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W3C、“Web Accessibility in Japan '98”を開催

1998年03月05日 00時00分更新

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 3月4日、慶応義塾大学の三田キャンパスで、World Wide Webコンソーシアム(W3C)が“Web Accessibility in Japan '98”と題する講演会を開催した。 Accessibility(アクセシビリティー)とは、“アクセスのしやすさ”という概念で、“アクセシビリティーを考えたコンピューター”といった場合、アクセスしやすいコンピューター、つまり、さまざまな環境の人にとって利用しやすいコンピューターのことで、視覚障害者や聴覚障害者、あるいは手の不自由な人などの利用も考えたコンピューターということになる。

 米マイクロソフト社がWindows95に“ユーザー補助”機能を搭載したり、米サン・マイクロシステムズ社が、Java用のJava Accessibility APIを発表したりと、アクセシビリティーのサポートが広まりつつある。また、日本では、TRON協会のTRONイネーブルウェア研究会が、障害者にも使いやすいコンピューターの研究を行なっている。

 Web Accessibilityとは、Webでのアクセシビリティーという意味で、障害者が健常者と同じように利用できるホームページということになる。たとえば、テキスト文が主体のホームページなら、文字を音声に変換するスクリーンリーダーを使えば視覚障害者も利用できるが、画像を利用したクリックボタンは、視覚障害者には存在がほとんどわからない。そこで、画像ファイルにはキャプションを付けたりすることで、視覚障害者にも利用しやすいホームページになるという。また聴覚障害者に対しては、クリックすると音声が流れる場所に、その音声の説明文を付けることで、実際に聞かなくても内容がある程度わかるようになる。

 W3Cでは“Web Accessibility Initiative(WAI)”というグループで、Web Accessibilityを専門に扱っている。“Accessibility & Universal Design:The Web Accessibility Initiative”と題して講演を行なったWAIディレクターのJudy Brewer女史は、Web Accessibilityを広めるには「HTMLやCSSなど、Webの基準を作ることが一番大切である」ことを強調し、「そのためのガイドラインの作成やできあがったホームページが実際にアクセシビリティーかどうかをチェックするツールが必要である」と述べた。



 WAIでは、ホームページ制作者、ブラウザー制作者、オーサリングツール制作者を対象にした3種類のガイドラインを作成中で、ホームページ制作者用のものは、すでに草案が公開されている。

 Judy Brewer女史はさらに、「Web Accessibilityが必要だということを世間に広めることと、開発時に障害者がテストなどに関わることも大切」と述べた。特に日本は、障害者を保護する法律の整備されているアメリカなどと比べると、この分野では遅れており、Web Accessibilityに協力的な企業は「徐々に増えてはいるが、まだ少ない」(慶応義塾大学 中根 雅文氏)のが現状だという。



 折りしも、本日より長野で、障害者のスポーツの祭典“パラリンピック”が行なわれる。これを機に、日本でも障害者に対する意識が向上することを期待したい。(報道局 中山実)

http://www.w3.org/WAI/
http://www.w3.org/TR/1998/WD-WAI-PAGEAUTH-0203

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