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【Contents Survey】インターネット上のコミュニティーやT-Timeに注目

1998年08月07日 00時00分更新

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 果たしてコンテンツと言えるかどうかわからないが、いわゆるweb掲示板の仕組みを発展させて、インターネット上にパソコン通信のようなコミュニティの仕組みを作ろうとしているアットクラブにはちょっと注目している。インターネット上のコミュニケーションにはネットニュースのようなひどくオープンなものと、メーリングリストのように閉鎖的なものがあるが、いずれもポスト量が多くなると、個人ユーザーには対応しきれなくなるところがあった。webベースの仕組みであるアットクラブは、忙しければアクセスしなくて済み、旧来のパソコン通信の利便性を備えている。

 一昨年、ハワード・ラインゴールドはエレクトリックマインズという同様の仕組みを、広告収入による無料アクセスのコミュニティとして創設し、採算面で苦しんで挫折したことがあったが、アットクラブでは有料化して、堅実にスタートした上、逆に今後は広告収入などの可能性も考えられるのだ。まあコミュニティの魅力はシステムではなく、そこにいる人間の関係だから、成功の可否は今後のコミュニティづくりにかかっているとも言えるが。

 もう一つもコンテンツとは言い切れないが、CD-ROMメーカーの草分けであるボイジャーが、エキスパンドブック」の延長上で開発したT-Timeに注目している。これはwebコンテンツをエキスパンドブックのような縦組みの美しい組版で読むことを可能にする仕組みだ。

 単なる縦組みweb作成は、幾つかのソフトウェアが存在していたが、長年印刷と出版の世界で培われた組版の美学を、webの世界に持ち込もうとしたところが大きなポイントだ。PDFなどの仕組みもあるにはあるが、既存のwebも縦書き組版で読める、など、それとはかなり考え方の違うものだ。

 CD-ROMにはたくさんいいものがあるのだが、多くの人はそれを知る機会がないのかもしれない。特にアート系のタイトルには、実に見るべきものが多い。敢えて一つだけ挙げれば、Yellowシリーズなどで一声を風靡したデジタローグが、発売し続けているアートタイトルのうち、昨年出たUrban Feedbackと、その続編のような印象のAudioRomの二つだろうか。

 クラビングは好きだが、パラッパラッパーは嫌いだという若者向け。

・アットクラブ
http://www.atclub.co.jp/

福冨忠和(ふくとみただかず)氏プロフィール

 1980年から出版社勤務。1986年からフリーランス編集者・広告ディレクターなどとして活動。
 1988年頃よりマルチメディア、バーチャルリアリティ関連のシステム、タイトルの開発・研究を行なう。雑誌数誌の編集、国際イベントの企画、マルチメディア開発施設の企画、ソフトウェア、マルチメディア機器、ビデオオンデマンド、DVDほか、関連のコンサルタント、雑誌原稿などの執筆・制作、テレビ番組などの構成企画、コンピュータ、家電商品関連などのプランニングが主な仕事。
 「文化としてのマルチメディア概論」(非売品 聖マリアンナ医科大学 1998年)をはじめとして、著書、編著書、訳書多数。 

この記事は、「Focussed Series」からもアクセスできます。多彩な筆者の寄稿を収録中です。

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