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【Company Survey】通信コストを削減するサービス企業に注目

1998年08月07日 00時00分更新

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 デジタル産業関連のドライビングフォースとなっているのは、やはりインターネットだろう。しかし、接続コストの高さが日本のインターネット推進の障害となっている、という点は長らく指摘されていたことだ。たぶん、このコスト問題を解消するようなテクノロジーを持つ企業にはすべて躍進の可能性があるかも知れない。

 現在最も期待されているのはCATV経由の接続や一部農村地での有線放送電話接続、さらには構内接続など話題になっているのがxDSL関連技術。しかし郵政省がNTTなどにアンバンドル規定を義務づけるということにでもならないと(野田郵政省には期待が大きいところかも知れないが)、NTT回線では使えず、さほどの国内需要が見込めないので国内メーカーにはまだ期待できないし、Cisco、3COMなど既存の米国大手(といってもベンチャーの域ではあるが)商品化では先行しているので、国内企業にはハンディがある。

 しかも、いったんこういう状態になったシステムは、対症療法的にトラブルシュートしても、問題が再発しやすい。一番手っ取り早いのは、新しいマシンに新しい環境(システム)を構築して、古い環境と完全に決別することだ。ハードウェアまで新しくするのは、新しいシステムが順調に稼動してから1~2ヶ月は、古いシステムを予備として、手つかずでとっておきたいからにほかならない。新しいシステムに問題がなくても、古い環境の設定を参照したくなるようなことも往々にして生じるものだ。

 しかし、xDSLのさらに次の展開ということでは、CDMA(スペクトラム拡散無線)技術を使用したワイヤレスLANや無線モデムによる接続が、大きく浮上してくるかも知れない。インターネット接続ではまだ国内実績が低いが、米国・韓国での規格化動向を考えると、大変期待できる上、この分野は国内メーカーがさほど遅れているわけではないからだ。LANの需要ばかりではなく、もし、地域プロバイダーなどが、近距離間の無線接続をサービス化すれば、一気にブレイクする可能性が高いのではないか。

 そういう意味では、国内メーカーであり、自社開発しているらしいルート株式会社ほかが重要かも知れない。

 もう一つは、ニッチというべきかもしれないが、インテリジェント・インスツルメント株式会社が開発し、現在試用版が配布されているSmart Terminalというソフトウェアに注目している。このソフトはハードウェア、OS、アプリケーション、文字コード、フォントなどのインターネット通信の障壁となる要素を、すべてクリアしてしまうというもので、プリンタ言語の汎用性に注目した技術によって、単なるファイルコンバーター越える様々な工夫がなされている。

 このほか、VBI対応システムであるBitCastを開発したインフォシティ株式会社などにもかなり期待がかけられると思う。

・ルート株式会社
http://www.root-hq.com

・インテリジェント・インスツルメント株式会社
http://www.ininin.co.jp

・株式会社インフォシティ
http://www.infocity.co.jp

福冨忠和(ふくとみただかず)氏プロフィール

 1980年から出版社勤務。1986年からフリーランス編集者・広告ディレクターなどとして活動。
 1988年頃よりマルチメディア、バーチャルリアリティ関連のシステム、タイトルの開発・研究を行なう。雑誌数誌の編集、国際イベントの企画、マルチメディア開発施設の企画、ソフトウェア、マルチメディア機器、ビデオオンデマンド、DVDほか、関連のコンサルタント、雑誌原稿などの執筆・制作、テレビ番組などの構成企画、コンピュータ、家電商品関連などのプランニングが主な仕事。
 「文化としてのマルチメディア概論」(非売品 聖マリアンナ医科大学 1998年)をはじめとして、著書、編著書、訳書多数。 

この記事は、「Focussed Series」からもアクセスできます。多彩な筆者の寄稿を収録中です。

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