカスタマイズの容易性、あるいはトラッキングが可能といった、インターネットならではの機能がうまく生かされているからに他ならない。

新たな広がりの起爆剤となるか~“SMIL”の登場

 さらに、このウェブキャスティングの広がりを増大させる起爆剤として期待されているのが、今年の6月にW3Cから正式仕様が発表された同期マルチメディア再生のための記述言語“SMIL 1.0”(Synchronized Multimedia Integration Language)である。



 これは従来、同期をとって再生するのにテクニックを要した、テキストやビデオなどの各種エレメントの同期再生を、簡単なスクリプトで実現する技術である。すでにRealNetworks社からは、“SMIL”対応のメディアブラウザ『Real System G2』のベータ版が公開され(正式版は今秋リリース予定)、多くのコンテンツプロバイダーが“SMIL”でのマルチメディア配信を行っている。『G2』ではビデオ、音声、テキストの他に、静止画像、アニメーションも扱えるため、非常に手の込んだコンテンツ配信が可能になっている。



 ここまでくると、かなりテレビに近いというのが実感である。それに加えて、チャンネルが無制限であり、かつ好きなチャンネルだけを登録して見ることができる。埋め込まれたリンク情報からHTMLを参照したりすることも可能で、聴取者側に参加意識を醸成することができる。なお、現在は“SMIL”によるコンテンツの開発競争の段階であり、今後エンターテイメント、ビジネスの両分野においてさまざまな用例が提唱されていくものと思われる。

・“SMIL”に関する資料
 http://www.w3.org/TR/REC-smil/
 http://www.jp.real.com/g2/smil/

川口 泰司(かわぐちやすし)氏プロフィール

'97年(有)フロムビッツ設立。WebプロデューサーとしてWebページの制作、開発、コンサルティングなどWebサイト構築・運営の分野で幅広く活動中。

この記事は、「Focussed Series」からもアクセスできます。多彩な筆者の寄稿を収録中です。

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