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“第14回トロンプロジェクト国際シンポジウム”と“トロン協会創立10周年記念式典”開催

1998年03月13日 00時00分更新

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 3月12日に“第14回トロンプロジェクト国際シンポジウム”が東京大学の本郷キャンパスで、13日には“トロン協会創立設立10周年記念式典”が東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷でそれぞれ開催され、TRONプロジェクトの成果や今後の計画などが発表された。

 TRON(The Real-time Operating system Nucleus)プロジェクトは、誰でも利用できる理想的なコンピューターアーキテクチャーの構築を目指し、東京大学の坂村健博士が提唱したプロジェクトで、ITRON、BTRON、CTRONなどのサブプロジェクトがある。特にリアルタイム組み込み型OSのITRONは、家電製品や自動車などに多く利用されている。

●“第14回トロンプロジェクト国際シンポジウム”



 国際シンポジウムで“Open Architecture and TRON”と題して基調講演を行なった坂村氏は、「デファクトスタンダードには問題がある」と語り、1社で独占となると、その会社の過去の製品との互換性のために、新しい製品が過去の仕様を引きずったものになってしまうと説明し、パソコン用OSのBTRONのライバルとなるマイクロソフト社の方針を暗に批判した。

 TRONプロジェクトでは、当初からオープンアーキテクチャーとして仕様を公開しており、今後はTCP/IPプロトコルやPostScript、Java、CORBAといったほかのオープンアーキテクチャーとの協調や、文章や音楽といった高い水準でのデータフォーマットの標準化も進めていくという。

 パソコン用のOSとなるBTRONのテクニカルセッションでは、今春にパーソナルメディア(株)から発売される予定のBTRON3仕様OS『3B/V』で採用されている、BTRON上での文字コードの扱い方が紹介された。昨年12月に行なわれた“TRONSHOW'97”でも紹介されていたもので、各国で使われている文字コードと新しく導入する国コードなどを組み合わせることで、アルファベット、記号、漢字、ハングル文字など合計10万字あまりを単一のコード体系で扱えるという。

 通信分野に特化したCTRONのテクニカルセッションでは、中国におけるCTRONの導入事例が紹介された。あるビルでは、エレベーターの制御にCTRONが利用され、各エレベーターがネットワークを通して管制室でモニターできるようになっているという。また、工業用FAコントローラーにCTRONが組み込まれ、各コントローラーがネットワークを介してWindows95端末で制御されているという。講演を行なった上海Contec Microelectronics社のSUN TING CAI氏と華東師範大学のSHEN JIANHUA氏はともに「中国でのTRONはまだ始まったばかりだが、今後どんどん伸びていくだろう」と語った。今後は中国でのTRONの普及が期待される

 組み込みOSとなるITRONのテクニカルセッションでは、ITRONの抱えている、性能と標準化の対立について語られた。ITRONではこれまで組み込む機器の性能を重視するため、核となる部分以外は仕様を決めない“弱い標準化”が行なわれていた。しかし、プロセッサーの性能向上やネットワークの普及などにより、デバイスドライバーやアプリケーションデザイン、デバッグ環境などの仕様を決める必要が出てきており、現在、調整が行なわれているという。なお、ITRONでのTCP/IP APIの仕様を4月ごろ、ITRONとJavaを融合させたJTRON(Ver.2)の仕様を5月ごろ、次世代ITRONとなるμITRON4.0の仕様を年内に公開する予定だという。

●“トロン協会創立10周年記念式典”



 記念式典では、10年間の成果を中心に、ほかのオープンアーキテクチャーとの協調や高水準のデータフォーマットの標準化など、今後のTRONプロジェクトの方針が坂村氏などから語られた。特に、IRTONと比べかなり苦戦していると言えるBTRONについては、ウサギとカメの話をたとえに出し、「マイクロソフトと比べ、われわれは常に先を見越しているので、必ず将来は勝つだろう」と自信を見せた。

 TRONはオープンアーキテクチャーなので、たとえば、カーネル部にITRONを使い、その上にWindowsCEを載せてリアルタイム性を高めることも可能だが、坂村氏は「絶対やだ!」と拒絶反応を示した。

 高度なリアルタイム性、10万字の漢字表示など、圧倒的なシェアを持つWindows95より優れている点は確かに多い。しかし、多くのユーザーが必ずしもそれらを必要としているとは限らない。どうやってカメがウサギを追い越すのか、今後に注目したい。(報道局 中山実)

http://tron.um.u-tokyo.ac.jp/
http://tokyoweb.or.jp/tron/

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