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こどもが環境に対してできることは?“世界こども環境サミット'97”開催

1997年12月09日 00時00分更新

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 日本電信電話(株)の主催する“世界こども環境サミット'97”が、千代田区のアーバンネット大手町ビルで開催された。日本各地あるいは海外の学校などの各会場をマルチメディアTV会議システム『フェニックス』で結び、こどもたちはそれぞれの会場からサミットに参加。セミナーのリアルタイム中継は各会場だけでなく、インターネットでも配信された。環境に対するこどもたちの取り組みや、基調講演、インターネットによるアンケートなどが発表され、12月1日に開幕した“地球温暖化防止京都会議”で沸く京都からも頻繁に意見が届いた。

 基調講演は、宇沢弘文・東京大学名誉教授による“地球温暖化を考える”。

「私がこどものころなんて、地球温暖化なんて問題にもなっていませんでしたが、現在では世界中の約2000ヵ所でたえず気温が観測されていて、気温の平均は確実に上がっていることがわかっています。原因は二酸化炭素の増加。200年前と比べても20パーセント以上増加してるんです。このため地面が二酸化炭素に覆われる形になり、気温は上昇するのです。地球の温暖化は大気を不安定にするため、異常気象が起こり、アメリカでもハリケーンの被害などが近年顕著に増えています。私は、“炭素税”を導入して二酸化炭素を排出するだけお金を支払うようにすればいいと考えていますが、アメリカは地球温暖化防止京都会議でもこれをかたくなに拒んでいます。石炭が無尽蔵に出る、自動車がないと生活ができないなど、二酸化炭素を削減したくない理由があるからです。今後、先進国が二酸化炭素を放出し、発展途上国が損害を受けるという構図は明らかで、現代の世代が防止策をとらねば次世代の反映は望めません」

 アーバンネット大手町ビルにも100人以上の小学生がセミナーに参加し、各会場と一緒になって研究発表や討論会を行なった。酸性雨に関する研究では、東京の雨はPh5前後の酸性雨であること、身の回りのものとしてはコーラやトイレの洗剤の酸性度が非常に高いことなどが発表された。また討論会では、身近な省エネ法として、プリントやチラシの裏面をメモ帳代わりに使う、電気はこまめに消す、水は出しっぱなしにしないなどの意見が寄せられた。カナダからは、なるべく自動車を使わず、できれば相乗りをするように、4人以上乗っている車は別車線を利用できるようにすればいいのではないか、というこどもとは思えない意見もあり驚かされた。テレビカメラがずらりと並び、ためらいがちなこどももいたが、珍しい経験なのだろう、ほとんどは遠足気分か学芸会気分といった感じで元気よく発言していた。

 セミナーの最後には、“こども環境宣言”が採択された。宣言は3つ。「自然と仲良くしよう」。「もったいないことはやめよう」。「地球のために工夫しよう」。(報道局 浅野広明)

http://www.wnn.or.jp/

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