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ICMが2000年問題に関するカンファレンスを開催

1998年03月18日 00時00分更新

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遅れが目立つ中小企業の対応



 ICM(INTERNATIONAL CONFERENCES FOR MANAGEMENT)は、2000年問題に関する経営者向けのカンファレンスを3月18、19日の2日間に渡り開催した。本日は通産省、民間企業の取り組みや、法律的な問題について、講演が行なわれた。

 金融機関や大手企業、中央省庁、県レベルまでは、2000年問題への取り組みはほぼ順調という。対応が遅れている中小企業に対して通産省では、「プログラムの修正費用などで税制の優遇措置をとると共に、各地商工会議所などでも初期のコンサルティングに応じるなど、早期対応をアピールしていく」(通産省・機械情報産業局 吉田正順氏)としている。

2000年問題の対応を遅らせる要因

 今後'99年後半まで、2000年対応作業のピークが予測される。メインフレーム系はメーカーなどからトータルなサポートが期待できるが、オープンシステムになると、ハードウェア、OS、ソフトウェアと、個別のベンダーからサポートを受けることになり、問題解決への道のりは遠い。また日本固有の問題もある。身近な例では、表計算ソフト『Microsoft Excel』で、YY-MM-DD形式で、01-01-01とセルに入力すると、2001年1月1日と表示されるが、YY/MM/DD形式で、01/01/01と入力すると、1989年1月1日と表示される。これは、01/01/01を平成元年と解釈するためだ。

インドに発注してコスト削減

 スチール家具などの製造販売を行なう(株)岡村製作所は、インドのLARSEN&TOUBRO(L&T:ラーセン アンド テュブロ)社からのダイレクトメールをきっかけに、'96年末にバッチの修正を依頼した。3名のインド人SEが東京に常駐し、海底ケーブルの専用線を用いて、インドで実作業を行なっているという。'98年9月には、発注分も含めて2000年問題対応が全て終了する予定だ。

 「生産性は日本人社員の半分だが、コストは3分の1なので、結局2、3割安い。生産性が低いのは能力が低いからでなく、システムに習熟していないため」(同社企画本部 土志田貞一氏)。2000年対応の終了後は、別の仕事を発注する予定という。

責任を問われるのはソフト会社だけではない

 法律的な面では、訴訟を起こされる可能性があるのは、もとのシステム開発をしたソフトウェア会社だけではない。ハードウェア会社が製造物責任を問われたり、システムを修正したベンダーがもとのシステムを作った会社から無断でプログラムを変更したとして訴えられる可能性もある。ユーザー企業の経営者が、2000年対応を怠ったとして、株主に訴訟される可能性もあるという。法的責任を低減するためには、もとのシステムを作った会社は契約書をよく確認し、新たに修正作業を行なう場合は、責任回避ができるように注意深く契約書を作成することが重要ということだ。

 参加した経営者たちからは、「リース会社が製造物責任を問われる可能性は?」、「オープンシステムで、OSやアプリ側に問題がある場合でもハードメーカーは製造物責任に問われるのか?」など具体的な質問が続発し、中には、判例がなく何とも言えないものもあった。

 ICMは、世界41ヵ国でビジネス会議を定期的に主催している団体。(報道局 若名麻里)

http://www.icm-europe.com/

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