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横須賀に研究開発拠点の『NTT DoCoMo R&Dセンタ』がオープン

1998年03月27日 00時00分更新

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 NTT移動通信網(株)(NTT DoCoMo)は、横須賀リサーチパーク内に研究開発拠点『NTT DoCoMo R&Dセンタ』を26日に竣工した。R&DはResearch&Developmentの略で、リサーチと開発を行なうセンター。建設費は土地代を含めて約300億円。敷地は約3万平方メートル、建物は地上7階、地下1階建てで、約5万平方メートル。これまで四谷や虎ノ門など首都圏8ヵ所に分散していた同社の550人の研究開発スタッフのうち400人がこのセンターに集約される。



 主な研究開発項目は、移動通信基盤技術の研究、広域帯CDMA(W-CDMA)方式の次世代移動通信システムの開発、ネットワーク制御ソフトの開発、超小型携帯情報端末の開発、アプリケーションの開発。現在のところ、人や設備が移動中の段階。

 次世代移動通信システムにどの規格を使うかは、スウェーデンのエリクソン社やフィンランドのノキアなど各通信会社などで検討が重ねられ、日欧、アジアではW-CDMA方式を標準とすることで合意している。センターでは建物の2フロアぶんをW-CDMA方式の研究用として、今春から実験を開始し、2000年には同システムによるネットワーク構築の実現を目指すという。

 本日、記者向けに内部施設が一部公開された。



 電波暗室は、四角錐の形の電波吸収体で四方が囲まれ(床は着脱可能)、その外側は金属製のシールドが張られている。中の電波の反射、屈折を防ぎ、外からの電波を一切シャットアウトする。高性能アンテナシステムの研究開発が行なわれる。日本最大級という。



 人間と同じ電気特性の人型に電波をあて、人体のどの部位に影響が出るかを測定している部屋もある。ペースメーカーなどにどのような影響を与えるかも研究課題。ただし電波の医学的・生物学的影響については研究を行なっていない。



 展示ホールでは、同社の移動通信技術や歴史、250点にわたる製品などが紹介されている。またW-CDMA実験装置で、広帯域コード多重伝送方式を使った2Mbpsの動画像伝送のデモが見られる。音声符号化比較体験コーナーでは、広末涼子、鈴木京香、織田裕二の声を利用し、携帯電話で利用されている音声符号化方式の効果を比較することができる。このホールは、いずれ一般に公開される予定。

 その他にマルチメディア品質評価室、無響室、防音室などがある。また建物は振動が4分の1になる免震構造。
 
 立川敬二代表取締役副社長は、次世代移動通信システムについて次のように述べた。



 「次世代のサービスは、音声とテキスト、映像を融合したサービス。というと、TV電話を思い浮かべる人が多いのですが、実際には、カーナビゲーション・システムに無線を包含し情報提供することや、携帯用のパソコンに無線機を内蔵して、通信マークをクリックするだけで瞬時にEメールが出せるというようなものを考えています。2005年には自動車の出荷台数が1億台、携帯端末の出荷台数が1000万台になると推測すると、計1億5000万台がこのサービスの対象ということになります。人口の1億2000人が(現在の)音声のみのサービスの対象と考えると、それを越える需要が次世代サービスにあるということになります」

 なお、横須賀リサーチパークは、郵政省・神奈川県・横須賀市などが主体となり、国際的な電波・情報通信技術の研究開発拠点を目指すもの。昨年秋の(株)オプトウェーブ研究所に続き、R&Dセンタは2番目のオープン。夏には松下通信工業(株)の研究所が開設する予定という。(報道局 若名麻里)

http://www.nttdocomo.co.jp/

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