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【Contents Survey】メールマガジン文化の生みの親『まぐまぐ』

1998年08月12日 00時00分更新

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百花繚乱のメールマガジン

 1997年、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』の登場によって、日本にメールマガジン文化の芽が登場したといっても過言ではないだろう。1998年8月現在、4000誌をこえるメールマガジンが登録され、延べ人数425万人が読者として登録されている。もはや、これは日本を代表するインターネット文化であろう。海外ではこのようなメール文化のケースはあまり見られない(SPAMメールはさかんであるが…)。

 『まぐまぐ』のWebサイトおよびサービスは、頻繁なマイナーアップグレードを繰り返し、日々ソフィスティケートされ続けている。ビジネスモデルの面で、着実に効果をあげてきている点にも注目したい。登録読者に毎週約50万部、無料配信される『ウイークリーまぐまぐ』のフルヘッダーの広告料金は30万円の価格設定がなされている。さらに、メールマガジン発行者向けのインフラとなる『プレスネットワーク』(ニュースリリースを電子メールマガジン発行者に送る電子メールシステム)など、メールマガジン発行者と読者を結ぶ協力なインフラサイトとなりつつあるのが、『まぐまぐ』の特徴である。



ICQまでもがインタビューツールに

 興味ぶかいのが、このインフラ事業、京都リサーチパーク(大阪ガスなどが出資するインキュベートセンター)の一室で、数台のPCで運営されている点である。多少の負荷はこのシステムを思えば納得できる。今までのインターネットインフラというと、物理的にサーバーを数台、モデムや大規模回線というイメージがあったが、『まぐまぐ』はこれをみごとに払拭している。アイデアとユーモアと、そしてビジネスだけではないボランティアマインドによって形成されたサイトであるからだ。

 お勧めしたいのが、ICQを利用したインタビュー『ICQだらだらインタビュー』である。 http://rap.tegami.com/mag2/misc/interview/phantom.htmは、対談番組であるかのようにICQが利用されている。原稿を書くと言うよりも電話に近い形で取材活動が行われている。重要なのは、アイデアがあっても本当に実現してしまう実行力であろう。 何よりも恐しいのが、思いついてすぐに実行にうつす彼らの行動力である。このインタビューも、こんなインタビューの企画があればきっと面白いだろうというところかのきっとスタートであろう。

 大手企業のサイトであれば、それがどのように面白くなって、投資したコストがいつ回収できるかに議題は集中する。しかし『まぐまぐ』に、そんな概念はまったく通用しない。自分たちが面白いと思ったことは、プログラムを作ってしまって、すぐにやってしまえるところが持ち味だ。これは今後のウェボノミクス(Web+エコノミクス)社会において、とても重要なファクターとなるであろう。中小、個人企業にとっては、この思いついた瞬間にビジネスのアクションを起こせる事は、大企業に対する大きなアドバンテージとなる。



『まぐまぐ』にこの夏、最大のライバル登場!

 この夏、まぐまぐに最大のライバルが現れた。ニフティサーブが、Mackyなるメールマガジンインフラサービスに参入したからだ。ニフティサーブの巨大なるインフラでサービスを開始することにより、物理的なサービスでは一気に『まぐまぐ』以上の環境を実現できることだろう。しかし、このウェボノミクスの世界では、新しい経済原理が働く。巨大な資本が動いただけで、デファクトスタンダードになれるとは限らないからだ。生まれたてのメールマガジン配信インフラ夏の陣。どちらに軍配があがるのだろうか?興味ぶかく、どちらも利用しつつ眺めてみたい。

・まぐまぐ
 http://www.mag2.com
・Macky ニフティサーブ
 http://macky.nifty.ne.jp/

神田 敏晶(かんだとしあき)氏プロフィール

KandaNewNetwork ビデオジャーナリスト。
東京でワイン関連のマーケティング業からコンピュータと出会い、コンピュータの道にハマル。1998年、世界で一番小さなデジタル放送局KandaNewsNetwork代表。2001年12月01日バージニア州の民間航空宇宙企業が開発した「ツー・ビークル式スペース・クルーザー」で宇宙旅行を遂に予約してしまった(^_^)。

この記事は、「Focussed Series」からもアクセスできます。多彩な筆者の寄稿を収録中です。

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