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【Contents Survey】電子メールという習慣

1998年08月28日 00時00分更新

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 ニュースを追いかけるという仕事がら、毎日、数多くの電子メディアに目を通しているが、もっとも便利で、忙しいときでも必ず目を通すようにしているのは電子メールメディアだ。



 「Web」と「Magazine」を組み合わせた「Webzine」という言葉もあるが、私に関して言えば、それらにはあまり依存しておらず、時間に余裕があって、ふと思いついたときにアクセスする程度のものでしかない。確かにWebベースのメディアは、見栄えがリッチなものも多く、それなりに訴えかける力を持ってはいるが、やはり、自分からアクセスしなければならないという点が、意識の上での「敷居」となってしまっている。もちろん、そのためにいわゆる「プッシュ」という仕組みが考え出され、それも一定の成果を上げてはいるが、不定期にインターネットへ接続するモバイル環境などで使い勝手が今ひとつであるなど、万能ではない。

 電子メールメディアが便利なのは、毎日ほぼ習慣として利用している電子メールと同じインターフェースで情報収集ができるからだが、それだけではない。

 電子メールメディアの、毎日向こうから届けられるという感覚には、配達される新聞のそれに近いものがある。あるいは、毎朝仕事を開始するに当たって、まずインターネットのメールをチェックすることから始める人も多いと思うが、そうした無意識の習慣は、帰宅したら何となくテレビのスイッチを入れる、という感覚にも似ている。そう考えると電子メールメディアは、朝起きて寝ぼけながらも新聞を開いたり、定時になると反射的にニュースを見ようとテレビをつけたりという生活習慣に組み込まれたメディアのように、基本的なメディアとして受け入れられやすい“素地”を持っていると言えるだろう。

 では、数ある電子メールメディアの中から、私自身が購読していて、最近特に注目しているものを3つほどピックアップして紹介しよう。

・ていねいな取材で光るMainichi Daily Mail Computing

 まず、新聞系のコンピューター関連電子メールメディアの中で、最近私が注目しているのは、毎日新聞社の「Mainichi Daily Mail Computing」だ。調べるべきところをきちんとていねいに取材しており、同業の私が言うのも何だが、読んでいて「ああ、よく調べているなぁ」と感心することが多い。特にコンピューター業界は、移り変わりのスピードが速く、モノによってはかなりの専門知識を要求されるため、特定分野のスペシャリストが受け入れられにくい新聞社系にあっては、技術的なバックグラウンドを持って内容を追いかけるのには限界がある。その中でこのMainichi Daily Mail Computingは、新聞社系でありながら非常によくやっているほうだと思う。ただし、情報をカバーしている範囲はそれほど広くなく、ニュースの網羅感という点では他メディアに見劣りするところもあるので、その辺は割り切って購読したほうがいい。

・シリコンバレーへの触角となるSilicon Valley Express-Digest

 コンピューター系では、クリエイティヴ・リンクの「Silicon Valley Express-Digest」もユニークな電子メールメディアだ。
 これは、シリコンバレーを中心にした大小さまざまなコンピュータ関連企業のニュースを配信するInternet Wire社と提携しており、ベンチャーから大企業まで、米国の企業の動きがダイレクトに伝わってくる記事を日本語で読むことができる。「digest」とついているとおり、電子メールで配信されるのは、見出し+2、3行のダイジェストで、記事全文はWebサイトにアクセスして読むようになっている。これはちょっと不便な面もあるが、なにしろSilicon Valley Express-Digestの記事は玉石混淆(こんこう)、大企業もベンチャーも区別なく扱われているため、ダイジェストを一覧して当たりをつけるという読み方が適している。これも、ニュースの網羅性という点では今ひとつの感があるが、とにかく、米国のコンピューター産業の懐の深さを実感できること請け合いだ。

・日記が日課となるMari's English Breaktime

 これはコンピューターには直接関連しないが、私自身が購読していて、これはお勧めだと周囲に説いて歩いているメディアだ。「Mari's English Breaktime」という名前から想像されるとおり、英語のお勉強ができる電子メールメディアである。基本的には、1回につき1つの英語表現を題材に、それを使った例をたくさん挙げて、応用などについて解説するという形になっている。特筆すべきは、そこで挙げられている例文で、身近な話題を中心にした非常に親しみの持てる内容となっているのである。そのため、英語の勉強をするという肩肘張った感じではなく、米国西海岸の生活日記を読むようでもあり、日本にいながら当地の生活の雰囲気まで感じることができる。

・Mainichi Daily Mail Computing:
 http://dm.mainichi.co.jp/
・Silicon Valley Express:
 http://www.nihon.net/sve/
・Mari's English Breaktime:
 http://www.siliconbaycatch.net/

風穴 江(かざあな こう)氏プロフィール
月刊スーパーアスキーの編集を経て、1998年からフリーに。データーベースやグループウェアに詳しく、スーパーアスキー担当時には、取材データベース、リリースデータベースを開発した。現在「ascii24」や「Linux Japan」を中心に、企画/執筆/編集活動を展開。

この記事は、「Focussed Series」からもアクセスできます。多彩な筆者の寄稿を収録中です。

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