三菱電機(株)は、一般のアナログ電話回線を利用して複合メディア通信が可能なバンド幅制御技術を開発した。これまでテレビ会議システムなどに用いられてきた従来方式と異なり、回線の状況(通信容量)を定量化し、回線伝送容量の変化と伝送バッファーの残データ量から、伝送バッファーへの伝送量を予測制御する。音声、静止画、動画など優先順位にあわせて情報を送信するので、33.6Kbps以下のアナログ電話回線で複数種類のマルチメディアデータを高い信頼性で効率よく双方向伝送することができるという。
また同技術を応用し、同社では妊婦の在宅診療支援システムを国立大蔵病院の協力により開発した。病院と在宅の妊婦間を一般アナログ回線で結び、医者と患者がテレビ電話で会話しながら、妊婦の腹部張力、胎児心拍数、心音などの生体データをその特性(発生頻度、発生量、正確性、リアルタイム性など)に合わせて伝送することができる。システム構成としては、PC/AT互換機をベースとした制御用PCと画像が鮮明に映る特殊なモニター、カメラを医者と妊婦の両者側に設置、妊婦側には母体陣痛センサーや胎児心拍センサーが端末に付属する。
厚生省は遠隔医療を医療として認める見解を出しており、同社では今秋の実用化に向けて、国立大蔵病院で試験運用を開始しているという。現在25万人いる妊婦の3パーセント程度に在宅医療の需要があるといい、価格は医者側、妊婦側の両システムとも50万円程度になる見込み。(報道局 若名麻里)
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