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第21回EC研究会が開催、ICカード活用事例などを発表

1998年03月13日 00時00分更新

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 エレクトロニックコマース(電子商取引・EC)の発展と定着を目的に研究会活動を行なうNPO(非営利の民間団体)のEC研究会は、第21回EC研究会を開催した。テーマは“地域を活性化させる電子マネーと不動産物件情報ネットワーク”。事例や製品の紹介など以下の発表が行なわれた。




長野県駒ヶ根市でプリペイド型ICカード導入

 テレマーケティングのコンサルティング業務などを行なうテレマーケティング21の代表の氏家伸治氏は、長野県駒ヶ根市の電子マネー活用事例を紹介した。郊外型の大型ショッピングセンターに対抗して、地元の商店街が地元の赤穂信用金庫と協力してプリペイド型ICカード『つれてってカード』を'96年10月に導入した。同カードは、VISAキャッシュのようなもの。中学生以上の市民に無料で配布された。

 同信用金庫内のATM機で、預金口座から同カードに上限10万円まで、1000円刻みで同カードに入金できる。商店街のスタンプ共同組合に加盟している市内の150店で利用でき、肉や魚、薬などが買える。残高は小型の残高表示器で確認できる。

カードの利用でポイントをつけ、利用を促進

 また買い物でポイントがもらえ、ポイントを集めてプレゼントがもらえるというスタンプ協同組合のしくみを利用して、現金で買い物をすれば1ポイントのところを、同カードで支払えば1.5ポイントにするなどして、利用率が高くなるよう工夫したという。3万4000人の人口に対し、カードは1万5600枚発行された。これまでの利用額は明らかにされていないが、カードを持っている人のうち6、7割の人が利用したという。今後は近隣の市にも利用可能な範囲を広げ、公共施設や交通機関、駐車場などの支払いも可能にしていきたいという。

 「今は商店街の後退期で、店主の高齢化や跡継ぎが見つからないなどの問題があるが、この方式を導入することで、息子たちが(家業に)関心を持ち始めたという声も聞く。電子マネーの実験をやる地域は他にもあるが、定着させていこうとする意欲を持ってこそ、電子マネーの導入は成功するものだ」(氏家氏)

その他の事例

 そのほかにも以下のシステムの紹介がされた。

●会員の不動産業者が直接物件情報をWebにアップし、全国の1万5000件の情報が検索できる(株)ネクストが運営するサイト『ホームズ・サーチ』。ホームページに掲載された物件の1割程度に対して、メールでの問い合わせがあるという。
http://www.nhome.co.jp/

●(株)ユーカードの少額決済向け電子マネー・ソフト『NET-U』。同ソフトでクレジットカード番号を申し込み番号に変換し、郵送で会員申し込みをする。インターネットに接続後、同ソフトを起動し、会員番号とパスワードを入力して、NET-Uをあらかじめ購入。インターネットでの買い物ができる。'97年1月よりサービスを開始し、現在会員は5300人程度。1回の購入金額は平均で1000円前後という。
http://www.u-card.co.jp/

●通産省、大蔵省など6省1庁から認可を受けた協同組合の“全国情報ネットワーク協同組合”(ネットコープ)。中小企業を対象に、パソコンや通信機器の共同購入や共同学習、通信回線などの共同利用を行なう。組合員の3割程度がパソコンの初心者のため、インターネット関連の電話のサポートの利用が多いという。現在の組合員数は約1500社。
http://www.net-coop.or.jp/

●(株)アスキーのインターネット上の販売サービス“ASCII Rapid Commerce Service”。外部サイトとの連動で製品を販売するバーチャル・フランチャイズサービスの“WeBranch!(ウェブランチ)”は、'97年12月にサービスを開始し、現在2000サイトが利用しているという。また外車やワールドカップ観戦ツアーなども取り扱っている。
http://www.arcs.ne.jp/

 事務局によると、「年に10回以上研究会を開催しており、これまでは技術的な話が多かったが、今後はもっとマーケットよりの話題に力を入れていきたい」という。(報道局 若名麻里)

問い合わせ:TEL.03-3582-7211

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