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開催中の東京国際ブックフェア'98フランスと電子出版が今年の見どころ

1998年01月23日 00時00分更新

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 “東京国際ブックフェア'98”が、東京ビッグサイトで25日まで開催されている。同フェアは、出版社の著作権売買の場として毎年開催されているが、同時に7つの専門フェアが開催されている。“電子出版・マルチメディアフェア”、“自然科学書フェア”、“人文・社会科学書フェア”、“児童書フェア”、“学習参考書・辞典フェア”、“印刷・製本フェア”の7分野がそれ。

 中でも“電子出版マルチメディアフェア”は、新しい出版の形として、多くの出版社が興味を持つものであり、大幅に出展社数が増加、今年は全体の約4分の1のスペースにまでなった。印刷会社は新しい技術に非常に興味を示しているようで、大日本印刷(株)、凸版印刷(株)ほか、各社かなり力を入れた展示であった。大日本印刷は、“紙に印刷された文字や絵を触るだけで、パソコンやDVD、CDプレーヤーなどを操作できる『SmartPaper』や、絵をなぞると音がでる『スキャントーク』などを展示。たくさんの人が集まっていた。前者はNTT、後者はリコーの技術であるが、大日本がデザインやその応用例を紹介、非常に身近なモノとして使えるようにしてあり、一般の人も興味を持ったようだ。

 マイクロソフト(株)は6つぶんの展示スペースで出展、人が集まっていたが、展示していたのは『ENCARTA98』のみ。アメリカに続いて、日本でもいろいろ騒動があったせいで力を入れなかったのだろうか? そのほか人を集めていたのは、『本屋さん BOOK CLUB』。これは昨年12月12日にオープンした会員制のインターネットとFAXによる“本屋さん”。著者名から、出版社名からなど、さまざまな方法で本を検索できるほか、何冊頼んでも、全国一律送料380円とあって、地方に住む人にとってとても魅力的なもの。3月ぐらいにはオンライン出版も予定しているそう。ほとんど宣伝をしていなかったにもかかわらず、約1ヵ月で2000人の会員申し込みがあったという。

 この電子出版のスペース以外でも、各大手出版社のブースには、“マルチメディア”、“インターネット”、“CD-ROM”などのコーナーが設けられ、“電子出版”という形がだいぶ浸透してきていることをうかがわせた。ただ、CD-ROMに力を入れている(株)新潮社の担当者に話を聞いたところ、自社の書店流通に比べ、電化製品店ルートのほうが圧倒的によく売れ、販売されている書店ルートは3割ほどしかないという。書店だと定価でしか売れないが、電化製品店だと安売りしているので、お客がそちらで買うためだとか。しかも書店がCD-ROMに魅力を感じてくれず、なかなか扱ってくれないという。

 また、今年は、橋本-シラク日仏首脳会議で交わされた“21世紀に向けての日仏協力20の措置”による“日本におけるフランス年”で、ブックフェアでも“フランスパビリオン”が設けられている。ここではフランスの書物のほか、フランス産マルチメディアタイトルがたくさん展示されている。一昨年の『ルル』、昨年の『戦場のテディ・ベア』と、日本でのマルチメディアの賞を総なめにしたのはいずれもフランスのもの。フランスの文化遺産『星の王子さま』のCD-ROMや、フランスの子ども雑誌『ポムダピ』をCD-ROM化したものなど子どもも楽しめるモノから、画家ヴァン・ゴッホの世界を3Dで再現した『ミッション・ソレイユ』などオトナも楽しめるモノまで8作品が並ぶ。フランスではまだまだPCが、アメリカやドイツに比べると普及してないというが、PCの普及とマルチメディアタイトルの質の高さは比例しない、と感じさせられた。

 大手出版社では、(株)角川書店が『YOKOHAMAWalker』、(株)講談社が『週刊地球紀行』を創刊するということで、大々的に宣伝を行なっていた。会場では、即売会を行なっているところもあり、新潮社のブースでは『フォーカス』の1年分をCD-ROMに収めた'96年度版『CD-ROMフォーカス』が、定価が1万円のところ、なんと500円で売られていた。年度が古いとはいえ、かなりの掘り出し物かも。そのほか洋書バーゲ
ンセールなども開催されており、こちらもにぎわっていた。

 

大日本印刷のSmartPaper大日本印刷のSmartPaper

     人だかりのマイクロソフトブース

 

トリコロールの仏パビリオントリコロールの仏パビリオン

    ドラえもんと電子出版はよく似合う?

 今年の出展社数は、海外117社(昨年72社)、国内306社(昨年279社)、合計423社(昨年351社)と、いずれも増えている。初日である昨日の入場者数は、7246人(昨年7059人)と、これも今年が上回っている。(報道局 酒寄公子)

http://www.jbpa.or.jp/tibf/index.htm

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